2021/01/31
「大地を削らない、汚さない、蓋しない、CO2を収容するコンクリート」blue planet・ポーラスコンクリート

注目の技術分野、CCU(carbon capturing & utilization)の1に数えられるBlueplanetは昨年三菱商事が資本提携したことで話題になっている。廃コンクリートとCO2を合成することによって炭酸カルシウム骨材を生成することで計量骨材が生成される。ポーラスコンクリートへの適応について。
ポロシティ、保水、表面積、内部養生、カーボンマイナス
(出典:三菱商事プレスルーム)
人工炭酸カルシウム骨材
発電所やセメント工場など大量のCO2発生が見込まれる場所でえられたCO2を廃コンクリート(無論、残コンも含まれる!)と合成し炭酸カルシウム骨材を生成する技術。
カーボンリサイクル骨材。
米国では計量骨材(あるいは、Internal curing aggregate、内部養生骨材)として普及が始まっているという。
軽量、つまり、多孔質で、CO2由来の骨材はCCU(carbon capturing & utilization)の1だ。
日本では「軽量骨材」という響きに用途の制限をイメージする向きも多かろう。
事実、生コン、特に建築の分野では計量骨材コンクリートの普及は限定的だ。
往時はコンクリート構造物が高層化していくに際してなるべく構造物の重量を軽量化するニーズがあったため嵩上げコンクリート(防水抑えなど)に多用されていた。
次第に、「軽くするより、耐えられるように、コンクリートを高強度化した方が合理的」という認知が広がり、今では計量骨材コンクリートの使用は制限されている。
「わざわざ高い金払って、製造してくれる工場も限られてる、計量骨材コンクリートなんかオワコン」というイメージが付き纏っている。
そんな中にあって、いかにCCU、カーボンニュートラル、とはいえ、その出口(用途)開発がなかなかおぼつかないのではないか。
そういうふうに思っている人は、素人だ笑。
「できない理由」からしゃべり始めていないか。
CO2由来の多孔質・計量骨材Blueplanetの用途はめっちゃある。
適用される領域は、建築でもなく土木構造物でもない、コンクリート舗装。
この技術をベースにプロダクトミックスを重ねれば市場は世界の地面、つまり舗装を想定できる。
巨大だ。
ポーラスコンクリートの主要骨材をCCU軽量骨材にしたらどうなる?
(ポーラスコンクリート)
我が国のポーラスコンクリート舗装はドライテックに代表されるように急速に普及を広げている。
ドライテックは生コン製造者が標準的に備えている2005(骨材最大寸法20mm)の粗骨材を原料としている。
その粗骨材をBlueplanet(CCU計量骨材)にしたらどうなるか。
ポーラスコンクリートは水を通す空隙がコンクリート内部に縦横無尽に迷路のように張り巡らされている。
表面はセメントが数mmと薄く骨材の周りに皮膜している。
セメントは吸水することがわかっている。
浸透する水はセメントに吸収され、さらにはその内部の素骨材、多孔質CCU軽量骨材にも吸収される。
一旦内部に吸収された水は容易に流出しない。
時間の経過とともに徐々に大気中に蒸散していく。
これ、保水性という。
現在の世界では大半の舗装は水を通すことなく完全に大地に蓋をしている。
雨が降ったら水は排水設備に流され貴重な水資源は廃棄されるか、水たまりとなって人々の往来の邪魔になる。
Blueplanetを用いたポーラスコンクリートのイメージは、硬いスポンジで覆われた地球に蓋しない舗装。
大量の水は天候の変化により自在にコンクリートの外、あるいは中に出入り・往来ができる。
そう、ご推察の通り、路面温度は裸の表土と同様に保たれ、200年前、まだ何にも覆われていなかった環境が再生する。
降雨は地下水系に還元され井戸水や湧水は蘇るかもしれない。
根系に豊富な雨水と酸素が届き根上り問題は軽減され緑蔭は人々の暮らしを豊かにするはずだ。
もちろん、それだけじゃない。
そんな舗装が普及すればするほど、僕たち生コン産業が大気中のCO2の固定化・軽減に貢献することになるのだ。
これって、まさしく、ブループラネットじゃん、である。
⚫︎参考記事: 「ポーラスコンクリートが残コンと出会う時」共同研究
すでに、市場は、ある。
あとは、適応するだけっていう、素晴らしい状況。
16年培ってきた透水性コンクリート(ポーラスコンクリート)の経験はあらゆる分野、企業、人に及んでいる。
高規格道路以外の全ての分野に適応されて来た。
市場は、イノベティブなプロダクトの到来をただひたすら待っていた。
ポーラスコンクリートはこの技術との出会いを待ち侘びていた。
CCU技術で任意に、好きなだけ、CO2を固定化する。
カーボンマイナス。
でも、その出口(用途)がなければ、それはただ地中に埋められるか、山として貯蔵しとくしかできない。
ポーラスコンクリートが適応される大地の面積は甚大だ。
全ての陸地と言ってもいいだろう。
あらゆる舗装がカーボンマイナスマテリアルを由来としたポーラスコンクリートになることで、ヒートアイランド現象は癒される。
洪水被害は過去のものとなる。
地球温暖化は過去のものとなる。
それを実現可能なのが、僕たちラストワンマイルが現場に日々届けている、「水の次に流通する材料」生コン産業だ。
「生コンってパッとしない?」
そんなことはない。
もしかしたら、これからの時代、全ての産業の中で最も注目され尊敬を集める、超いけてる職業になるかも。
それは誰かがやってくれることじゃなく、あなたや僕が当事者となって実現するもの。
ともに、大活躍しよう。
最高に楽しもう。
宮本充也