2018/09/28
「【色合わせブレイクスルー】アントニン・レーモンドの代表作聖パウロ教会の改修工事」

アントニン・レーモンド(レーモンド設計)の代表作「聖ポール(パウロ)教会」の改修工事。見本出し(伊喜一雅氏)に関係者は大変驚いていただけた。軽井沢にはこの他に「夏の家」など同氏の遺作を見ることができる。既存の柱(もともと杉板型枠)だったものを、戦後の混乱でモルタル+塗装に改修されていたものが劣化し、当時の姿を復元するということで採用。
https://www.nr-mix.co.jp/rc/blog/_cbrc_2.html
アントニン・レーモンドの代表作聖パウロ教会の改修工事
アントニン・レーモンド(Antonin Raymond, 1888年5月10日 - 1976年10月25日)はチェコ出身の建築家。フランク・ロイド・ライトのもとで学び、帝国ホテル建設の際に来日。その後日本に留まり、モダニズム建築の作品を多く残す。日本人建築家に大きな影響を与えた。第二次大戦時アメリカの対日戦争協力者でもあった[1]。
(ウィキペディア)
ネガティブなイメージつきまとう「色合わせ」の真骨頂。
コンクリート色合わせという技術は色々な顔を持つ。
多くの建設関係者、主に現場管理者にとっては、
「困った時の色合わせ」
というイメージを持たれているかもしれない。
半製品「生コン」を慎重に管理して型枠の中に収める。
その日がやってきて型枠をバラした時に発生する、
じゃんか、コールドジョイント、ひび割れ、ピンホールetcと言われる打ち放しコンクリート表面に現れる不具合の数々。
それらはそのまま現場管理者の力量と評価される場合が多い。
「型枠を外してゾッとする」
そんな現場の救急車というどちらかというとネガティブな。
どちらかというとお世話になりたくない。
そんなイメージ。
※写真上は施工欠損が発生した打ち放し(杉板)、下は色合わせ施工済み写真。自然な風合いを期待して「わざと」小さなピンホールまで再現する手の込みよう
実は非常にポジティブな技術ということは知られていない。
※通常のブロック塀(写真上)と下の打ち放しコンクリートは実は同じブロック塀。下の写真はブロック塀の表面に打ち放し色合わせの技術を施したもの。
この技術はこのほど巨匠アントニン・レーモンドの遺作「聖パウロ教会」の改修工事に採用された。
※Before もともと杉板型枠で施工されていたものが戦後の混乱にモルタル+塗装に塗り直され、劣化したところを当時を再現。
※After たとえ玄人(僕を含めて)だったとしても、「打ち放しを再現したもの」と判断できる人はいない。関係者一同この仕上がりにご満足いただき採用が本決定する。
歴史的建造物に採用される打ち放し色合わせのブレイクスルー。
生コンが前提としてきたスクラップアンドビルドは終焉した。
時代の要請はサステナビリティに移行する。
これから「建築」が迎える時代は今回のような、
改修工事→いかにして寿命を延命化するか?
という時代になっていく。
打ち込まれた生コンの表面に転写される特殊型枠の模様。
時代を超えてものづくりの魅力を伝える打ち肌。
これまでどうしてもネガティブなイメージが付きまとっていた、
打ち放し色合わせ。
僕たちはこの技術をよりポジティブで多くの人たちをいい意味で笑顔にできる価値へと昇華していきたい。
その意味で、今回の受注は大きな布石となるだろう。
宮本充也