長岡生コンクリート

2019/01/13

わざと汚す。 【打ち放し街角スナップ #1】

わざと汚す。 【打ち放し街角スナップ #1】

目についた打ち放しコンクリートをじっくり眺めてみよう。そこには作り手のいろんな思いが表情となって現れている。今回はオシャレスポット明治通りの打ち放しコンクリート。「こんな打ち放し表現もありなんだ?」。無限の可能性を感じる表現。



わざと汚す。打ち放しの奥深さ。

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フッコー杉山さんが共有してくれた明治通りにある、【直感的にお洒落な】打ち放しコンクリートの建物。この高度な技術がわかるだろうか。


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近くに寄ってみるとわかる通り、僕たち専門家が忌み嫌う施工欠損【コールドジョイント】や【ひび割れ】が数多く発生しているように見えるのだが・・・。


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実はこれら施工欠損、近くで仔細に眺めると【わざと】打ち放し躯体の上に再現されていることがわかる。これぞ玄人を唸らせる打ち放しの技法だ。



わざと汚す。

着こなしのテクニックに「はずし」というものがある。

かっちりしすぎないでどこかにだらしない部分を残す。

はずし。

今もあるのか不明だが、そんな感じなのかもしれない。

綺麗すぎる打ち放しは逆に不自然。

もちろん、機能上の問題があるから、施工欠損。

・コールドジョイント

・ひび割れ

・ピンホール

・ジャンカ

などは発生させてはならない。

ただ、完璧に打ち上げてしまって完璧に養生した打ち放しコンクリートにはなんか個性がない。

そんな直感や美の領域の議論。

わざと、欠損を発生させる。

それも、機能上問題のない欠損。

これってまさに玄人を唸らせる打ち放し表現だ。



【わざと】が意味する打ち放しコンクリートの奥深さ

これが打ち放しの本質かもしれない。

100人いたら100人の「いい打ち放し」が存在する。

誰かが「この打ち放し素敵♫」と評価しても、

また別の誰かにとっては「なにがいいのかわからない」。

これってまさにArt。

芸術の世界によく起きる現象なのではないか?


躯体、構造物というキャンバス。

そもそもものづくりの熱意そのものが打ち肌に現れる。

しっかり丹念に作って上げれば上げるほど。

表面は黒光りして重厚な素材の迫力をたたえる。

逆もまたしかり。

手をかければかけるほど。

それなりに答えてくれる。

これはArtを超えた自然の摂理とも言える。



街角を眺めてみると結構見つけることのできる打放しコンクリート。

シリーズ【打ち放し街角スナップ】ではこれからもそんな一つ一つの個性的な打ち放しを紹介していきたいと思う。

日本人がこよなく愛する打ち放しという表現。

もっともっと適正に理解してもらって。

街をもって美しく変わっていけばいい。

生コンでいいこと。



宮本充也

宮本 充也

主な著者
宮本充也

1級(舗装・造園・建築・土木)施工管理技士/コンクリート主任技士・診断士/砂利採取業務主任者/採石業務管理者

危険物取扱責任者(乙4)/毒物劇物取扱責任者/日本農業検定(1級)/エクステリアプランナー(2級)/運転免許証(大型・中型)

勉強中の資格:宅建士