2020/10/22
「僕たちプロが欲しいのは《ありがとう》という一言」いよいよ念願の工事スタート!【ドキュメンタリー】旧友からのLINE(その7:残土処分・路盤)

高校時代の友人から突如寄せられたLINEによりDIYで透水性コンクリートを自宅の外構に施工することになった小島君。いよいよ施工の蓮華寺創建も乗り込み工事が始まった。「いよいよ念願の工事スタート!」。掘削、そして懸案となっていた残土処分、そして路盤工の様子。ここでは等身大の生々しい庭づくりの実態を追う。
旧友の庭づくりがいよいよスタート
小島様邸外構工事「いよいよ念願の工事スタート!」。
施工の蓮華寺創建さんとの取り合い調整(どこまでをどちらが担当するかについての協議)のために現地に赴いた。
新築完成から1年にも及ぶ長丁場。
本日に至るまで施主本人、小島くんが最も大変だったろうと思う。
また、なるべく予算をかけたくないということもあり、DIYを決意することもそれ相応にストレスがあったと思う。
すきとり(残土処分)の様子。
⚫︎参考記事: 「DIYに欠かせない《残土処分》て実際どんな感じで依頼するの?」ゴミの日には捨てられない残土(建設発生土)
残土処分DIYマニュアル動画。
小島君によればなんと幸運なことに近隣の農家さんで残土を必要とされている先があるという。
普通に処分すればそこそこのお値段を取られる残土。
残土、とはいえ、廃棄物ではない。
どこかで利用してくれる先が今回のようにあれば、それは費用がかからず処分することができる。
そういう意味では(透水性コンクリートの普及に携わっている)僕と友達だったことと加えて、彼はとてもラッキーだ。
とても、「モッテル」。
路盤・舗装工事の様子。
理想は全て透水性コンクリートで施工したかったところだが、うらやましいことに「広すぎる敷地」が仇となり敷地の大半はリサイクル砕石で雑草対策とした。
生コンポータル(長岡さくら工場)では残コンを再生利用した砕石の売れ行きがとても好調だ。
粒度分布も良好で施工者さんたちの評判も上々。
手前側はリサイクル砕石をトンボで敷き均しプレート(30kg)で転圧して仕上げている様子。
逆から撮影した写真。
手前側は透水性コンクリートドライテックが施工予定の場所で、リサイクル砕石は下層路盤材(下地)として利用されている。
向こう側はリサイクル砕石をそのまま仕上げ舗装として雑草対策とする。
現地では透水性コンクリートやサイクルポートの設置に先立ち細かい打ち合わせがなされた。
僕たちプロにとって友人や知人からの注文は結構複雑だ。
小島君、ごめんね。
現場打ち合わせの時にやにわにぶち切れてしまって、今は少し反省しています。
その時にも言ったことだけど実はずっとこの現場については蟠っていました。
僕たちプロはその仕事で見知らぬ人たちに価値を届けています。
ある意味ではそうした仕事は定量化されプロセスに基づいて届けられています。
適切な利益、適切な対応。
ただ、今回のように「高校時代からの友人」みたいな旧知の間柄を相手だと頼まれてもいないのにいろいろ心を砕きたくなリます。
特別扱いしてご奉仕したくなる。
今回僕がぶち切れた直接の要因は以下のやりとり。
小島「このリサイクル砕石は大体どのくらいかかるの?」
宮本「RC砕石は原価500円に加えて、輸送量がかかるから、それはまさつぐさんからご案内するね。3台分だから数千円てところだと思うよ」
小島「うん。わかった。ドライテックの材料代はどのくらいになりそう?見積書とか出せる?」
(この時点で、原価で出しているこちらの意図が伝わっておらず、ありがとうの一言もないことにブチ切れ寸前)
宮本「・・・、まさつぐさん、見積書なんか面倒だから、だいたい50m2で6.25m3だから、この場で口頭で答えてよ」
(僕の苛立ちに気付いてくれという意図を込めた雑な対応)
まさつぐ「6.25m3×23,000円だから、143,750円税抜きです」
小島「はい、わかりました。」
宮本「いや、今普通に23,000円て言ってるけど、通常お客様には35,000円から40,000円で売ってるよね?まさつぐさん?」
小島「はい、了解。」
ここで、ブチっと僕の堪忍袋の緒が切れた。
こちとら、友人からの依頼ということでこれまでそれなりに特別な便宜を図ってきたつもりだった。
別にこちらから売り込んだわけでもない。
さらには、映画「透水宣言」のロケとして場所を提供してもらえることを条件に協業エクスショップさんから無償でサイクルポートを提供してもらうことまで提案していた。
普通では考えられない好条件を友人だからというだけで提示していたつもりだ。
何度も現地に時間を割いて足を運んできた。
その提案に、
「(撮影やプロモーション上)メリットがあるならお互いいいよね」
というコメントに僕はかなり苛立っていた。
そうじゃねえだろ、「ありがとう」だろ。
その一言で僕たちプロフェッショナルはただただ安らげるのだ。
なのに、なかなか「ありがとう」を言わない。
同級生に対して素直になれないとかそういうことなのだろうか。
そんなわけで、ものすごく蟠っていたので、毎度ながらブチ切れさせていただいた。
もう、絶交を覚悟して「めんどくせえからその辺の生コンでも買って自分で施工すれば?」とその場を引き揚げようとした。
小島君、慌てて僕を引き止めてくれて思いに理解を示してくれて「ありがとう」と言ってくれた。
こちらこそありがとう。
僕たちが欲しかったのはたったそれだけ。
「ありがとう」という5文字。
相手が友人だからってわけじゃない。
たとえ相手が「はじめまして」の一般のお客様だったとしても。
僕たちプロはそういう気持ちで仕事をしている。
「ありがとう」が僕たちを勇気づけ鼓舞する。
そして、僕たちも心底「ありがとう」とお返しする。
そのことだけはわかって欲しかった。
という舞台裏の話がありました笑。
(我ながら面倒くさいやつだなと思いつつもごめんね笑)
泣いても笑っても、小島邸外構工事はいよいよ本格的にスタート。
DIYだし、材料供給がなんと同級生で原価で提供してくれる生コンポータルだし、エクスショップさんも便宜を図ってくれるし、きっとものすごく安くて愛着のある素敵な庭になると思います。
今回は材料工事共で受注するわけではないDIYなので、小島君自身にも汗かいてもらうことになります。
ただ、僕たちはプロとして無責任ではなくきちんとお施主さんを支えるつもりです。
この機会を通して友人同士としても、そして施主とものづくりの担い手としても、素晴らしい関係を構築することで、いい機会、いい時間にしていきたいと思っています。
次回はいよいよサイクルポートとドライテックの施工。
念願のマイホームに素晴らしいお庭。
夢の実現を心よりお喜び申し上げます。
後一息。
いっちょがんばろう。
素晴らしい庭づくりを!
宮本充也