2020/09/16
【茨城】「顧客自身すら気付いていない隠れた《ニーズ》はなんなのかを探り当てる感性」寺田工業・廣瀬建材

茨城県龍ヶ崎市。施工者の寺田さんが透水性コンクリート《ドライテック》を知りご近所のお宅にすすめて採用犬走。施主から希望されるのではなく、ごくまれに施工者が主体的に提案して採用されるが、今回はまさにそんな現場。顧客に寄り添い仕事をする施工者は寺田工業。
製造:廣瀬建材(担当:小山礼人)、施工:寺田工業(担当:寺田達哉、40m2、100mm厚、4名、2時間、庭コン)。
施工動画
積極的に提案された透水性コンクリート
施工Before。
提案はなんと施工者から施主へ。
従来施工者は保守的になりがちであり「新材料」「新工法」に対しては警戒する生き物笑。
なぜなら、実績や信頼の確かなモノでない新しいものを下手に提案してクレームに発展したらその工事の利益が簡単に吹っ飛ぶし、お施主さんからの信用も失うからだ。
だから、まだまだエクステリアの分野では新参者とみられる透水性コンクリートは敬遠されることが多い。
「お施主さんが透水性コンクリートを希望して」
渋々セミナーや見学会に参加して消極的に施工するケースの方が多い。
施工Before2。
今回のような施工箇所「犬走り」は事実水はけ(水勾配、排水設備)の設置に悩みがち。
また、舗装をしないでいれば夏場繁茂する雑草に暮らす人は苦しむことになることがわかっている。
インターネットで見知った新工法・透水性コンクリート《ドライテック》についてあれこれ調べて寺田達也さんの提案で採用に至った。
犬走りでのドライテック採用はテッパンとなっている。
施工中の様子。
犬走りなど狭い部分での施工については施工者にとってもメリットがある。
通常の土間コンクリートの場合足元はワイヤーメッシュが敷設されており施工しにくい。
さらに、敷設し均したらブリーディング水が引くのを待って金鏝仕上げ。
狭いところで身をかがめて2度も3度もコテ仕上げには皆さん苦しんでいるはずだ。
一方透水性コンクリートであれば写真の通りそれら全てが解消されている。
仕上げもうずくまっている人は1人もおらず、プレートコンパクタ(30kg)で一発仕上げ。
腰が痛いなんてことはない。
あっという間に施工も終盤。
そして、この写真のフォーメーションこそまさに透水性コンクリート施工のテンプレート。
敷設された材料をトンボ(手前)で均し平坦に整え後ろからプレートコンパクタ(30kg)が追いかける。
転圧(締め固め)しづらい端部はタンパと呼ばれる特殊道具で入念に転圧する。
施工After。
さすがは積極的に顧客の満足を追求する寺田工業の素晴らしい仕事と言わざるを得ない。
素晴らしい。
施工After2。
水はけや雑草が問題になりがちな犬走りも綺麗に舗装された。
入り組んだ場所での施工ながらも40m2を4名で2時間で完了となる。
プロならわかるが、通常の生コンを用いた土間コンクリートの施工ではこうはいかない。
1日作業となる。
「積極的に提案しなくて結構です」と伝えている。
⚫︎参考記事: 【京都】「新しい製品を提案するのは大変? 大丈夫。提案しなくて結構です」庭コン・エクスショップ
生コンポータルでは施工者のことを顧客とは考えていない。
顧客はあくまで透水性コンクリートという完成品の受益者たる発注者や一般のお施主さんのことであり、施工者は生コンポータル(生コン供給者)にとってそれを実現するためのパートナーだ。
パートナーが気持ちよく仕事ができるよう努めるのが供給者としての役割であるから、その点については日頃から努力するようにしている。
そして、「積極的に提案しなくて結構です」と施工者には日頃伝えるようにしている。
何故か?
「押し売り」をして欲しくないからだ。
確かに高機能でこれまでにない付加価値を顧客に提供できる透水性コンクリート。
だが、何もかも混同して「これ素晴らしいんだからこれ買ってください」となってしまっては価値は半減どころか0になる。
「牛丼食べたい人にフレンチを強要するようなもん」。
だから、「透水性コンクリートが欲しいです」という顧客が現れたときにのみ提案すれば良い。
あるいは、「透水性コンクリートが明らかにソリューション(問題解決策)たりうる状況」である時にのみ提案が効果的になる。
まさに、今回のように犬走部分のような水はけや雑草対策などが問題になりうるケースだ。
今回の寺田工業さんのように見事に提案できる施工者はそれほど多くはない。
僕にも経験があるが、どうしても「自分たちが売りたいモノ」をスタート地点に考えてしまうのがプロだ。
「駐車場だから土間コンを売ろう」
「今安く仕入れられるから〜〜のフェンスとカーポートを進めよう」
てな具合だ。
いつだって気をつけていなければならないのは、「顧客は何を求めているのか?」という視点。
「顧客自身すら気付いていない隠れたニーズはなんなのか?」を探り当てる感性。
決して多くないそんな施工者さん(大切なパートナー)に出会うための努力を生コンポータルでは毎日継続している。
その足跡は庭コン施工者リストという形で保存され蓄積されている。
※こちらのリストでは地元の施工者さんに直接連絡を取ることができる。もちろん、無料。成約後に舞台裏でマージン(手数料)が発生するなんてことも一切ない。
常に顧客の立場に立って仕事できるパートナー施工者は全国の生コン工場とともに価値を発信している。
そのさきに大地の呼吸を止めない舗装《ドライテック》は日本の地面の常識を変えていく。
宮本充也