2020/06/24
「生コン工場向け 透水性コンクリート《ドライテック》製造方法」映画「透水宣言」

現在透水性コンクリート「ドライテック」製造実績のある生コン工場は348工場。急速に広がりゆく普及を支えるためには全国各地のもっともっと多くの生コン工場の協力が必要だ。映画「透水宣言」の一幕「ドライテック製造マニュアル」。生コン工場にとって、もっともっと身近になるために。
透水性コンクリート「ドライテック」製造マニュアル
透水性コンクリートの普及のためには、生コン工場での製造工程もぜひ見てもらいたい(映画「透水宣言」より)。
ドライテックの製造工程はいわば「舞台裏」。
お施主さんや施工者さんにとっては本来は関係ない。
だからと言って僕たち製造者がその様子を見せず隠していたらこれまで72年間歩んできた生コン産業の延長になる。
市場と顧客が興味を持つ持たないは別として、包み隠さず全てを市場と顧客に晒すことが「いいものづくり」に繋がるのではないか。
また、今普及が加速する透水性コンクリート「ドライテック」はまだまだ「全国津々浦々どんな山間僻地でも電気や水道のように届く」までにはなっていない。
供給体制が348工場を数えたとはいえ、まだまだニーズに万全に応えられるような体制ではなく、目標800工場さらなる生コン工場の協力体制の構築が急務だ。
その重要な施策として「ドライテック製造マニュアル」を映画「透水宣言」のシリーズの1とし、実際の生コン工場を舞台に撮影を行った。
以下、製造方法のフロー箇条書き。
⚫︎配合を製造用PCにあらかじめ入力しておき生コン製造(特殊混和材別)が始まる(配合:https://drive.google.com/file/u/1/d/184ShfadlE6GrZLmZ9fSk9nCvSsaxDhoK/view?usp=sharing)。
※詳細については生コンポータルのメールフォームで確認しよう。
⚫︎生コン車への投入の際にはドラム(材料を運搬するための容器)を高速攪拌しておく。
⚫︎1m3あたり、特殊混和材(F材・2.5kg・高分散)を4包み投入する。投入は4包みを一気に行うのではなく、生コン投入(積み込み)の始めから終わりにかけて4回に分けて行う。そうすることでF材が満遍なく材料に分散する。
⚫︎F材投入と同時に超遅延剤(動画中では誤って「高性能AE減水剤」と説明されている)を投入する(配合表参照)。
⚫︎材料投入が完了したら検品の前に2分間さらに高速攪拌を行う。
(以上、F材・超遅延剤の投入フロー)
⚫︎検品(コンシステンシーの検査)
従来の簡易な方法としては容器に試料を入れて30回シャッフルした際の材料の状態を目視で確認する。
この時点でペーストで隙間が閉塞しているようではダメ。
一方、照りがなく乾いているようでもそれは硬化不良(ドライアウト)が懸念される。
写真のように適度に隙間が確保され照りがある状態がベスト。
試料を排出した後のペーストの付着度合いを目視で確認する。
この時写真のようにまばらにペーストが付着しており容器の向こう側は見えるようでなければならない。
ペーストで向こう側が見通せなかったり、逆に全くペーストが付着していないようでは調整が必要となる。
(⚫︎参考記事: 【富山】「新しい品質確認方法について」あづまコンクリート工業 )
※検品は現場荷下ろし時にも行われる。
材料がしっかりしていれば施工は捗る。
逆に、材料に不具合がある場合はどんなに施工でカバーしても満足のいく出来型は望めない。
日本中の生コン工場で当たり前に製造される時代が来れば、日本の大地は蓋されず再生する。
降雨は舗装や排水設備に遮られることなく地下水系に還元され湧水や井戸水は復活する。
根系に十分に水と酸素が届けられた樹木は実り緑陰は人々の暮らしを豊かにするだろう。
自然と人が調和する世界。
その第一歩は生コン工場での透水性コンクリートの製造となる。
宮本充也