2020/08/27
【静岡】「知らないを、知っているに変えること」集合住宅・型枠凹み・左官補修痕

静岡県。打ち放しコンクリート新築集合住宅外壁の型枠凹み(施工不良)の左官補修(断面補修)痕の消去に生コン屋さんの特殊補修「コンクリート打ち放し色合わせ」が採用された。「知っている」であれば普通に行われるこうした仕事も、「知らない」ままでは絶対に形にはならない。
堂々と実績を晒すことができないジレンマ《コンクリート色合わせ》
Before(左下)打ち放し面には左官補修痕や錆汁(さびじる)が発生している。
打ち放しコンクリート建築で補修は即美観上の問題となる。
かといって、型枠凹みによる断面欠損はそのままにしておくわけにはいかない。
構造上の問題を孕んだままにしておくことは建物の耐久性に悪影響を及ぼすからだ。
Beforeのようにその欠損はただちに補修が施される。
一方で、生コン屋さんの特殊補修「コンクリート打ち放し色合わせ」はあまり知られていない。
⚫︎参考記事:施工前・施工後
「知られていないことは存在していないのと同じ」
こうした打ち放しコンクリート建築を手がけるプロの施工者の方ですらご存知のない場合があるのもこの技術。
なぜか?
それは、堂々とPRできるような内容ではない、ということが挙げられる。
情報発信をして、「知ってもらいたい」と人々を思わせるのは「素晴らしい」「美しい」というとてもポジティブな内容となる。
「自分不細工ですよね」
をウリにしているのは一部のお笑い芸人くらいだろう。
基本、
ましてや、堂々とPRすべきものでもない。
そして、色合わせ施工後も「単なる綺麗な打放しコンクリート」でしかないそれは、建物や土木構造物のように出来上がった後も凛としてその存在を示すものではない、まるで最初から何もなかったかのように、あくまで黒子としての存在を強いられている。
「知られない」条件が全て揃っているのが打ち放しコンクリート色合わせ。
透水性コンクリート《ドライテック》の施工実績は堂々と施工者や製造工場の名前を示して紹介されるものの、これまで紹介してきた打ち放しコンクリート色合わせの実績はほとんどがぼかされているし、元請け施工社の名前など超極秘事項だ。
社内での情報管理ですら徹底的に秘匿を前提としている。
「何でもかんでもブログに晒す」
キャラクターが確立している宮本には誰も秘密を伝えようとしない。
だから、社内共有ですら、完全ボカシ。
必要最低限の情報のみが共有される。
素晴らしい小松英樹(色合わせ担当)の情報管理の徹底ぶり。
閑話休題。
そんなふうに「決して褒められるものではない」という性質が仇となって、必要としている人は無数にいるはずなのに、今もこのスキルに対する世間の認知は薄い。
需要者と供給者のアンマッチングは今日も日本中はおろか、世界中の建築・土木関係者を悩ませている。
「知ってさえいれば、あの若い監督も責任を感じて会社を辞めることなんかなかっただろうに」
よく建築現場に招かれて打ち合わせをしているとこんな話に出会す。
「知らない」
それだけで、会社を辞めてしまった若い現場監督。
「知っている」
というのはこの情報社会にあっても非常に重要なことなのだろう。
それでは、僕たち情報発信者の使命とはなんだろう。
「知らないを、知っているに変えること」
そのことで現場には笑顔が生まれる。
困っている人の表情にパッと光が指す。
僕たちはそのことを十分すぎるほど知っているのだ。
宮本充也