2018/08/03
「住友林業 木とコンクリートの意外な相性?!|透水性コンクリート 」

39度の酷暑の中、住友林業のとある施設では稀代の実験が行われていた。木とコンクリート。両者一見相容れないように思える中に意外な相性を見出す。住友林業の「木のコンクリート」が市場を席巻する?!
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木とコンクリートの意外な相性?!
今、巷を賑わせている木製駐車場もその一つかもしれない。
https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/blog/post_460.html
今まで考えられなかった組み合わせが新しい常識を創り出す。
木材とコンクリートを衣装として組み合わせることはこれまでにもあった。
無機質なコンクリート
温もりの木材
たしかにこの点に関しては誰もが認める相性。
ただそれはひとえに見た目だけの問題であって、
機能において両者が相容れないものであるということは、
木材を専門とする人や僕のようにコンクリートを生業にしている人たちにとって常識だったはずだ。
ここに一つの壮大な実験が執り行われた。
※住友林業柿谷研究員が開発した木質繊維を透水性コンクリート(1m3)に対して1kg投入する
「え?コンクリートに木を入れちゃうの?!」
おそらくこれまでの常識にはなかった発想。
無機質のコンクリートにボンド(樹脂)のように特別性能を向上させるわけでもない有機物(木質繊維)を投入する。
半信半疑というやつはこれのことを指すだろう。
「とりあえずやってみました」
なんかよくわからないけどとにかくやってみる。
合理性や生産性ばかりのことを考えていると、
こうした発想や着想は生まれづらい。
(例えば米ぬかをコンクリートに混ぜてみる、など)
ただ、一見ふざけているような取り組みにこそ物事の本質は横顔を見せる。
※大の大人が集まってコンクリート(生コン)に木を入れている様子を注目している大人たちの様子
※施工実験スタート。見た目は普通の透水性コンクリートとなんら変わらない(微細な木質繊維はペーストに馴染む)
※施工性能も変化がないようだ。
強度UPだけじゃない?木質繊維の意外な性能
透水性コンクリート(舗装)の重要な性能の一つである、
曲げ強度
の増進は前回の実験でも確認されていた。
今回はまた別の性能を知るところになる。
可使時間(Pot Life)の延長
透水性コンクリートの施工をしたことがある人ならわかると思う。
材料を敷設(ふせつ)してあまりにも長く(30分以上)放置しすぎると、
つやが消える現象。
これは、ドライアウトといってペーストに含まれている水分が蒸発し、
ペーストとしての機能が不全となり骨材が接着しなくなってしまうことを言う。
そのため、決められた時間(可使時間)の中で出来るだけ早く仕上げまでする必要がある。
木質繊維を入れることでペーストの保水能力が高まり可使時間が伸びる
そんな意外な性能を知るところとなる。
特定の専門家が特定の分野だけで活躍する時代は終わった
よくオープンイノベーションというけれど、
これなんかまさしくその好例だと思う。
物事の評価というものは専門性が変わるとがらりと変わる。
誰かにとって普通のありふれた常識だったとしても、
別の専門家に見せるとまるで違う性能になる場合がある。
木とコンクリート。
この意外な関係性にはまだまだ魅力が眠っているように思う。
まだ知られていない可能性。
強度増進や保水力向上はほんの入り口。
もしかしたら僕たちはこのもっと奥底にとてつもない性能を発見するのかもしれない。
とにかくスタートした住友林業の木質繊維入り透水性コンクリート。
わくわくは止まらない。
木とコンクリートとの意外な相性。
生コンでいいこと。
宮本充也