2020/01/21
「組織内も組織同士にも壁があるとろくでもない」郷土に溶け込む理想の生コン事業所とは?(その3)
生コンポータルが置かれている生コン工場長岡さくら工場は長岡生コンとさくら生コンが15年前に共同事業を始めた事業所。今、新しいあり方に向かって議論は加速し始めている。「取る」「引く」のから「支える支えられる」のパラダイムへ。
2020年野村グループのスローガンはワンチーム
定例となっている合同朝礼。
前に出て「正月食べ過ぎて太った」とこぼすのは野村哲也取締役(笑)。
自由に誰でも話すことがあれば前にでて話すスタイルの朝礼。
2020年1月で節目(定年)を迎える小島さんと右野村勝也(まさや)社長と左大野富士男工場長の記念撮影。
これからも主に運転業務を続けていただくことになっている。
そしてこちらも定例のミーティング。
このミーティングの特徴は個室で密閉された空間じゃなく誰もが参加し意見できる場所であること。
会話の内容はすべてダダ漏れ。
議事録だって共有される。
なぜなら、事業所の仲間に知られてはまずい業務上の情報はないからだ。
誰もが全ての情報を得る権利、そして義務がある。
当事者として参加する権利と義務がある。
それは事業所を超えたとしても適応される。
他の組織の人にも常にオープンなミーティングという場を常に意識していたい。
「組織内も組織同士も壁があるとろくでもない」
野村社長は僕と同年代の経営者だ(ちょっとお兄さん)。
彼が設定した2020年のスローガン。
ワンチーム。
組織の中に壁を作りたくない。
「これは、俺の業務だ」
「あの客は俺が開拓した顧客だ」
「この仕入れ先は俺の言うことを聞いてくれるからできるだけ優先したい」
ともすると組織の中にさえ生まれてしまう壁。
縄張り意識。
ここは、俺のシマ。
だから口出しはしないで欲しい。
壁だけじゃない。
ヒエラルキーといって、階層だって組織の中には生じてしまう。
壁と天井。
その個別の空間に自由な発想を秘めた個人は押し込まれる。
その空間を守ろうとする。
壁の向こう側は見えない。
どんな人物なのかも知れない。
一応業務上同じ空間にはいるけれど。
一体どんな人物なんだ?
壁と天井は人と人の自然な交流、関係性を阻害する。
そして生まれるエゴに端を発した、恐れや猜疑心、決めつけ。
「あいつはこう思っているに違いない」
「これは隠しておかないと出し抜かれてしまうぞ」
そうしていつしか、組織の中にはガチガチの壁と天井で遮られた構造物が出来上がってしまう。
ワンチーム。
そんな信念から生まれたスローガン。
時を同じくして僕も、
ワンネス、全体性、フラワーオブライフ
といった言葉で組織内外の通気性に関して考える機会が多かった。
大切な仲間たちを信じられなくなったり、管理したり、決めつけたりしたくない。
壁や階層ではない関係構築。
「取る」「引く」
の関係性では思いやりはどうしても発生しづらい。
ワンチーム、ワンネス、全体性、フラワーオブライフ。
※「フラワーオブライフ」と呼ばれる神聖幾何学図形。
壁や天井があると個人という円が別の個人の円と重ならない。
情報技術が無い回覧板に頼らざるを得ない昔ならいざ知らず。
ITの現代。
情報や人々の思いは瞬時に共有されることができる。
そんな時代に組織の中に壁や天井は必要だろうか?
その問いから発せられた勝也さんのスローガン。
ワンチーム。
その思想は個人と個人を超えて、組織と組織へ。
「俺は野村の職員だ」
「俺は長岡から給料もらってる」
「私は別の会社のものです」
これまでこうした帰属意識は組織と組織に目に見えない壁を作っていた。
もちろん、壁だけじゃ無い。
階層という天井もだ。
そして、その関係性を支えるのは、
「取る」「引く」
というパラダイム。
そこに付きまとうのは「エゴ」。
エゴはどうしても、恐れ・猜疑心・嫉妬・陰口・決めつけを生んでしまう。
「俺かお前」から「俺とお前」へのパラダイムシフト。
さらには、「俺とお前を含むみんな」へ。
郷土に溶け込む理想の生コン事業所とは?
新年この課題への取り組みは加速している。
壁や天井を意識しなくてもいい組織構造。
「支える支えられる」を前提に置いた風通しの良い組織と人間関係。
ヒエラルキーや縦割り構造で疲弊してきた反省から現代は確実に、「ワンチーム」「ワンネス」「全体性」「フラワーオブライフ」を志向している。
その実践として。
今僕たち生コン工場のあり方が変容しようとしている。
そして、それは僕たちを含む業界構造全体に波及する筈だ。
宮本充也