2020/05/03
【盲点】「もしかして透水性コンクリートの製造もDIYが安いと思っていませんか?」だるまミキサー・乾燥生コン

「何事も人の手を借りずに自分でやった方が安くつく」というのはほとんど疑いもなく受け入れれられている考え方だ。ただ、生コンに関しては様相が異なる。以前も紹介した、「自分で作る方が6倍以上も高くなる」という過酷な現実。「もしかして透水性コンクリートの製造もDIYが安いと思っていませんか?」。
DIY vs 生コン屋さん「どっちが安いの?生コン製造」
現場で生コンを製造することのできるだるまミキサー(出典:https://minatodenki-online.jp/shopdetail/000000009930/)。
「自分でやるんだから安くなって当然」
だから、ちょっと敷居の高い生コン屋さんに相談することなく、ホームセンターで自分で材料を買い求めDIYを敢行する。
きっと上級DIYerならこうした発想でDIYを敢行した方もいらっしゃるはずだ。
実は、生コン屋さんで作ってもらった方が6分の1以上安い!
⚫︎参考記事: 【徹底比較】「ホームセンターでDIY生コン(ドライ生コン)が一番安いはまやかし!」生コン価格
以前のブログで冷静に計算したことがある。
乾燥生コンと生コン屋さんの生コン。
実際1m3に換算するとどっちが安いのか。
DIYの盲点ともいうべきか、結論から言うと生コン工場から届く生コンの方が俄然安い。
それもそのはず、乾燥生コンのようにチマチマとしたロットで購入しない生コン工場の原料調達は数千t単位で行われている。
そんじょそこらの建材店やホームセンターとの調達ロットの差は3桁なのだ。
だから、生コンの製造(だけ)はDIYでも敵わないということになっている。
そもそもが家具や花壇のようなところで用いられる物品ではなく、ダムやビルのような巨大構造物に用いられる製品、生コン。
DIYの盲点とも言っていい。
生コンポータルに寄せられた問い合わせ。
「DIYでだるまミキサーを使い、庭の下地をコンクリで仕上げる計画があります。(約15坪」
さて、一般の方はこの希望を当然のように読み込むはずだ。
ただ、悪いことは言わない。
考え直した方がいい。
その理由を冷静に以下に記す。
15坪といえば、1坪だいたい3.3m2だから、およそ50m2。
実際に50m2とはどんなもんか生コンポータルの過去の実績を改めて見た。
だいたいこんな広さ。
で、どのくらいの材料を必要とするかというと、50m2×0.1(10cm厚)÷0.8(20%のロス)=
6.25m3(立方メートル)
で、じゃあだるまミキサーで何回製造をしなければならないかといえば、容量がだいたい30ℓとなるため、6,250ℓ÷30=
209回
この時点で心折れてませんか?
そもそも、製造をポンとするだけで終わりというわけでもない。
その前に材料いちいちの計量という作業がある。
到底1日や2日では終わらない作業量となる。
こちらが透水性コンクリート「ドライテック」の1m3あたりの使用材料を通常の生コンと比較したシート(出典:https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/blog/2005.html)。
しかも、ホームセンターで買ってくる材料の方が生コン屋さんに頼むよりも 6倍以上高い。
生コンDIY製造は、
⚫︎生コン屋さんよりも高いです
⚫︎209回もの製造作業が必要となります(労力)
⚫︎時間は1日や2日では終わりません(時間)
これでも、DIY生コン製造を強行するだろうか。
もちろん、DIY生コン製造にはいい部分もある。
「自分のペースで施工できる」
一度に0.5m3とか1m3とか大量に持ち込まれる生コン屋さんの生コンと違って、自分ペースを乱されることはない。
好きな時、深夜だって早朝だって休みの日だって、自分で作れるのは魅力。
ただし、今回の問い合わせのように15坪(もっといえば、4m2以上)の施工では絶対的に生コン屋さんに頼んだ方が得ということになる。
もちろん、それでも「混和材だけ譲って欲しい」ということであれば対応はします。
ただし、プロの視点からあまりにも無謀だし、もしそんな環境で強行してもきっといいもの「仕上がりや耐久性」を作り上げることは難しいはずだ。
将来的な構想として近所のDIYを手伝うということもあるようだが、それなら俄然だるまミキサーではなくて最寄の生コン屋さんとの関係性を構築しておいた方がお得だ。
せっかくのお問い合わせ。
こうして真っ向から反対意見を突きつけられるとイラッとするかもしれない。
ただ、こちとら70年産業生コンなのだ(僕自身は20年目)。
正直言って、個人のDIY向けの生コン販売なんてそれほど魅力があるわけじゃない。
ビルやダムの生コン配送と違って一般の方への生コン販売は手間ばかりかかって利益は少ない(かといって軽んじているわけではない)。
それでも僕たちはDIYや一般に向けた生コンの情報発信をしている。
一般の方々の誤解は誤解としてきちんとお伝えすることを持って誠意の印としたい。
宮本充也