2020/03/22
「素人ですがコンクリート風の床を作りたいので・・・」解説

WEB上で展開されるコンクリート・DIY関連の質疑応答に頼まれてもないのにプロが顔と名前をさらしてツッコミ(解説)を入れるシリーズ。「素人ですがコンクリート風の床を作りたいので・・・」。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14221666534
コンクリート風ならなにもコンクリートじゃなくてもいい
(以下、原文コピペ)
2020/3/1620:28:37
素人ですがコンクリート風の床を作りたいのですが、人が乗るのにコンクリートは最低何センチあれば大丈夫でしょうか?
またモルタルだと何センチ必要でしょうか?
もう、こうなってくると「なんでもありだな」とつくづく感じる。
最初から「素人ですが」と断っているのもなんとも潔い。
「コンクリート風」と断っておきながら、「コンクリートは最低何センチ」と尋ねる。
さらに、「モルタル」という言葉まで飛び出す始末。
生コン産業70年。
常に僕たちは産業内向きの活動をしてきた。
評価するのはWEB上で質問をするような一般の方ではなく、産業内向きな発注機関や権威、つまり役所や学者だった。
生コンクリートの品質管理監査も一般人の入り込む余地はない。
常に役所か建設会社が第三者として評価にあたる。
ただし、本来の評価者は役人や権威であってはならない。
彼らは産業を構成する一部であり内輪の1つ。
だから、唯一絶対の評価者である「市場と顧客」ではない。
なのに、コンクリート産業は常に内向きの活動を続けてきた。
「強度」
「耐久性」
を満足させるための管理プロセスを規格として整備しその管理体制を評価する。
一般からしたらちんぷんかんぷん。
そもそも、産業は一般人のことを「素人」として受け付けない傾向すらある。
ただ、現実はYahoo知恵袋で取り交わされる内容がコンクリートに求められるものだったりする。
そして、それに応えるプロなのかセミプロなのか、顔も名前もさらさず好き放題応える人たちのなんとも多いこと。
まことしやかに答えているし、それらはベストアンサーに選ばれていたりするのだけれど、その大半はプロからすると「嘘っぱち」。
実際産業人はその仕事に忙しくYahoo知恵袋の一般人に答えている暇などない。
そのため、嘘っぱちが横行し、ますます一般と産業の溝は深まるばかり。
(今回の記事のベストアンサーはまことに真摯なお答えをしている!)
生コン産業は今後人口減少とともにさらなる低迷が予想されている。
産業の矛先は「需要が減るなら価格をあげよう」におよそ統一されている。
全国各地で組織されている組合は独占禁止法の適応除外を認められている。
そのため、価格統制が許されるため一部では恣意的な価格の釣り上げで需要家との衝突が見られる。
結果それらのしわ寄せは最終消費者「一般」に寄せられる。
これもまたさらに一般と産業の溝を深めることになる。
また、産業は社会一般に対して情報発信をしてこなかったしするつもりもないと思っている。
このままでいいと思っている人はいないはずなのだが産業構造の一部となってしまえば思考停止に陥って慣習を踏襲せざるを得ない。
こうした構図では末端(ラストマイル)の有意な技術や情熱は埋もれる。
本当はもっと社会全体に貢献できる技術や製品は数多くあるのに、産業構造に阻まれてそれらは見出されることがない。
長々と書き連ねたが生コンポータルが建てている課題は概ねそんなところだ。
コンクリートをもっとみぢかにすることで、
「大地を削らない、汚さない、蓋しないコンクリート」
をきちんと世間に送り出す。
前置きが長くなったが、「コンクリート色合わせ」という技法がある。
写真を見ればわかると思うが、いわゆる「打放しコンクリート」「コンクリート」がブロックで作られた壁に「描かれている」。
基材(下地)は選ばない。
クロスやボードのような通常の下地でもコンクリートが表現される。
こちらはベニア板に打放しコンクリートを再現した様子。
こうした体験は全国で開催されているセミナーで無料で受講できる。
また、セミナーにわざわざ参加しなくともWEB上で動画マニュアルが放映されている。
道具と材料さえ手に入れればどんな場所でも「コンクリート風」に変えてしまうことができる。
こうすることで「大地を削らない」は実現する。
(コンクリートを生産することで大地は削られる現実)
話題を冒頭に戻す。
「コンクリート風の床を作りたい」
コンクリートの担い手としては「御用命いただきありがとうございます」と言いたいところだが、人が乗る場合の荷重を想定する必要もなければ、実際にコンクリートを施工する必要もない。
ベストアンサーにもあるようにコンクリート風の既製品はいくらでもある。
さらには、色合わせという技法で床をコンクリート風にしてしまうことも造作ない。
今あるコンクリートも建て替え・更新を考えるのではなく適切に維持・補修をすることで長持ちさせる。
また、見た目に難があるようなら、色合わせでさながら新築のようにしてしまうこともできる。
コンクリート色合わせはコンクリートの再生・長寿命化で美しいサステナブル社会に貢献する。
宮本充也