2020/03/25
【岡山】「指摘されたわけじゃないけど気が済まないプロ意識」コンクリート色合わせ・見た目の補修

モルタル仕上げだと勘違いしてしまい、基礎コンクリートに古いパネル(型枠)を転用して打設。発注者から指摘されたわけじゃないけど「気が済まない」というプロ意識からのコンクリート色合わせ補修。
施工:白石建設
これぞプロ意識!前始末としてのコンクリート見た目補修
施工Before。
「モルタル仕上げ(表面をモルタルで別途仕上げる)だと思っていた」という施工者の判断ミスでコンクリートの表情がこのようにすすけて見える。
「言われてみればちょっとすすけてるかも」
くらい。
もしかしたら何にも指摘されずに済むかもしれない。
神頼みだってワンちゃんいけるかもしれない。
でも、施工者のプライドがそれを許さなかった。
気が済まない。
もとよりご存知だったコンクリート色合わせの発注。
施工After。
とても綺麗なコンクリートの基礎はあたかも最初からそうであったかのようだ。
もともと転用した型枠で打設された基礎とはわからない仕上がり。
施工者にだって意地がある「気が済まない」からコンクリート見た目補修
このコンクリート色合わせと呼ばれる特殊技能はいろんな理由で声がかかる。
今回もそうだが大抵は「想定外」のトラブルに見舞われた現場から。
⚫︎ひび割れ
⚫︎ジャンカ
⚫︎コールドジョイント
のように代表的なコンクリートの施工不良に加えて、
⚫︎型枠間違えた
は結構な頻度で声がかかる。
住宅基礎のコンクリートでは大抵「モルタル仕上げ」といって打ち放しコンクリートとはせずにその上をモルタルで被覆(仕上げ)する。
だから、今回のように「うっかり」間違えて型枠のパネルを転用してしまうのも、現場あるある。
そして、冒頭の写真のようにすすけてみるようになる。
ここでも、誰もあまり指摘はしないけれど、コンクリートの、
⚫︎強度
⚫︎耐久性
に加えて、
⚫︎見た目
という性能がフォーカスされることになる。
現場では常に「見た目」が性能として認知されている。
でも、仕様書やコンクリート工学(学会)ではあまり話題にならない。
コンクリート技士・主任技士の範囲にも「見た目」という性能は出てこない。
「見た目」とは非常に抽象的な価値であり、定量化しづらいということがその理由だろう。
ただ、今後学会や産業はこうした抽象的な性能「見た目」をきちんと取り上げていく必要がある。
実際に現場ではその性能が求められているからだ。
デザインの時代とも言われる。
直感と美の時代とも言われる。
ごりごり理系マターのコンクリートだけれど、抽象的な「美」という概念を扱う。
それが、これから産業に求められる1つだろうし、それを実現するためのアプローチの1つとして、コンクリートの色合わせという古典的技能ももっともっと認知が進むべきだとも思う。
宮本充也