「たった1%の生コン夜間出荷」生コン工場の工夫(遅延剤対応)
夜9時以降に生コンを打設したい現場だってある。水の次に流通する材料と言われる生コンは昼夜を問わず現場から必要とされる。生コンポータルでは「たった1%」と言われる夜間出荷に対応している工場をWEBで紹介する予定だ。
夜間出荷に対応する工場はたったの1%
夜9時以降のオーダーに対して製造するのは夕方4時。
昼間の製造・出荷が終わる頃に1ロットの生コンを製造する。
それはそのまま5時間後に用いられる生コンとなる。
「え?!生コン5時間経ったらどうなるの?」
5時間後の様子。
夕方4時製造直後の性状とさほど変化が見られない。
これぞ、化学混和剤「凝結遅延剤」がなせる技術。
かくして工場の負担を最小限に抑えて夜間に生コンは出荷されている(事前協議必須)。
たった1%の夜間生コン出荷という現実
夜間出荷の負担は大きい。
まず、工業団地に操業している生コン工場でないかぎり対応は難しい。
近隣から苦情が寄せられるからだ。
昼間ならともかく夜更けにどさどさと生コンを製造することは許されない。
この時点で対応可能工場は大幅に絞られる。
さらに、過重労働。
点検や製造、試験、配達、その後の設備洗浄。
深夜に及ぶその作業は1人ではできない(1人ではリスクマネジメントの観点からもしてはならない)。
最低2人が草木も眠る丑三つ時にせっせと働く。
彼らはお昼に普通に仕事をしていたりもする。
いかにその分余暇をとったり深夜割増の条件だとしても夜間出荷は生活のリズムが狂う。
このため、対応可能工場はさらに大幅に縮小する。
今後生コンポータルでは夜間出荷対応工場をWEBで表示する予定だが現時点でも関東1都4県見渡しても10工場くらいしか思いつかない。
感覚としては「たった1%の生コン工場しか対応しない」のが夜間出荷。
もちろん冒頭で紹介したような工夫(遅延剤使用)で負担は最小限に抑えることだってできる(その場合JISマークが付せられないなどの制約はあるため十分協議が必要)。
しかしそうはいっても夜間出荷は昼間の操業が標準の生コン工場にとって負担は大きい。
つまり、「夜間の出荷に対応できる工場」はそのまま「強靭な組織とマインドを持つ選ばれた生コン工場」ということができる。
夜間に生コンを使っても使わなくても。
施工者目線から考えたらそんな生コン工場の仕入れルートは確保したいはず。
あらゆる特殊コンの中でも夜間の生コンほど地味だが困難を伴う生コンはない。
そんな生コン工場をWEB上で紹介しより多くの人たちに適正な機会が提供される生コン産業を目指したい。
宮本充也