2019/07/16
Twitterの透水性記事【世界の未来予測】をプロの視点から解説する(その2)

Twitterで透水性(排水性)に関わるテック掲載を見かける。当該記事はアスファルトに関してだが一般の関心を高めるtwitterをはじめとするSNS拡散は非常に大切だ。プロの視点から解説する(その2)
https://twitter.com/KininaruMirai/status/1150727315296411649?s=07
続・Twitterの透水性記事をプロの視点から解説する
その1(https://www.nr-mix.co.jp/dry_tech/blog/twitter1.html)
久しぶりに筆が乗ってしまい途中から止まらなくなってしまった。
コンクリートに血脈をあげる立場からすると正直アスファルトばかりが注目されているのが悔しい。
かといってコンクリートに有利に論旨を展開するのもフェアじゃない。
コンクリートの弱み
アスファルトは「冷めたら固まる」マテリアル。
施工は110℃以上の高温で行われる。
低くても仕上げを終わらせるまでに70℃以上の高温が要求される。
「2月の真冬でも熱中症対策グッズが飛ぶように売れる」
のは、アスファルトを扱う道路会社だけだ。
(作業性の面では弱みになるはずだがその点は別で紹介する)
コンクリートの硬化メカニズムは水和反応。
水とセメントが反応して<C-S-H>という結晶構造物が生成されることによって固まる。
所定の強度を得るためには28日(交通開放までには7日など)という時間がかかることが特徴。
アスファルトは冷めたら交通開放。
コンクリートは7日程度待たなければならない。
新設道路の場合この「時間」がコンクリートの致命的な弱点となっている。
アスファルトは夜間などの緊急工事での対応も可能でその点がアドバンテージとなっている。
透水性能における比較
先述のように構造そのものは全く同じ。
結合材がアスファルトかコンクリートだけ。
つまり、当初の透水性能には差がない。
これが結論だ。
ただし、施工後10年経過すると話はちがってくる。
先述の「耐久性」についての記述がその裏付け。
アスファルトの場合紫外線劣化など外部環境の影響をうけやすい。
・轍
・骨材飛散
という各種変状はアスファルトの劣化を意味する。
つまり、水を透すための空隙が潰れる(アスファルトが熱で緩み塞いでしまうなど)が考えられる。
コンクリートの結合材はセメント。
Si、Caの仲間。
つまり、たわまない、緩まない、塞がない。
恒久的な透水性能はコンクリートだけの性能となっている。
最後に環境性能
もはや原油生成の過程で残渣(アスファルト)は発生しない。
道路舗装のためにわざわざ化石燃料を燃やしている。
という点を強調すればコンクリートに軍配は上がるはずだ。
コンクリートは効果のためにセメントを使わない技術革新が進んでいるだけじゃない。
セメントを製造する過程で大量の汚泥を受け入れている。
つまり、静脈産業の雄(ということはあまり知られていないことも問題)。
さらに、残コンといって現場で用いられなくなった余剰生コンの再生利用も進んでいる。
つまり自然を削らない技術が進歩している。
だけじゃない。
耐久性の面で弱いアスファルトは数年経てば舗装の張り替えられるのに対してコンクリートはノーメンテとされている。
LCC(ライフサイクルコスト)の面からもその優位性は証明されている。
さいごに
石油の可採年数は40年、一方の石灰石(セメントの原料)は100年。
いずれも有限な自然の恵みを利用しているのには変わらない。
これからの世界は指数関数の成長が想定されている。
その中で現在の前提で技術革新をしていてはどこかで行き止まりを見ることになる。
一切汚染物質を発生させない。
地産地消の完全クローズドループ。
大気中のCO2を吸収する。
僕はコンクリート分野の人間だ。
アスファルトのことはよく知らない。
だから思ってしまうのかもしれないが、時代の要請はコンクリート を向いていると信じている。
ゼロ成長時代のサステナブルなマテリアルとして生コンを舗装に普及させていきたい。
もちろん、それと同じことがアスファルトにもできるのなら歓迎したい。
大切なのは「誰が達成するか」ではなく、「達成されること」だ。
アスファルトであろうとコンクリートであろうと。
舗装に用いられることで大地を再生し、天然資源を削らず、汚してしまった環境を取り戻すことができるのであれば。
手段はなんだっていい。
アスファルトもコンクリートも同一の目的に努力を続けるべきだ。
そして、僕も。
1人のコンクリートに携わる実務家として。
ひたむきにこの努力を続けていきたいと思っている。
生コンでいいこと。
宮本充也