2016/06/13
組織構造解説「生コンとは」ZENNAMA
他の産業もそうかもしれないが、
僕たち生コン業界にも「業界団体」というのがある。
○○連合会、××協議会なる、あれである。
生コン業界に関しては、
・全国生コンクリート工業組合連合会
・全国生コンクリート協同組合連合会
の2つがあり、総称してZENNAMAと呼んでいる。
北海道地区から九州地区まで、10の地区本部がその下にあり、
それぞれの地区本部に工業組合(各都道府県ごと)が組織されており、
その傘下には地区ごとの協同組合(僕の工場は静岡県東部生コンクリート販売協同組合)がある。
そして、工場、となる。
ご覧の通り、「ザ・縦型」の組織形態をとっており、
現職阿部会長(岩手県)の強烈なリーダーシップの元、運営が図られている。
一方、どこの業界団体もそうだと思うが、なかなか小回りの利く運営が図られない。
なぜか?
・経済成長を前提とした単純な経済モデルであれば、みんな同じ方向を向いているため統制も取りやすかった
が、
・人口減少と経済縮小に転じると、地区ごとのニーズが多様化してくるため、十把一絡げが効かなくなる(多様化するニーズ)
・目線を移すと「傘下の組織がいろいろうるさいことを言ってきやがる」
となり、
・上位団体はうるさい子供を粛清しようとする(全生青年部協議会の「公認取り消し」など)
・下位団体としても、需要が急激に減少する中で組織運営が汲々としており
・ひよった運営方針についていけない(某協同組合の意見)ということとなり
結果、
・親(上位組織→ZENNAMA)と子(下位組織→協同組合または工場群)の溝は深まっていく
さらに、この構図を複雑にしているものとして、
・アウト工場
という存在がある。
ZENNAMAは上述したように、協同組合の群れである。
協同組合はその地域ごとにカルテル(独占禁止法適応除外が生コン産業)を結んでおり、
そのカルテルからオミットされた(村八分)または共感できない工場は生コン組合に加盟しないことを選ぶ。
これを、アウト工場と呼びならわしている。
それが、生コン業界だ。
もちろんZENNAMAは協同組合の利益を優先する立場をとらなくてはならない使命を帯びているため、
技術や経営のレベルは別として、生コン組合にいる意見を代表することになり、
結果的に足元の重たい組織運営を取らざるを得なくなってしまう、ということだ。
そのため、リーダーは内心では、
・社会ニーズを満足する新技術への取り組み
・業界を取り巻く諸問題への解決策の開発
を重要視しているものの、周辺の意見を無視できず、なかなか抜本的なことができないばかりか、
・青年部協議会
・GNN元気な生コンネットワーク
など、若手の台頭をよく思わない取り巻きの意見を無視できず、心にもない、
・弾劾
を行うことになる。
リーダーになる人であるから人格は素晴らしいのにもかかわらず、
産業構造という大きな仕組みの中ではなかなか個性をで発揮できないことは僕にも経験があるため、
理解できる。
あまつさえ、
・関係メディアへの報道規制
や、
・若手団体のイベントへのボイコット
などを行わなければ、なかなか周辺の意見を取りまとめることができないほどのご苦労には、
なんとか報いて差し上げたいと衷心より同情する。
小さな個人経営から大きな大企業・国家行政に至るまで、
組織の理屈というのは、なかなか個人の思惑やきれいごとだけでは進まない。
バランスを取り合って進めていくのには高潔な人格やリーダーシップが必要となる。
そして、今、IT情報革命の時代を迎え、個人・会社・国家などの相対的価値の差はどんどん縮まっている。
若い世代はスマホやタブレットでがんがん自らの意見を世の中に発信をしていて、
それは僕たち生コン産業でも同じこと。
「一介のサラリーマンですから」
とか、
「自分はそんな意見する立場にはない」
などという発言はもはやこの時代古い。
僕たちは当事者であり、産業全体をよくするのもわるくするのも、自分の責任。
ならば、勇気をもって発信をしていかなくてはならない。
僕たちには未来がある。
僕たちの後ろにもまだまだ若い世代がわんさといる。
時代の変わり目に臨み、僕たち生コン産業の若い世代は、
これまでを築き上げた素晴らしい才能のみなさんに尊敬を寄せ、
彼らの業績をきちんと理解しそれをたたえた上で、
あたらしい時代の新しい生コン産業を新旧で協力し合って作り上げていかなくてはならない。
地方の生コン屋のどこぞの馬の骨かもしれないが、常にそう思っている。
宮本充也