2020/05/07
「開粒度アスファルトって何?」ドライテック【透水性コンクリート】のメリット&デメリット\話題の素材/(補足と回答 #4)

いろいろ調べていると出てくる「透水性をもっている舗装」。専門家に聞いたりすると「開粒度アスファルト」なる舗装があって、同じくこちらも水を通すという。一般には理解しづらい違いその違い。「開粒度アスファルトって何?」。それは、アスファルトとコンクリートの違い。
アスファルトとコンクリートの違いについて
生コンポータルの回答:開粒度アスファルトとは、密粒度アスファルトと異なり舗装を構成する骨材(小石)の粒度分布が均一ではなく、特定の粒径で構成され空隙(隙間)の多い構造を有するアスファルトです。ポーラスアスファルト同様その空隙は水を通すための空隙を意味し、もって透水性能が得られる舗装材となります。
一方、ドライテックとは透水性コンクリートの仲間であり、同じく特定の骨材サイズだけで構成され空隙(隙間)の多い構造を有してはいるものの、その結合はアスファルトではなくセメント・コンクリートを根拠としています。
いずれも、「透水性能」を有することでは同じです。
わかりやすい違いとしてはまず、アスファルトの見た目は「黒」く、一方のドライテックは「白」(業界用語ではアスファルトを「黒舗装」、コンクリートを「白舗装」と呼んでいる)い。
さらに、アスファルトは有機質(石油由来)であるため、プラスチックや輪ゴムの仲間。紫外線劣化や荷重によるたわみなどで透水性は時間と共に失われていく(目つぶれと呼ばれ透水性の回復は不可能)一方、コンクリート(ドライテック)は無機質(ガラスや石材の仲間)であるため、たわみや空隙の閉塞による目つぶれは起きません。
土ぼこりなど異物による「目詰まり」が生じ透水性が低下する懸念はありますが、ケルヒアなど高圧洗浄を用いることで透水性は回復可能です。
アスファルトは有機物、コンクリートは無機物
「アスファルトは何からできてますか?」
セミナーや見学会でよく投げかける質問。
答えは、「石油からできている」。
原油を生成していく過程で発生する成分を利用したものがアスファルト。
昭和の時代を生きた人たちの教科書にはそのように記載されていた。
平成、そして令和の子供達の学ぶ教科書には載っていないのでこうした知識もきっとこれから埋れていくことになるだろう。
閑話休題。
質問の「開粒度アスファルト」もそんなアスファルトの一種。
透水性コンクリートと同様、ポーラス構造といって、特定のサイズの骨材(小石)だけをアスファルトで結合しているのが、開粒度アスファルト。
だから、水を通す。
ただ、結合方法の違いによって、その後に大きな差がついてくる。
アスファルトは石油からできている。
つまり、石油製品だから、輪ゴムやプラスチックのように耐久性は限定的。
一方の透水性コンクリートはコンクリートを名乗っている以上無機質、つまりはガラスの仲間。
西日に30年照らされて溶けた窓ガラスの話ってきいたことありますか?
こちらもセミナーでよく投げかける質問。
無機質である以上、その耐久性は有機物の比ではない。
目詰まりと目つぶれのちがい
併せて混同されるこの「目詰まり」「目つぶれ」の違いについても言及したい。
アスファルトもコンクリートも同様に、「目詰まり」は起きる。
目詰まりは土ぼこりなどの周辺環境から空隙に侵入する異物により目が詰まる現象。
もちろん、こうなればアスファルトもコンクリートも透水性が低下するため、メンテナンスが必要。
透水性コンクリートの目詰まりを回復している動画(https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/blog/post_757.html)。
物理的に異物が詰まっている状態だから強制的にその異物を除去するだけで透水性能は回復する。
一方の、目つぶれ。
一般には混同されがちだがこちらはアスファルト固有の現象となる。
コンクリートはガラスの仲間である一方、アスファルトは石油製品。
ポリバケツや輪ゴムがそうであるように、変形特性(塑性変形)特性を有している。
簡単に言うと、ぎゅうと力を入れると形が変わる。
一般にはわだちと言う現象が身近で、アスファルトは写真のように荷重に対して変形する性質を有している(出典:https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/blog/post_757.html)。
このように変形してしまうため、確保されていた空隙も「つぶれ」てしまい、透水性は失われる。
他にも、紫外線劣化などで耐久性が失われ、空隙そのものがアスファルトモルタルで閉塞してしまい「つぶれる」ことも知られている。
こうして「つぶれてしまった」空隙は回復は不可能。
永遠に水を通すことはない。
再施工(やりなおし)しか道はない。
なるべく一般にも通用する言葉を選んだつもりだが伝わっただろうか。
一般と専門家の間には広く深い隔たりがある。
こちらはコンクリートあるいは周辺の知識に関して20年の経験がある。
昨日、今日、庭づくりをきっかけにいろいろ調べ始めた人には得難い知識体系を習得している。
ただ、残念なことに、そうした専門家の知識はBtoBの建設産業の中に閉じられ埋もれている。
生コンポータルではなるべくこうしたBtoBの知識を広くBtoCの文脈に載せて情報発信をする活動を展開している。
今後も、WEB上で展開されている一般の方のコンクリートに寄せられる質問に生コンポータルドメイン内で答えていきたいと思う。
善意であっても他所様のドメインに書き込めば宣伝や売り込みの類とみられお互いに不愉快な思いをするからだ。
「生コンをもっと身近に」
生コンポータルの活動を通して僕たち専門家のフィールドを押し広げもって社会にもっと貢献できる産業を目指したい。
宮本充也
※開粒度アスファルト(https://www.dohkenkyo.net/pavement/meisyo/kairyudo.html)