長岡生コンクリート

オワコンロゴ

「撒いて踏むだけ」の簡単施工でDIYにも最適な、造粒ポーラスコンクリート「オワコン」。
オワコンは水を透すコンクリートなので、家周りの雑草・ぬかるみ・水たまり・猫の糞から解放されます。

2022/06/22

【コラム】「ものづくりの落とし穴。いいものを作ろうにハマるな。目的はなんだ?」

【コラム】「ものづくりの落とし穴。いいものを作ろうにハマるな。目的はなんだ?」

開発案件に通じる可能性があるため個人名などは伏せるが、昨日とある恩人と協議していて非常に身につまされたこと。僕たちはついつい「いいものを作る」という呪縛に囚われる。もちろん、いい物は作るべき。ただ、大目的はなんだっけ、そもそもなんでこれやってるんだっけ、という自問が重要。



生コン屋さんは生コン屋

今、関係者らと資源循環や残コン問題の解消、あるいはCNなどについて具体的な協業が始まっている。

ちなみに、残コンに関しては甚だ手前味噌だが、当社が一強だと自負している。

市場を作るのは、当社有限会社 長岡生コンクリートだ。

それ以外に考えられない。

そのように思ってるし、見做されてもいるだろう。

残コンを取り巻く市場を創造する。

そのためにも、数あるテクノロジー(動画は残コンステーション)が残コンを処理したそれ(未利用資源を利用可能な物質に変換したもの)をどのように活用していくか、という視点が重要だ。

作りました、以上、ではダメなのである。

現行世間を見渡してみると、およそが再生クラッシャランなどのように、路盤や埋め戻しに向けて活用されている。

ちなみに、路盤や埋め戻しの需要というのは地域的に偏在しており、特定の地域では真なりであったとしても、また別の地域では偽である場合もある。

全然売れねえ、ってやつだ。

加えて、生コン工場は一般に「クラッシャランを販売している」とは見做されていない。

あくまでも生コン屋は生コンを作る事業者であって、市場と顧客の認知はそこにとどまる。

そこに問題の本質があるとこの20年以上の活動の中で身につまされている。

生コン屋さんに生コン以外を作ってもらおうとすること自体が不自然であり澱みを生じさせるのだ。



では生コンを作ろう、となると?

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(引用:https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784542304345

ここで、「なんでみんなが必要としている再生骨材コンクリートが全然普及してないんだろう」という問いが重要だと思う。

生コンクリート製品の開発や普及に携わった経験がある方ならご存知だと思う。

生コンって、いいもの作っても全然売れない、という現実だ。

とりわけ、既存の産業構造という循環・サプライチェーンの中では「絶対に」普及しない。

嫌というほど経験してきた。

で、例えば残コンを造粒骨材に変換したそれを全量粗骨材・細骨材として配合した生コンは理屈上作れる。

でも、売れないのだ。

規格がないから購入者は戸惑う、結果、「JIS品で」となる。


一方、庭コン・生コンポータルではここ10年ほど既往の産業構造という循環・サプライチェーンから離れ、全く新しい市場(つまり、B2C、一般消費者に向けた情報発信)に入れ上げている。

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(一般の方がDIYで作った水を透す土間コンの駐車場)

このフィールドで「JISは?」と尋ねてくる人は皆無。

そもそも世間一般ではJIS A 5308なんて全く無名だし、誰もそんなこと気にしてない。

そんなもんを気にしているのは所詮業界という箱の内側の人たちだけ。

だから、JISに拘泥しているうちは永遠にその生コンクリートは市場と顧客に出会うことはないだろう。

閉じた系では、特定の意図が制御・コントロールする、歪な循環となってしまう。

断じておくが、これはJIS A 5308を否定している立場ではない。

ひたすらに現実を綴っているだけだ。



JISの呪縛から解き放たれた時に必要なこと

一般消費者、つまりは、リアルなニーズ、僕たち生コン・建設に要求する声。

そこには業界都合であるJISとか全く介在しない。

ここで、業界都合としたが、業界としては何も悪意があってJISを制定しているわけじゃなく、立て付けは消費者保護ということになっている。

ただし、生まれた仕組みという物はいつしか目的を忘れ、手段が目的化する場合がある。

きっと誰しもそんな経験をしたことがあるのではないか。


「企業の生き残りをかけた努力」

ぱっと見、当たり前の言葉に感じるかもしれないが、実際に会社って組織はそれ自体が目的になってはならない。

公器として社会全体の循環の中で求められる役割を果たさねば結果的にその存在は許されなくなり破綻に向かう。

「企業の生き残りをかける」とはつまりは手段の目的化であり不健全な状態であることがわかる。

果たしてJIS規格もそのような状況に陥っているのではないかと思ってしまうことが多々ある。

冒頭の、「一般消費者、つまりは、リアルなニーズ、僕たち生コン・建設に要求する声」をひたすら追い求める姿勢が必要だ。

そこに、消費者は何を求めるだろう。

「いい物」を求めるだろうか。

そして、その「いい物」ってやつは、誰にとって「いい物」だろう。

もしかして、僕たちものづくり側にとってこれまでの常識に照らし合わせて「いいもの」だったりしないだろうか。

そんなことを昨日昼間に恩人の1人と会話してる時に感じていた。

消費ラストワンマイルは僕たちが作るコンクリート製品に何を求めているだろう?



僕たちが規定している強度とか耐久性って本当に必要?

