2020/12/02
【静岡】「地元の建設事業者としてそういうのも気を使った方がいいかなと思ってさ」かとり商事

静岡県伊豆の国市。現場はかとり商事(土木業)に勤務する山口さんご自宅。石積みの上に建っていて、その下は市道。土間コンだと雨水がすべて市道に流れ出してしまうので、地中に還元できる透水性コンクリートを採用。「市道が水浸しになると困るんですか?」と尋ねたところ、「地元の建設事業者としてそういうのも気を使ったほうがいいかなと思ってさ」。
製造:長岡さくら工場、施工:かとり商事(16m2/2m3、100mm厚、2名)。
地元の建設事業者としてそういうのも気を使った方がいいかな
施工Before。
ご自宅の敷地は石積み(擁壁)の上にある高台。
当初土間コンクリートで舗装を計画したところ、雨水が隣接する市道だだ流れする懸念が生じた。
仕入れ先生コン工場である長岡さくら工場でも製造・出荷されている透水性コンクリート《ドライテック》。
地中浸透型でもあり、敷地内で雨水を処理できるため採用。
採用のもう1つの理由は施工性。
「仕上げがとにかく早い」
従来の土間コンクリート(コンクリート舗装)では特に冬場は余剰水の乾き待ち、それからの金鏝仕上げで夜中まで作業が続く。
一方、新しい土間コンクリート透水性コンクリートなら余剰水がない、金鏝仕上げもない。
だから、プレート転圧後即終了。
この施工性も採用につながる大きな一手。
施工After。
16m2の土間コンクリートはたった2名で施工完了させてしまった。
施工後ドライテック担当まさつぐからの愚問。
「市道が水浸しになると困るんですか?」と尋ねたところ、「地元の建設事業者としてそういうのも気を使ったほうがいいかなと思ってさ」。
日本中の土木屋さんはこんなふうに自分の職業に誇りを持って働いている。
雨水は敷地内でなんとかする。
恋柱風に言えば、「うちに秘めている土木へのプライドがかっこいいぃぃ」である。
(最近、なんでも鬼滅に寄せてしまうのが困ったものだ)
実は民法218条でも規定されている「屋根等の工作物から直接に雨水を隣の土地に流れ込ませることはできない」。
山口さんのクールな発言、
「地元の建設事業者としてそういうのも気を使ったほうがいいかなと思ってさ」
あまり知られていないが、実は民法218条にきちんと規定されている。
まあ、あんまり法律をかさに着てご近所さんとギクシャクしない方がいいとは思うけど。
でも、天然の恵み「雨水」とて、敷地の中に降ってきたものは敷地の外に出してはならないというルールがあったのだ。
そして、透水性コンクリート《ドライテック》。
この、トラブルの解消、あるいは予防策として頻繁に採用されていたりする。
⚫︎参考記事: 【静岡】《民法218条》「隣地・隣家から流れてくる雨水」オリモ
水をジャンジャン吸い込む透水性コンクリートは雨水が隣地に流れだす隙を与えない。
舗装(土間コンクリートやアスファルト舗装)の上では水は低い方へ流れる。
それはコンクリート製の排水設備に流れ込む。
やがて、河川を伝って、海洋に流れ込む。
貴重な水資源はこうして海洋投棄されている。
透水性コンクリートはもっと低いところ、地下水系に浸透する。
草木の根っこに豊富な水が届き緑陰が実る。
枯れていた井戸が蘇る。
自然と人が調和する豊かな世界が再生される。
これが、透水性コンクリートの思想。
「地元の建設事業者としてそういうのも気を使ったほうがいいかなと思ってさ」
土木のプロの発言もかっこいいけど、僕たち生コン製造者の思いも結構かっこいいでしょ。
知られていないから、存在していないかのような、僕たち土建業者。
「生コンを、もっと身近に」
そうなれば、この世界はもっともっとよくなることを僕たちは知っている。
宮本充也