長岡生コンクリート
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2017/12/26

「1.5時間の壁に異変が起きている」

「1.5時間の壁に異変が起きている」

1.5時間の壁

生コン業という業態を語る上で、

僕がよく引用する表現。

JIS A 5308では1時間半以内に荷下ろしするように規定されている。

従って自然にその商圏が決められていく。

決められた商圏の中でしか生息することを許されない。

それが生コンという業態。

そのような実態を1.5時間の壁と表現した。

まるで、1.5時間を半径とした円に沿って、

壁が設置されているかのよう。


逆に言えば守ってくれている壁

ともいえる。

全国各地には200を超える協同組合が存在し、

その地域の秩序として機能している。

カルテル

といえば聞こえは悪いが、

その地域のプライスリーダーでもあり、

品質管理などを組織的に担保する存在。

安定供給をモットーに大手ゼネコンなど顧客と向き合っている。

その傘(協同組合)の中にいれば、

基本的には外圧はアウト工場(非組合員)しかないので、

(というのもどう頑張っても1.5時間以上離れた生コン工場は攻めてこない)

1.5時間の壁が外圧から身を守る機能を果たしているともいえる。


1.5時間の壁に異変が起きている

ピーク5,000以上を数えた生コン工場。

現状は3,400を切ろうとしている(もはや切った?)。

そして、さらに1,000工場以上が減少するといわれている。

人口カーブから見ればさもありなん状況。

そんな状況で何が起きているか?

「1.5時間で運べない地域が出てきた」

僕の知る限りそんな地域はまだ片手で足りる状況。

だけど、低迷する生コン産業。

組合ごと解散なんて事例だってある。

そんな中でこの、

1.5時間で運べない地域

はまだまだ増えるのではないかと思っている。

そんなときにインフラの基礎資材はその地域に供給されなくてもいいのか?

つまり、棄民。

そこには人は住むことを許されない。

そんな地域がこんな理由で生み出されてしまうのか?


規格は性能評価であるべき。

1.5時間経過した生コンクリートは全部一緒なのか?

沖縄の酷暑・炎天下の元1.5時間経過した生コンクリートと、

北海道の最北端でマイナスにも及ぶとも思われる極寒の地で1.5時間経過したそれ。

現在は同じ規格で語られている。

1.5時間で荷下ろししなさい。

となっている。

これってやっぱ変でしょさすがに。

ちと専門性の高いことを書けば、

空気量(4.5%)が日本全国47都道府県全部同じ。

これもやっぱちょっと変。


多様化する社会に沿って多様な生コンの在り方。

お上の作った規格に真面目にこつこつ従って生コンをつくる。

まじめがよしとされる。

いうことを素直に聞き疑わない。

そんな生コン屋。

そんなあり方では許されない。

社会のニーズは数十年前とは明らかに変化している。

そんな時代に1.5時間の壁はどのようにあるべきなのだろうか?


変化する1.5時間の壁

歴史が示す通り、壁というのは必ずとっぱらわれる。

壁の内側で守られている人からすれば、

それは嫌なことかもしれない。

壁の外にいる人からすれば、

参入障壁

が消えるわけだからウェルカムかもしれない。

市場原理、競争原理だけでは語れない。

生コンという製品はすべての地域に供給されるべきものであって、

市場や競争とは別のところで、

絶対に必要な基礎資材。


規格の象徴としての1.5時間

をはじめとして、

規格の多くは今後変化を迫られることだろう。

その時その変化を起こす担い手は、

これまでのように現場を知らない人たちであっていいのだろうか。

情報の流動性が高まった現代。

生コン実務者とて結構高度な技術を背景に仕事をしている。

そんな彼らは現場の生を知っている。

経験している。

今後の規格を語るうえで大切なのは、

実際に現場を知っているそんな技術者の声を反映させること。

反映させるための場所を作り上げること。

これが重要だと強く感じる。


宮本充也

宮本 充也

主な著者
宮本充也

1級(舗装・造園・建築・土木)施工管理技士/コンクリート主任技士・診断士/砂利採取業務主任者/採石業務管理者

危険物取扱責任者(乙4)/毒物劇物取扱責任者/日本農業検定(1級)/エクステリアプランナー(2級)/運転免許証(大型・中型)

勉強中の資格:宅建士