手段としての規格が定めている強度とか耐久性。

それらは果たして消費ラストワンマイルで求められるのだろうか。

顧客・消費ラストワンマイルは何もゼネコンや工務店に限ったことではないことは、これまでの庭コン・生コンポータルの活動で実証されている。

日々コンクリートのことを全くご存知ない一般消費者から10件以上も問い合わせをいただいている。

とある別の恩人(ゼネコン)が「宮本くんの工場を見て(品質管理のあり方に)ガッカリしたよ」とおそらく激励のおつもりで指摘されたことを印象深く覚えている。

「うちの顧客はゼネコンではないので、そうかもしれませんね。当社は当社の顧客(地元の比較的規模の小さな施工業者)に満足してもらう製品の製造を心がけていますので」

生意気にも口答えしそうになったが、グッと口をつぐんだ。

そんなことを申し上げてもなんの効果も生まれないからだ。

見ている世界が違う物同士議論を重ねても所詮徒労に終わるしきっとそのことで生まれるのは溝や分断に違いない。

話を戻すが、例えば家周りとか、中央分離帯とか、あるいは公共施設の歩道とか、そんなところにJISが規定している18Nとか曲げ2.5Nだとか必要かって話だ。

「固まりゃいい。草さえ生えて来なけりゃそれでいい」

これが庭コン・生コンポータルがこれまで聞いてきた市場と顧客の生々しい声だ。

それ以外は、「余計なもん」であり、いかに志高くモノづくりに打ち込んでいるか、とか、社員教育が秀逸である、とか、コンクリートに寄せるロマンがどうだ、とか、市場と顧客からしたら関心の外である。

「俺やあたしの満足する価値を提供するのか否か」

以外には一切興味を示さないし、その意味では「規格品です!」とか「強度がどうだ」とかに対して市場と顧客は対価の支払いをしないだろう。



そうなると見えてくる「生コン資源循環」の道筋

僕のライフワークである「残コン」といえども、廃棄物全般からしたらカスみたいな量だ。

残コンという未利用資源を活用することが果たせたとしてもそれは所詮それだけに過ぎない。

ただ、この取り組みを通して、生コン資源循環というグランドマップを描くことはできるように思っている。

それが昨日最大の気づきだった。

「RC40−0とか、30−0とか、その辺の業者から手に入る再生材料で生コンを作ろう」

その方は、「踏み込めなかった」とおっしゃっていたが、そこに僕たちものづくり側の落とし穴があるのだと思う。

確かに、RC30−0とかってかなりいい加減だ、実際は。

アスファルトも混入してたりするし、表示以上の有機物が入ってたり、あるあるである。

品質管理という観点からすれば、そんな代物でプロダクトを作るなんて到底思いもつかないし、そんなご法度を言い出したらおそらく業界内では非難轟々。

気色ばんでいるお歴々の顔が思い浮かぶくらいである。

「そんないい加減なもん混ぜたらどんな品質になるかわからんじゃないか!」ってね。

ただ、逆説で考えればわかること。

ある程度試験を重ねて、そんないい加減なもん、だったとしても「この領域の品質か保全できるね」ってことがわかったら、その領域で顧客ニーズを満足させうる市場領域を対象に実装していけばいいだけのこと。

「雑草さえ生えなきゃいい。人なんかほとんど歩かないよ」そんなニーズに僕たちが考える高尚な性能はおとといきやがれなのだ。

もしそんな市場が拓いたとしたならば、ガチの資源循環が生コン産業をハブとして始まる。



ガチの資源循環が生コン産業をハブとして始まる

これまでにない一手間、例えば別の規格(JIS  A 5022とかJIS  A 5023とか)を生コン工場に運用させよう、みたいな意図は果たして実装を見ない。

現実、JIS A 5308と並列で運用されている事業所はレアケース(ていうか、2工場だけ)。

そんなんで世の中を変化させうる生コンクリートが普及するわけがない。

一方、規格の呪縛から放たれて、リアルな消費ラストワンマイルの囁きに忠実な生コンを製造できるとするならば、生コン屋さんは単純にRC30−0とかを「骨材」として仕入れてそれで生コン(あるいは造粒ポーラスコンクリートのようなプロダクト)を製造して配達すればいいだけのこと。

そこには一手間も余計な規格も入り込む余地はない。

顧客ニーズと供給がただ出会っただけ。

これまでの循環と何ら変わらない。

ここが、理想郷か。

そうなると、今度は規格側が変化を強いられるのではないか。

庭コン・生コンポータルがここ数年で拓いたと自負している消費ラストワンマイルにつながる新しい産業構造。

そこではたくましく顧客の要求に出会い応えるさまざまな生コンクリートが普及していく。

形を見せつけられてしまっては、規格行政側とて無視できるはずもなかろう。

あるいは、無視し続けるのであれば、やがて世間から見放されることとなる。

いつの時代も社会は激流の中にある。

平穏無事でしたなんて時代は絶対にあり得ない。

その当事者として僕たち生コン産業は、「独占禁止法適応除外」「JIS A 5308」の2つの鎖に守られ今まで通りを踏襲できるわけがない。

誰もがこの激流の中で自分の強みを理解しアクションに変換する。

ものづくりだろうが、三次産業だろうが、誰にとってもこれは同じことなんだと思う。



宮本充也

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宮本 充也

主な著者
宮本充也

1級(舗装・造園・建築・土木)施工管理技士/コンクリート主任技士・診断士

危険物取扱責任者(乙4)/毒物劇物取扱責任者/日本農業検定(1級)/エクステリアプランナー(2級)/運転免許証(大型・中型)

勉強中の資格:採石業務管理者/2級FP技能士

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