2021/01/12
【東京】「(土間コンだと)冬場のこの面積なら8時までかかっちゃうよ」岡庭建材工業

東京新宿区。施設アプローチ・駐車スペースに採用。設計図面に元々「ドライテック」が指定されていたことが採用理由。新宿区という土地柄か、狭く制約条件の多い現場だった。 (二見メンバー共有)。
製造:岡庭建材工業、施工:匿名希望(25m2、100㎜厚、3名、90分)
それでも続ける?土間コン(オワコン)
施工Before。
このところ増えてきたこうした施設建築外構での設計指定。
元々設計事務所や発注者らがドライテックを計画当初から念頭に置き図面に「ドライテック」と表示してあるケース。
こうした物件が増えてきたことは、つまり「外構舗装の常識」「標準的な舗装」というポジションを担いはじめたということ。
今回の現場は発注者、設計事務所ともに情報管理には敏感だったため、詳細情報は伏せ写真にもぼかしを入れて紹介することとなった。
新宿区にあるとある施設建築外構現場だ。
施工人員は3名。
長方形の奥から順に材料を敷設しトンボなどで平らに均す。
水勾配は必要がないので従来の土間コンに比べても平らにでき熟練度も必要としない。
最初に端部をタンパで転圧し、中の広い部分をプレートコンパクタ(30kg)で締め固めていく。
この施工要領はDIYerにとっても敷居が低い。
プロにかかれば朝飯前の作業となる。
施工After。
25m2の施設外構舗装は3名で90分で完成。
以下は、施工者らの声(二見メンバー共有)。
「慣れれば簡単だね」
「土間コンよりも楽だね」
「(土間コンだと)冬場のこの面積なら8時までかかっちゃうよ」
「桝の設置が、予定よりも低かったけれど、(ドライテックで)すり合わせが出来たから収まったよ」
「はじめての施工だったからどんなものか分からなかったけど、(施工指導に)来てもらえて助かりました」
それでもまだ、土間コン?それでもまだ、アスファルト?
施工者の声にもあるように、「冬場のこの面積なら8時までかかっちゃうよ」の声。
今回は設計図面に幸運なことに「ドライテック」と指定されてあった。
もしこれが、「土間コン」ないしは「アスファルト」だったら、こうはなっていなかっただろう。
これまでの土間コンの常識
- ブリーディングや仕上げなどで作業が1日仕事となる
- 左官屋さんと生コン屋さんの予定が合わず工期がずれる
- メッシュ配筋施工の面倒と打設中の足元の面倒
- いつも頭を悩ませる水勾配の問題
- 土間コン表面に発生する「色むら」と「ひび割れ」でお施主さんとトラブル
- そのほか面倒くさいが沢山
新しい土間コンの常識
- 夕方から打てる土間コン→完成までたったの30分(住宅外構)
- 午後なら生コン屋さんの予定も入りやすい
- 水勾配を考えなくてもいい、透水性コンクリート
- メッシュ配筋の設置不要、打設作業も楽
- ペーストがないから「色むら」がない「ひび割れ」が見えない
- その他ハッピーが盛り沢山
(出典:https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/)
さらに、アスファルトだった場合、今回施工されていた彼らの出番はなかっただろう。
アスファルトの場合は生コンと違って「材料を買って自分たちで施工」というよりはどちらかというと舗装会社に材料・工事合わせて発注するケースが大半。
だから、図面に「アスファルト」とあれば今回施工した彼らの仕事はなかった。
さらに、この面積だと確実に高くつく。
材料・工事共で発注する場合、面積が小さければ小さいほど固定費が嵩み高くつくのだ。
僕個人的に16年もの歳月をこの舗装材料に捧げてきた。
つくづく感じるのは、「一旦形成されてしまった常識を変えることの大変さ」。
まるで、分厚くて硬い岩盤をせっせと削っているような感じ。
削れども削れども穴が穿たれない。
ハンマードリルを持って分厚くて硬い岩盤を削ってるような毎日。
来る日も来る日も手の感覚がなくなるほど削り続ける。
それが、毎日ブログ3本更新という作業だ。
これで5年となる。
さらに5年で10年やることにコミットしている。
ここ数年は動画にも力を入れはじめ、今年からはさらに追加する。
⚫︎参考動画:「2021年からは長短組み合わせた動画発信だ!」(週刊生コン 2021/01/11)
その甲斐もあり、少しずつだが今回のように「初めからドライテック」みたいな現場も増えてきた。
それでも、大半は「土間コン」であり「アスファルト」が今日も施工されている。
まだ全体からすれば微々たる面積。
だが、16年前から比べたら雲泥の差。
指数関数的な成長を始めているといってもいい。
「(土間コンだと)冬場のこの面積なら8時までかかっちゃうよ」
そんなのが常識でいいはずがない。
「地球に蓋するコンクリート(土間コン)」そんなもんが常識でいいわけがない。
今日も、明日も。
とりあえず、向こう5年以上。
生コンポータルではこのテンションで、誰に関心を寄せられずとも、誰のリアクションが無かろうとも、この情報発信を続けるつもりだ。
5年後には絶対に舗装の常識としての地位を盤石たるものにする。
コンクリート産業から、失われた自然と人との関係性を取り戻す貢献を約束する。
宮本充也