2019/09/06
高炉スラグ粗骨材を用いた透水性コンクリートの試験練り

夢は製鉄所構内舗装、市区町村県国が管理する歩道や簡易舗装への設計指定。鉄を製造する過程で発生する副産物高炉スラグ(粗骨材)を用いたポーラスコンクリートの試験練りをやってみた。
https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/blog/post_805.html
製鉄の過程で発生する副産物高炉スラグ(粗骨材)を用いた透水性コンクリート
届いた高炉スラグ粗骨材はこれ!手に持った感触は軽く多孔質(提供新ケミカル商事)。
試験練りは3バッチ。強度の他に、ワーカビリティやフィニッシャビリティなどを確認するためのもの。
自発的な試験練りはとにかく面白い。自分たちで設定した「夢」に向かって第一歩となる。
3バッチ目でようやく理想のフィニシャビリティに辿り着く。1m3に対して砂(高炉スラグ細砂が理想)100kgを配合したこちらの配合を標準とする。
こちらが試験練り結果。
転圧時に骨材の破断がみられたため車両乗り入れには向かない(ような気がする)。
誰かに依頼されるものではない試験練りってのはほんとワクワクする。
自発的に思い立ってやってみる試験練り。
これまでも数多くの試験練りに立ち会ってきた。
試験練りってのは机上論ではなかなか思い至らないような現象が起きる。
今回の試験練りで最も驚いたこと。
「多孔質の高炉スラグ粗骨材だから水が沢山必要なはずだ」
という事前の予測は見事に裏切られた。
しかも、
1バッチ、2バッチ、3バッチと砂を、0kg、50kg、100kg(1m3あたり)に増やしていった。
常識で考えれば水はバッチを重ねるごとに増えるはずだがそうはならなかった。
2バッチ目よりも3バッチ目の方が同様のワーカビリティを満たすための単位水量は少なかった(誤差かもしれないが)。
そんないろんな現象が試験練りでは起きる。
その度に表情はほころび、あれやこれやと様々な意見交換がなされる。
サンプル作成の転圧の際に骨材の破断が見られた。
これは通常の砕石の場合でも見られないことはないが特に多かったように思われる。
強度の試験結果が出てみないとなんとも言えないがきっと強度はそれほど期待できないはずだ。
ゴールは市区町村県国が整備する公園や街路の歩道あたりになるのかもしれない。
鉄を作る際に発生する副産物は埋め立て処分とされることなく歩道に利用される。
水勾配入らない(透水性)ため、真っ平らで快適な歩道。
ブロックじゃないから不陸や凹凸もない。
草むしりからも解放される。
なんといっても地下水系が再生される。
そんな夢を思い浮かべながらの試験練りはあっという間に終わってしまった。
毎日、こんな風な楽しい仕事を心がけたいものだ。
宮本充也