2020/12/31
「応力集中で沈んだり剥がれたり穴開いたりしないですか?」庭ファンに寄せられた質問に勝手に答えるシリーズ#2

質問「車の整備等をする為に、フロアジャッキやリジットラックで車の四輪ともあげる時の狭い面積の荷重でも沈んだり小石がピンポイントで崩れたり剥がれたりして穴開いたりしないですか?土間コン施工と悩んでいます」。
答え「絶対に起きないので安心してください」。
ジャッキアップした時に穴開いたりしない?
(アスファルトにめり込んでしまったバイクスタンドの写真)
⚫︎参考記事: 「バイクのサイドスタンドがめり込んだりしませんか?」バイク好きが語るアスファルトあるある
(ジャッキアップなどの)応力集中で沈んだり剥がれたり穴開いたりしないですか?
庭ファンQ:車の整備等をする為に、フロアジャッキやリジットラックで車の四輪ともあげる時の狭い面積の荷重でも沈んだり小石がピンポイントで崩れたり剥がれたりして穴開いたりしないですか?土間コン施工と悩んでいます、、
庭ファンA:特に強度面でも問題ないですよ。 逆にジャッキアップで土間の勾配のほうが困るという声のほうが多いですね。 心配なら、ジャッキマットなどで荷重を分散をしてもらえる良いです。
⚫︎参考記事: 埼玉県 念願の平らな駐車場でジャッキアップ!喜びの声
なんで、ドライテックは大丈夫で、アスファルトは大丈夫じゃないのか。
庭ファンに寄せられる質問。
実に良い。
実に、素人だ、いい意味で。
僕たちのような専門家・プロに市場と顧客の実態をよく示してくれる。
専門家の近視眼になってしまうリスクを減らしてくれる。
そうなのだ。
一般市民が駐車場の舗装に寄せる期待値は千差万別。
僕なんかは車に乗るのも嫌いだし、車いじりや洗車なんか絶対にしないが、僕みたいなやつはごく少数で、世間一般では愛車に乗るのが好きだったり、整備したり洗車することで癒される人も多いのだ。
自分が常識だと思っていたら(特に僕の場合は)大間違いだ。
「荷重でも沈んだり小石がピンポイントで崩れたり剥がれたりして穴開いたり」
一般の方々はこんなことを心配されているようなのだ。
冒頭に示した写真。
バイクスタンドがめり込んでるやつ。
あれは、アスファルトだ。
一方、ドライテックはコンクリートだ。
一般にはどっちも似たようなもん、としてごちゃ混ぜにされていると思うが、アスファルトとコンクリートはまるで異なる物質であることが、今回庭ファンに寄せられた質問の答えとなる。
アスファルトは熱可塑性樹脂。
アスファルトには、「感温性材料」「軟化点」という言葉がある。
(コンクリートにはない)。
アスファルトがどうやって固まるかを知っている方は思い出してほしい。
140度もの高音で現場に運び込まれるアスファルトは、継目転圧、初転圧、二次転圧、仕上げ転圧の順に締め固められる。
50度を下回ると交通開放される。
熱いうち(70度以上)に施工される。
つまり、冷めたら固まる。
熱くなったら流動性を帯びる。
そんな性質の材料。
応力に対しても同様の性質が見られる。
(わだち:https://images.app.goo.gl/2jvrsVhB2qdcdEXm8)
荷重が集中するとこのように凹む(流動性がある)のもアスファルトの特性。
今回庭ファンにお寄せ頂いた質問は、アスファルトのこうした性質のイメージが背景にあるものと言える。
コンクリートはC-S-H結晶硬化体。
CaO-SiO2-H2O(珪酸カルシウム水和物)の略称。セメント水和物の大半は「Si」に対する「Ca」の割合が1.0〜2.0程度の<chrome_find class="find_in_page">C-S-Hである。
(太平洋セメントHPより引用)。
(セメント粒子が水H2Oと反応してc-s-hという結晶を生成し硬化していくメカニズムを示したもの:https://images.app.goo.gl/1JuFkFgoz8hHKpd98)。
冷めたら固まるアスファルトに対して、コンクリートはSiやCaによる結晶構造物の生成がその硬化の裏付けとなる。
Si、ケイ素、身近なところで、ガラス。
Ca、カルシウム、身近なところで石灰石、つまり、石。
そんな物質に由来された結晶がコンクリートの正体。
さて、
「ガラスは太陽にさらされて緩んだりするだろうか」
「石は荷重がかかって凹んだりするだろうか」
これが、答えだ。
もちろん、1000度以上の高温にさらされれば溶けたりはするだろうけれど、一般の供用環境(エクステリア駐車場)でそんな高音に晒されることはないだろうし、1000度以上に晒されるエクステリアなんて嫌だ笑。
確かに、アスファルトとコンクリートは一般にはそれほど違うものとは捉えられていないだろう。
専門家でなければなかなか答えられない違いだとも思う。
ただ、こうした知識をしつこく粘り強く、毎日毎日検証してインターネットの海に投じる活動もまる5年を迎えようとしている。
この蓄積で少しずつだが施工者らの意識も変化しようとしている。
プロの僕たちからしたらとんでもないふざけた誤解を受けているコンクリート(コンクリートから人へ)。
でも、そこでヤケを起こしてはいけない。
そんな誤解を少しずつ少しずつ解いていくのも僕たちの仕事。
そもそも、僕たちは世間一般に対して自分たちの価値の発信をこれまでしてきただろうか。
誤解されても仕方ない。
知られていないことは存在していないのと同じこと。
熱心に、粘り強く。
僕たちの価値を世間に発信していこう。
生コンは素晴らしい。
「生コンをもっと身近に」
地球に蓋しないコンクリートの普及のためには、何よりも情報発信が重要だ。
宮本充也