2019/10/29
【岐阜】「色合わせの業者には煮湯を飲まされた」プロ集団小倉左官店との連携(その2)

昨日(2019/10/27)日曜日は岐阜の老舗小倉左官店で出張生コンでいいことセミナー(同社社内研修)が開催されていた。日左連(日本左官業界組合連合会)の会長経験者もある小倉代表率いるプロ集団との連携が始まる。
https://ogura-sakan.com/
色合わせの業者には煮湯を飲まされた
こう語ったのは小倉左官店の小倉志信さん。
僕にも経験がある。
実に苦い経験として脳裏にこびりついているのだ。
新しい事業の可能性に胸を高ならせて20代の僕は色合わせという事業をスタートさせた。
(色合わせとは打ち放しコンクリート表面に偶発的に生じてしまう施工不良という問題を解消する技能)
ほぼ詐欺師としての色合わせ専門業者。
名前は伏せる。
今ではいい経験として、学ばせてもらったと思って、感謝こそしている。
事業の可能性を感じまだ20代の僕は若さを売りに営業活動を開始した。
「こんな素晴らしい技術が埋れてていいわけがない。世間に知られるために頑張りたい。
当時出会ったその補修業者の社長に僕はその純なる思いをつぶけた。
営業が楽しかったので次から次へと受注する打ち放し建築の現場。
きっと喜んでもらえる。
そう思って一所懸命営業をしまくった。
日に20件なんていわゆる若さのなせるものだと思う。
300万で受注した現場で700万円の請求。
色合わせ業というのは先を見通すことができずらく「急ぎ働」になりやすい業だとは思う。
ニーズのきっかけが「施工不良」という偶発的に発生し、先々の需要想定ができづらいからだ。
「困ってから連絡してくる」
そんなニーズに供給も安定することはない。
「知ってる人は知っている」
程度の存在。
それが、色合わせ。
突然姿を現した「営業頑張ります」の若い兄ちゃん。
さながら「鴨がネギ背負ってやってきた」だったのだろう。
彼らがある程度仕事が安定している時は当初見積もられた内容で請求があがってきたのだが、仕事が薄くなってくるとあれこれ難癖をつけ請求金額が水増しされる。
元請け建設会社と色合わせ会社に板挟みとなりぎゅうぎゅうと締め付けられる。
結果、300万で受注した案件で700万の仕入れ。
400万円の穴を開けたことがある。
若者の純真は見事打ち砕かれた。
事業そのものをやめてしまおうかとも思うくらいのインパクトだった。
(その後、きっちりやり返してやったが笑)
形は違えど当時の僕と同じような人たちはきっと埋れているだけで全国に多くいるはずだ。
その1人が、小倉左官店の小倉志信さんだった。
出張した色合わせのインストラクターの技に魅了される小倉左官店のみなさん。
インストラクターの手により消されてしまった補修痕。
左官は建設の中でもスピード、正確さ、だけでなく「美」も求められる技能者。
建設全般に言えることかもしれない。
隠す、勿体ぶる。
色合わせもそうした建設の閉鎖的な性質をたっぷり帯びている。
半分気持ちもわからないでもないのだが、その技能を「門外不出」として見せようとしない。
施工中ほろで施工箇所を隠すような業者もいるくらいだ。
僕に言わせれば「ばれて真似される程度の技能は仕事じゃない」である。
誰が、ピカソやゴッホの絵を模倣して彼らと同じような名声を得られるというのか。
産業発展の重要な要素は流動性、通気性。
いろんな人たちの目にさらされることでしか発展はあり得ない。
それは色合わせも例外ではない。
そんな前提から生コンポータルでは全国セミナーで積極的に色合わせ(打ち放しペイント)の技能に触れられる機会を提供している。
少しでも多くの人に色合わせを知ってもらいたい。
それは、一般の人に筆や絵具やキャンバスを配って絵を描いてもらうよう促す活動に似ている。
参加者が増えなければいろあわせという産業は成り立たないのだ。
色合わせという技能のスタート地点に立った小倉左官店。
きっと彼らならすぐにその腕を磨いて大きな事業として発展させていくことだろう。
そのきっかけとなり、これからも寄り添うことができて光栄だ。
宮本充也