2021/09/08
【岩手県】「土間コンっていうより初めからドライテックと施主は求めるようになった」遠野レミコン・杜陵工業

岩手県盛岡市。杜陵工業様共有。「インターネットや弊社のホームページ見て問い合わせありました。勾配がとれないですね。土間コンって言うより初めからドライテックをお施主様より希望でした。」(爪谷さん共有)
製造:遠野レミコン(担当:加藤治)、施工:杜陵工業(担当:瓜谷伸司、104m2、100mm厚)
初めからドライテック
「インターネットや弊社のホームページ見て問い合わせありました。勾配がとれないですね。土間コンって言うより初めからドライテックをお施主様より希望でした。」
岩手県でも、土間コンていうよりも、ドライテックのようだ。
土間コンではなく、ドライテック。
今やそのドライテックの名前は一人歩きを始めている。
一般、お施主さんがこの価値を評価しているからだ。
消費者が自らの欲求を満たすプロダクト、代価の支払いに足るものとして認識(評価)したことの現れだ。
プロダクト開発、そしてマーケティングに携わる歴史は透水性コンクリート事業の歴史とそのまま重なる。
16年目の現在、一般消費者は全国2000のマップ・リストから地元・最寄りの施工対応店に直接連絡を入れることができるようになっている。
さらに、その施工業者は全国700のマップ・リストから地元最寄りの製造工場に注文ができる。
これまで存在するにはしていた製造・施工ラストワンマイルはインターネットと新しい文脈による再定義・再統合(企業間連携)を通して全く新しい流通として消費者に新しいプロダクトを届けるようになっている。
生コン工場や施工業者は顧客ではなく市場チャネル(自前の流通)
「お客様は神様」という慣習というか考え方は本当に良くないと思う。
実に日本的で、誤用されているものでもあると思う。
「金払う方が偉い」というのは間違いだ。
いつの間にかものづくり建設・生コンでもこの「金を払う方が偉い」という考え方が蔓延ってしまっている。
重厚長大なるヒエラルキー(カースト)を前提とした建設産業。
本来価値を生み出す共創するパートナーであったはずの作る人(製造者)・使う人(施工者)。
生コン・ゼネコン。
いつしか、ゼネコンは生コン他下請けを「教育する対象」のように考えるようになった。
「接待を受けるのが当然」だと考え、「今回予算がないから値引きせよ」を当然のことと考えるようになる。
「今回だけ、次はちゃんと恩返しするから」という常套句で、毎度値引き要請をする。
有り体に言えば、パワハラでありいじめである。
そんなデザインの産業構造では新しい時代が求める新しい価値をアウトプットする役割は果たせない。
取引とは言ってみれば「奪う」「抜く」の関係。
パートナーというよりも、「敵同士」の方がふさわしい表現だ。
残コンにも見えるが、生コン・ゼネコンはさながら敵同士のギクシャクとした関係性を構築している。
⚫︎参考記事: 「今日から《廃棄物》に残コンが指定されたって【生コン】は何にも困らないんだよ? 【ゼネコン】はその辺の当事者意識持ってる?」
いいものづくりがギクシャクして相手を敵と見做している関係性からアウトプットされるだろうか。
教育する側、される側の関係性で、果たしてイノベティブなプロダクトやサービスが創造されるだろうか。
生コンを買っているから「客」だから、「神(えらい)」みたいな理屈がまかり通るべきではない。
本来は対等なパートナーであるべきなのだ。
その信念をもとに、ある時から生コンポータルでは施工業者(ゼネコン、道路)にいわゆる「お願い」「営業」をするのを一切絶った。
プロダクトの価値をせっせと施工業者(ゼネコン、道路)にプレゼンするのをやめたのだ。
彼らは価値を評価する顧客ではない。
単なる、「施工を提供する機能・役割」というだけであって、お願いとか営業をして彼らを勘違いさせてはならない。
ましてやヘコヘコすることでのぼせ上らせてはならないということに気がついたのだ。
「(そのプロダクトを)使わなければ困る。時代遅れになる」
ようにすることが本来のマーケティングであることに気づいた。
2018年末ごろから「お庭づくりは0円マッチング」庭コンというサービスをローンチした。
プロダクトそのものの価値をプレゼンするのではなく、その価値を必要とする消費者が「いかにしてそのプロダクトを得られるか」を示したウェブコンテンツである。
これにより施工者(製造者)は顧客から「ドライテックが欲しいんだけど」という要求を受ける。
順序が逆になる。
それまでの施工者は生コンポータルからいわゆる「営業」を受けると「見た目がよくない」だとか「色が良くない」だとか、とにかく「使わない理由」を示していた。
僕たち自身が勘違いしていたのだが、彼らはプロダクトの価値を評価するのが役割ではなく、プロダクト(反省品としての生コン)を施工することが役割なのだ。
適正に評価できるはずがない。
サプライヤーとしての生コンポータルがすべきことは彼ら施工業者に施工というプロの領域の機会を提供することだった。
決して、プロダクトの価値を納得させることが僕たちの仕事ではない。
そんなことに気がついた。
そして、2021年には無料土間コン相談・相見積「あとだしじゃんけんワークス」がローンチしている。
これも完全なるマーケット・インのコンテンツとなっている。
消費者は何も「プロダクトが欲しい」のではなく、あくまで自らの欲求を満たすものが結果としてプロダクトあるいはサービスであれば、それに対して代価を支払う、というだけに過ぎない。
生コンポータルに寄せられる「この見積もり果たして妥当なのだろうか?」という疑問に無料で概算見積もりを提示する。
「ドライテックなら〜〜円くらいです」
「防草シート+砕石敷ではなく、オワコンなら〜〜円くらい」
「土間コンもポリプロピレン繊維散布による施工なら〜〜円くらい安くなります」
このように、具体的に、見積書に対してカウンターが示される。
それはそのまま、庭コンに登録されている施工業者にとって事業機会を意味するのだ。
庭コン+あとだしじゃんけんワークスのセットで施工業者(製造者)の量も質も日々拡大し充実していくことになる。
果たして一般消費者が求めに応じることのできるプロダクトは埋もれず流通するようになる。
施工も製造も顧客ではなく流通チャネル(自前の流通)だったのだ。
だから、土間コンっていうより初めからドライテックと施主(消費者)は求めるようになったのだ。
今日も当たり前のように納品されているドライテックからはこの16年多くの学びを得ることができた。
顧客は偉くない。
ただ、自分の欲求を満たすものにその代価を支払うだけの存在にすぎない。
絶対神様なんかじゃない。
偉そうにさせたら互いに不幸になる。
そんな客は塩対応でいい。
カーストではなくプラットフォーム。
繋がりたければ繋がればいいし、嫌ならつながらなければいい。
そんな市場・流通構造(ch)が健全なものづくりを創発するのだと思う。
岩手県の施工実績からずいぶん大袈裟な考察に発展してしまったものだ笑。
宮本充也