2019/12/18
「一般人が土間コンに求めることなんか無い」専門家と一般人のギャップ

透水性コンクリートの普及に15年携わっていると時に寄せられる専門家からの評価。「こんなに荒い表面じゃきっと受け入れられない」。あなた(専門家)の評価は要らない。評価は市場と顧客が下すもの。「一般人が土間コンに求めることなんか無い」。
専門家と一般人のギャップ
「土間コン」でのGoogle画像検索結果。
様々な土間コンの写真が一覧できる。
その、1枚目。
https://www.garden.ne.jp/blog/recipe/honbu/18000より引用。
いわゆる、土間コンクリートの写真だ。
そして、2枚目。
こちらは透水性コンクリート「ドライテック」も土間コンの一部(https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/case/post_248.html)
営業していた頃によく言われた言葉。
「こんなに荒い表面じゃきっと受け入れられない」
通常の土間コンに比べて確かに表面はゴツゴツと荒々しい。
それは水を通すために骨材と骨材の間に空隙を確保する以上しかたのないことなのだが、その見た目に対して疑問を挟む声だ。
「この見た目じゃ勧められないな」
当時はそんなものかとそれなりに納得してはいたが今はわかる。
なんと身勝手なコメントだろう。
確かに金銭のやり取りから考えればその施工者は、
「顧客」
ということになるのでぞの意見にはある程度真摯に応えるべき。
ただし、その人は広義においては「市場」でも「顧客」でもない。
僕(製造者)もそうだが価値を届けるパートナー(施工者)であって、価値を判断するのは施工者でも製造者の僕たちでもない。
唯一絶対の評価者は「市場と顧客」。
つまり、一般人なのだ。
一般人は土間コンに何を求めているのか?
実は何も求めていない。
それが今の僕の答えだ。
製造者(生コン工場)や施工者は年中土間コンクリートと向き合っている。
土間コンに関する想いもそれなりだろう。
一方、一般人。
アルバイト店員もいれば美容師もいるだろう、漁師だって農業従事者だっているはず。
そんな一般人(専門家ではない人)はそれぞれの本業に忙しい。
さらに、余暇も充実しているだろう。
土間コンごときに割いている時間などないのだ。
僕たち専門家が考えるほど土間コンのことなど考えていない。
まず、その辺の土間コンに関する自意識過剰を正すべきなのだ。
それでも、あえて、一般人が求める土間コンとは?
「いい土間コン」なんてものは求めてない。
そもそも土間コンにはいいも悪いもないからだ。
それでも、あえて、一般人が求める土間コンとは?
それは、
「問題を起こさない土間コン」
ということができる。
性能の度合いにはさほど拘らない。
ただ、
⚫︎ひびわれ
⚫︎色むら
⚫︎水たまり
のように、目に見えて不都合を来す現象についてはやはりこだわる。
「なにこれ?困るじゃん」
となるのだ。
唯一求めるのは、「困らないこと」。
それが、土間コンに求められる性能なのだ。
冒頭に書いた専門家のコメント、
「こんなに荒い表面じゃきっと受け入れられない」
なんてのはナンセンス。
そもそもが、荒い表面でありそのため透水性を有している事実をきちんと伝えておきさえすれば施主は「そんなものか」と考えるだけでそれ以上はなにも期待しない。
透水性コンクリートであれば起きない「困った」。
一般人は土間コンになにも期待していないことは上述の通り。
それでは、その土間コンを透水性コンクリートにした場合ぞの施主が避けることのできる「困った」とはなんだろうか。
⚫︎ひびわれ
通常の土間コンであればペーストの上を直線的に走るひび割れはとても目立つ。
目に見えた「困った」となる。
一方透水性コンクリートは施工者が指摘するように表面がゴツゴツしている。
ヘアークラックと呼ばれる0.2mm以下の無害なひび割れは透水性コンクリートの場合目に見えない。
つまり、施主からすれば「見えないから、問題ではない」となる。
⚫︎色むら
こちらも同様の理屈で、ゴツゴツしているということはペーストがごくわずか。
通常の土間コンはペーストで表面がすべて満たされている。
ペーストの上で起きるこの色むらという現象は透水性コンクリートの場合皆無なのだ。
(ただし、水の流通に従って発生するエフロという白色化現象があるので注意)
⚫︎水たまり
これは説明するまでもなく、透水性コンクリート、だから、水たまり0。
どんな雑な施工をしてしまったとしても(例えばDIYで表面に凹凸)、水たまり0。
つまり、一般人である施主にとっての不都合「水たまり」は解消される。
「一般人が土間コンに求めることなんか無い」
専門家の僕たちはそれに従事する時間が長いからこそあれこれ考えてしまう。
でも、一般人は「いいものを求めてない」。
「いいものではなく、必要なもの(困らないもの)を求めている」
という原則に従って僕たちはものづくりに勤しむべきなのだと思う。
宮本充也