2021/03/29
「生コン産業が登るべき山に舗装を!」(週刊生コン 2021/03/29)

僕たち生コン産業のこれからの生きる道は舗装だ。そう確信するだけのヒントが先週1週間には揃った。紹介しきれないほどバズっている生コン屋さんのポーラスコンクリート舗装「ドライテック」。新たに寄せられる時代のニーズ、カーボンニュートラル、SDG's、ESG評価。打開策はコンクリート舗装、あるいは造園にある。
生コン産業が登るべき山に舗装を!
⚫︎先週の記事1: コンクリート舗装推進協議会会報 第2号「我が国でのコンクリート舗装の歴史」
建築、土木。
生コン産業70年。
70年前は80:20でコンクリート舗装が主流だった時代から、現在5:95の5に低迷している。
そして迎えたカーボンニュートラル。
原油から得られるアスファルト。
製造所でも高温で加熱されCO2を焚きながら現場に届く。
5:95で舗装×生コンクリートという視点で捉えればそこはブルーオーシャン。
ブルー・オーシャン戦略によると、血で血を洗うような競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海)」とし、そこから可能な限り脱却して、競争のない理想的な未開拓市場である「ブルー・オーシャン(青い海)」を切り開くべきだと説いている。(Wikipediaより引用)
伸び代しかない分野。
現在のコンクリートでそんな市場は存在するだろうか。
新しい時代が産業に要求する性能は「自然を支配する」を停留とする建築・土木が求めてきた「高性能」ではない。
(より高い強度、耐久性、その他性能)
CO2収容性、LCC、資源循環。
持続可能を求める社会に応えられる全く新しい性能群。
地球に蓋をし、人々の利便性のみを追求する姿勢ではない。
草花や樹木など植物、あるいは生物と調和する新しい性能を帯びたコンクリートテック。
これまでの建築・土木の延長線上にその答えはない。
⚫︎先週の記事2: 「建築系、土木系に加えて、舗装系、造園系のコンクリートの専門家の時代へ」
僕はこれまで多くの生コン技術者と交流してきてコンクリート主任技士と舗装施工管理技士を併せ持っている技術者に一度もお目にかかったことはない。
せいぜい道路会社のコンクリート舗装を専門にしている技術者くらいのものか。
それでも、なかなか併せ持っている方は稀少だ。
ましてや、造園施工管理技士については皆無と言っていい。
今まで一度もお目にかかったことはない。
つまり、建築・土木を前提としたコンクリートは自然を支配するものと捉えている。
あるいは、舗装はそもそも市場として捉えていないということがここからもわかるところだ。
上述のように、5:95はつまりブルーオーシャン。
未開拓の市場がそこにはあって、僕たちはその気さえあればそのフィールドを自分たちの活躍の場とすることができる。
⚫︎先週の記事3: 4月12日10:00配信START!!「カーボンニュートラル社会を実現するための実装」(月刊残コン Vol.46)
⚫︎先週の記事4: 「《戻りコン逃れ》生々しい実態と生コン屋さんが評価する《ゼネコンランキング構想》について」内山アドバンス・RRCS
カーボンリサイクルだけじゃなく、資源循環の角度からも道路舗装という分野は相性がいい。
そもそもがアスファルトは石油精製の過程で発生してしまう残渣のリサイクル(資源循環)に端を発している。
(なお、現在精製技術の進化により残渣の発生は抑えられるため、今はある意味では発生させる必要のない残渣・副産物をわざわざCO2を焚いて作っているということができる)
さらに、企画。
特に土木、建築、とりわけ建築の梁や柱などの構造物については厳しい規格の要求がある。
人々の暮らしの安心・安全。
所定の強度や耐久性が得られない製品であった場合悪い場合には人命に関わる。
そのため、自然を支配しようとする文脈を底流にもつ建築・土木を規制する規格群は高度化してきた歴史がある。
一方の舗装分野に用いられてきたマテリアルは塑性材料アスファルト。
コンクリートのように鉄筋と組み合わせて構造体に用いられるものではない。
アスファルトは疲労破壊輪数、PSI(供用性指数)やMCI(維持管理指数)などの用語でもわかるようにたわみ、ひび割れ、ポットホールなど、供用に従って変形する性質が前提となっているため、強度と耐久性に秀でているコンクリートを規制する規格はない。
つまり、建築・土木に比べるとコンクリートの配合自由度が高い。
CCU(カーボンキュアなど)や再生(回収)骨材、特殊コンクリートとしてのポーラスコンクリートなどが採用されやすい土壌であることがわかる。
先週たった1週間だけでも、「これからの生コン産業が進むべき道は舗装」であるということがわかる。
そしてそれは机上の空論として生コンポータルが勝手に主張を展開しているだけではない。
今となっては全て紹介しきれないほどの勢いでバズっているポーラスコンクリート舗装「ドライテック」。
施工実績を振り返れば、それが単なるどこぞのブロガーの戯言と言って片付けられるものでないことくらい理解できるはずだ。
人口半減社会。
ESG評価、カーボンニュートラル。
拡大再生産の文脈で臨めばそれはリスクや脅威でしかない。
ただ、支配から調和というパラダイムシフトを経て現代を眺めれば、それはチャンスや強みに変貌する。
コンクリートの中性化(CO2収容性)、CCUの適応、再生骨材の配合、ポーラスコンクリートの普及。
これら新たな文脈で規定される各種性能が生きるのは出口の見えない従来の建築・土木ではなく、舗装や造園であることは自然に理解される。
樹木や草花がCO2を収容することくらい誰だって知っている。
植物と調和する。
地球に蓋しない。
「生コン産業が登るべき山に舗装を!」
舗装がなければ登りにくいからね笑。
こうして考えるとリスクや弱みも別の視点で捉えるとチャンスや強みに変貌する。
コンクリートが新しい時代に役に立つことはわかった。
あとは、それを実践に移し、形にしていくだけ。
登る山が決まったら、あとは登るだけ。
気が楽になった。
宮本充也