2020/08/26
「グッドデザイン賞に続き《静岡ニュービジネス大賞》に挑戦するドライテック」pt6 《社会性》《起業家精神性》

新規性・収益性・市場性・社会性・起業家精神性の5つの視点から評価される権威静岡ニュービジネス大賞審査申し込みもいよいよ最終局面。pt6は《社会性》《起業家精神性》について。
社会性・起業家精神性
社会とはこの惑星があってこそ成り立つ人と人の関係性だ。
人類の歴史からはほんの瞬きほどの短期間に、人類はこの惑星にどれほどの被害を与えただろう。
それは30年を振り返るだけでも環境変化に見ることができる。
そしてさらに人類は「有限の惑星で無限の拡大再生産」を続けようとしているように見える。
......残された時間はあまりない。私たち人間はつい、トレンドを直線的にとらえてしまい、状況がいかに切迫しているかを把握し損ねてしまいがちだ。人類の自然への要求は、経済と同じく拡大しており、しかもそれは直線的ではなく、指数関数的に、つまり利息が膨らむように拡大している。変化が直線的でなく、指数関数的だと、かかる時間は極端に短くなっていく。これを示すために手のひらに一滴の水を垂らし、1分毎に水の量を倍にするシーンをイメージしてみて欲しい。6分間ではせいぜい裁縫用の指ぬき一個分、大した量にはならないだろう。では、運動場全体を埋めるにはどれくらいの時間がかかるだろうか?わずか50分なのだ。そうなるほんの5分前には、競技場の97%には水が入っておらず、なんらかの解決法を見つけるには時間がたっぷりあると感じられるかもしれない。(出典「ティール組織」)。
個人にとって産業とは巨大のように見える。
社会はさらに膨大に、まるで自分とは関係のない切り離された存在のように感じるかもしれない。
今自分がやっている職業・仕事の目的は家族を養うため、あるいは趣味にお金を使うためかもしれない。
地球環境、そして社会が今破壊的危機を迎えているということは知っている。
ただ、自分としてそれに参画することなどあり得ないことだと思っている。
本当にそうなのだろうか。
pt4(https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/blog/pt4.html)で示したインターネットと企業間連携がもたらした透水性コンクリートの事業規模と問い合わせの件数推移。
こちらもまさに上述の「指数関数的な伸び」を示し始めている。
水の次に流通する材料「生コン」
この言葉を僕に教えてくれた人は前述MAPEIの上級研究員のGiorgio Ferrari博士だ。
当社と残コンソリューションの分野で共同している、僕にとっては恩人でコンクリート化学混和剤の分野では世界的な権威。
水の次に流通する。
つまりそれだけ生コンは有限な惑星の地表を削り、汚し、蓋している産業と言い換えることもできる。
意識しているかどうかは別として、僕たち生コン産業はそれだけ環境破壊に加担しているということになる。
以下に、Giorgio Ferrari博士の言葉を引用したい。
「自分たちはいい。アルベルトや充也の時代もなんとかなるだろう。この非可逆的で指数関数的な成長を人類がこのまま続けるのなら、マリアや辰太郎の時代は難しいだろう」(引用: 「可愛い孫に汚れた地球を遺す?【HOLCIM × MAPEI 残コンPJT】」)
伊豆の国市のとあるバーで2人で飲んでいた時にふとこぼした彼の言葉だ。
(※現在彼の2人の孫は静岡県伊豆の国市に暮らしている。せっかく新築をしたというのにコロナの影響で来日ができず苦しんでいる)。
彼はイタリアの観光都市ベネチアに暮らす一市民として本音から危惧しているのだった。
仕事とは一体なんだろう。
誰かに指図されるのになれてしまったから、いつしか仕事は仕方なくやるものになっているのかもしれない。
一方で、伊豆の大自然の中をジョギングしていると季節の移ろいや生物の営みに敏感になる。
そんな生態系を眺めていて思うこと。
「春になるとツバメは誰かに指示されて子育てに励むのだろうか。秋になるともみじは誰かの意図に従って赤く姿を変えるのか」
僕たちの仕事は一体なんだろう。
ここ100年で地球の景色を一変させてしまった人類はいつしか奢り自然を支配の対象とすら思いあがるようになってしまったようだ。
一旦形成されてしまった文脈「拡大再生産」は確かに僕たちの暮らしを豊かにした。
一方で、将来世代から搾取して現在の便利を作り出しているのも事実だ。
時間は迫っている。
僕たちの仕事を雄大な生態系の1活動だと捉えたとして、世界が僕たちに求めることは一体なんだろう。
仕事は世界の要請に対してどんな答えを出すことができるだろうか。
ツバメは誰に頼まれるわけでもなく巣を作り子供を養う。
イチョウは人が見ていてもみていなくとも、秋になれば黄色く色づき、冬になれば舞い散る。
人類、そして個人の仕事もそんな生態系の1活動でしかない。
今、世界がそんな生態系の1辺境に求めていることは一体何か。
自分だけの貢献。
自分だけの強み。
今、静岡県の伊豆地方で行われている本事業に芽吹いた指数関数的な成長。
その分野は「水の次に流通する」生コンの領域で起きている。
圧倒的なスピードで削られ、汚され、蓋されているこの地球で僕たちが辺境が起こすことのできることは環境コンクリートの標準化だ。
それは誰に指図されたり指示されて起きるものではなく、生態系の営みの1つとして環境変化に応じて粛々と今も辺境で起きている変化・仕事だ。
例えアワードを獲ったとしても散っていく数多くの事業や企業。
見た目がよく権威にへつらう企画書を作ることはできないけれど、これが本取り組みの《社会性》《起業家精神性》。
唯一絶対の評価者は市場と顧客。
静岡ニュービジネス大賞で仮に書類選考で落ちたとしても、人生を賭してこの活動を形にする覚悟だ。
その覚悟を持って審査員諸君には審査に当たっていただこう。
(まあ、通ろうが、通るまいが、どっちだっていい。)
ビジネスとは「すごいでしょ?」とあぴったり見せびらかしたりするもんじゃない。
実績、形を持って世に貢献することであるはずだ。
(pt7があるかも)
宮本充也