2016/08/08
「熱い暑い夏のコンクリート」建築学会大会2016参加
猛烈に暑い夏にかき氷。
食道を通過する冷たい氷塊が全身の熱気を瞬時に冷やす。
暑い時には涼・冷が癒しとなり、
寒い時には暖・熱がとってかわる。
今の時期には風鈴やせせらぎに冷えたスイカが癒しとなる。
そして、生コン。
生コンは皆さんにとって、なんだろうか?
たぶん、生コン以外の何物でもないと思うので、
生コンブログの始まりである。
暑中コンクリートという言葉がある。
生コンは夏(冬)に弱い。
僕たち生コン製造者を震撼させる「35度ルール」というものがあって、
納品される生コンクリートの温度は35度を超えてはならない、となっている。
「どろどろの液体、生コンがなんで?」
と思われるかもしれないが、実は生コンは、
乾いて固まるのではなくて、化学反応によって硬化する
ものだから、化学反応が進む過程で「発熱する」ことは一般には知られていない。
たとえば、3時間で固まってしまう特殊な生コンの場合、
「触るとやけどするくらい」
発熱することが知られている。
この発熱こそ、生コンが固まっていく理由なわけだが、このくそ暑い時期には、
発熱しすぎてしまう
ため、35度以内に納品しなさいということになる。
なぜ、発熱しすぎるとよくないか?
理由はいくつか挙げられるが、そのうちの一つが、
温度ひび割れ
といって、発熱に起因してコンクリートに発生するひび割れが挙げられる。
過ぎたるは及ばざるがごとし。
その対策として、材料やら生コンそのものを冷やすことが実行される。
夏には生コンも冷えたかき氷のようなもんが有効ということになる。
では、冷やしすぎるとどうなるか?
寒中コンクリートという言葉がある。
型枠に打設(入れる)される生コンクリート。
上述したように、「発熱が効果の原因」であるため、ある一定の気温が必要とされる。
マイナス数十度の場合生コンクリートは化学反応が起きず硬化しないため、
保温養生・給熱養生
が行われ、マイナス5度以下にならないような管理が求められる。
この技術が確立されていなかったころに工事された、
とある雪国、マイナス数十度の氷の国の生コン。
なんと、型枠の中の生コンクリートが寒すぎて凍ってしまい、
固まったかのように見えたコンクリートは型枠が外され工事が進んでいった。
完成間近のそのビル実は
「ただ単に寒すぎて凍っていた」
だけで、春になり溶け始め跡形もなくそのビルが消えてしまった。
そんな話があるくらい。
あなたが、そのビルのオーナーだったら、ぞっとするような話かもしれない。
こんな風に締めくくってなんか上手にまとめたな、なんて。
つまり生コンクリートは天然素材で暑すぎても寒すぎてもだめ。
結構手がかかる化学反応を基礎に置く材料ということを知っておけば、
工事に「もっとも多く利用される材料」生コンクリートの基本的性質が理解されやすい。
人も生コンもとても手がかかるが、かけた手間だけしっかりとしたものになるのも真理。
https://www.aij.or.jp/taikai2016.html
2016年度日本建築学会大会(九州)
に今年も僕たちGNN元気な生コンネットワークも参加する
(※リーダー寝屋川コンクリート山路工場長)
Probe(先日経産省の先進的IoT技術の認可が下りた技術)を利用して、
数百万点にも及ぶ真夏の生コンクリートのデータを解析した結果を発表する。
毎年毎年「今年の夏の暑さは異常」とそのレコードを更新し続ける日本の夏、
緊張の夏(生コン工場にとっては)
その生コンの正体を解明することによって、
より良い暑中コンクリートの管理体系を導き出そうとする取り組み。
特に暑中コンは日本全国普遍的な管理テーマとなっていて、
その注目の度合いは年々高まっている。
僕たちはどこかのエリート大学を出てエリート企業のエリート研究室にいるわけではない。
ただただ、その土地ごとの生コン工場で毎年毎年その暑さにやられてきた普通の人たち。
だけど、普通の人たちも地域や枠組みを超越して連携することで誰も果たすことのなかった、
大きい成果を産み出すことができる時代になった。
8月24~26日に、また一つ伝説が生まれる。
暑い夏には熱い技術発表が期待される。
宮本充也
※2016年度日本建築学会大会(九州大会)プログラム
会期 8月24日(水)~ 8月26日(金)
会場 福岡大学 七隈キャンパス(福岡市城南区七隈8-19-1)
■8月26日(金) 10号館1023室 【添付PDF 19ページ参照】
検査・試験(1)(10:34〜11:22)
1319 アジテータ車のドラム内に設置したプローブによるコンクリート品質の連続管理の検討 その7 スランプ推定に及ぼす
積載量の影響および同一調合のばらつき
○横森祐太(東伸コーポレーション)・廣藤義和・毛利彰仁・山田雅裕・安田正雪・住学・若林信太郎・立山創一・柳
田淳一・馬場朝之
1320 アジテータ車のドラム内に設置したプローブによるコンクリート品質推定の高流動コンクリートへの適用検討
○安田正雪(東洋建設)・森田浩史・廣藤義和・毛利彰仁
1321 実現場におけるアジテータ車のドラム内に設置したプローブによるコンクリート品質管理
○山田雅裕(東亜建設工業)・毛利彰仁・廣藤義和
■8月26日(金) 10号館1023室 【添付PDF 20ページ参照】
暑中コンクリート工事(2)(14:21〜15:01)
1337 暑中期における運搬車の遮熱・断熱対策がコンクリート温度の上昇に及ぼす影響 その1 実験の概要
○牧野裕美(白石建設)・岩清水隆・山﨑順二・山路克昌・廣藤義和・毛利彰仁
1338 暑中期における運搬車の遮熱・断熱対策がコンクリート温度の上昇に及ぼす影響 その2 基礎実験Ⅰ
○鈴木峰人(岡本生コンクリート)・岩清水隆・山﨑順二・山路克昌・廣藤義和・毛利彰仁
1339 暑中期における運搬車の遮熱・断熱対策がコンクリート温度の上昇に及ぼす影響 その3 基礎実験Ⅱ
○山路克昌(寝屋川コンクリート)・岩清水隆・山﨑順二・鈴木峰人・廣藤義和・毛利彰仁
1340 暑中期における運搬車の遮熱・断熱対策がコンクリート温度の上昇に及ぼす影響 その4 本実験における実測結果
○毛利彰仁(東伸コーポレーション)・岩清水隆・山﨑順二・北里昭生・廣藤義和・鈴木峰人
1341 暑中期における運搬車の遮熱・断熱対策がコンクリート温度の上昇に及ぼす影響 その5 本実験における温度上昇の検討
○廣藤義和(GNN Machinery Japan)・岩清水隆・山﨑順二・徳増俊彌・牧野裕美・毛利彰仁
1342 暑中期における運搬車の遮熱・断熱対策がコンクリート温度の上昇に及ぼす影響 その6 全国実態調査における結果Ⅰ
○徳増俊彌(報栄生コン)・岩清水隆・山﨑順二・山路克昌・廣藤義和・毛利彰仁
■8月26日(金) 10号館1023室 【添付PDF 20ページ参照】
暑中コンクリート工事(3)・寒中コンクリート工事(15:04〜15:44)
1343 暑中期における運搬車の遮熱・断熱対策がコンクリート温度の上昇に及ぼす影響 その7 全国実態調査における結果
Ⅱ
○北里昭生(野方菱光)・岩清水隆・山﨑順二・山路克昌・廣藤義和・毛利彰仁
平成28年度全国大会 第71回年次学術講演会
実施期間:平成28年9月7日(水)・8日(木)・9日(金)
実施会場:東北大学 川内北キャンパス、仙台国際センター、ホテルメトロポリタン仙台
平成28年度9月7日(水) V-6会場 (東北大学川内北キャンパス C棟C403教室)
■10:40~12:00 品質管理・検査(2) / 座長:安保 知紀
Ⅴ-316 アジテータ車のドラム内に設置したプローブによる特殊コンクリートのレオロジー特
性/東洋建設株式会社 [正] 湯地 輝 ・ 森田 浩史 ・ 竹中 寛 ・ 廣藤 義
和 ・ 安田 正雪
Ⅴ-317 アジテータ車に設置したプローブによる特殊コンクリートの品質推定に関する検討/
東洋建設 [正] 森田 浩史 ・ 湯地 輝 ・ 竹中 寛 ・ 廣藤 義和