2018/05/20
「70年のものづくりで培ってきたコト|生コンでいいこと」
18年前生コンに入職した時に愕然としたことは多いけど、中でも90分の壁は印象的だった。JIS規格で定められる「1時間半以内の荷下ろし」は結果的にこの業界を閉鎖的で保守的なものにしてしまった。IT・グローバリゼーションの現代に逆行しているかのように見える生コン業界で起きていること
市場を選べない生コン?
昨日外食をしてた時に隣のテーブルで、
・いきなりステーキ
・さわやか
・がブリチキン
など外食チェーンの評判で盛り上がっていた。
どれも評判の高い飲食店なのだけど、
いずれにも欠点がある。
地元に出店してくれない限りなかなか普段の暮らしに取り入れることができない
ということ。
特に僕が暮らす伊豆地方はこうした有名チェーンが市場として魅力を感じてくれない。
つまり、出店してくれないという現実がある。
田舎に暮らしていることの弱点。
生コン工場の業歴(平均年齢)は長い
高度経済成長の追い風で創業した工場が大半。
いい時代を経験した大半の工場は、
現在それぞれの地域で「不遇」をかこっている。
上記で示した有名飲食チェーンらと違って、
僕たち生コン工場の基本姿勢は、
「市場のあるところに出店しよう」
ではなくて、
「この市場で生き延びることを考えよう」
となっている。
例えば「この市場」が田舎だったら田舎であるほど。
市場の中には生コンという「モノ」へのニーズは限定的。
橋やビルが計画されなければ必要とされない存在だから。
田舎であればあるほどその低迷の度合いは深い。
協同組合(カルテル)に守られている前提条件として、
中小零細企業であること
である以上「市場を選ぶ」という選択肢は与えられていない。
90分の商圏が全て。
その半径の中で生コンという「モノ」を届ける。
こうした状況にここ数年変化が現れている。
GNN元気な生コンネットワークは現在105社のアライアンス
2011年から名前がつけられた、
地域や枠組みを超えた生コン工場の交流。
もちろん、「モノ」としての生コンは90分の壁を超えていくことはない。
設立から足掛け7年順調に共感する企業は増加し、
工場間の交流はますます加熱してきている。
なぜか?
それは、90分の壁の中も外であったとしても、
生コン工場が感じている「コト」は大抵一緒だから。
特に元気な生コン、つまり問題意識が高い生コンであればあるほど。
危機感など感じている「コト」が同じということが、
GNN8年の歴史でわかったこと。
「どうしたらこの長期低迷を生コン工場として生き残ることができるか」
「選べないこの地域でいかにしてインフラ資材(生コン)を供給し続ける使命を果たせるか」
「生コンでいいこと」
モノではなくてコトであれば、
それは全国どこでも供給ができる。
そこにその気のある生コン工場さえあれば
生コンでいいことという「コト」は、
生コン工場を経由することによってお届けできる。
例えば具体的な例で考えると、
生コン工場が新しい市場を自ら創造するために創り出した、
「透水性コンクリート」
という新事業にかかわるノウハウや技術「コト」であれば、
それは90分の壁を意識せずとも流通されることができる。
どこかの地域の建設事業者さんの、
「水勾配や排水設備の悩み」
を解決することができる。
「生コンでいいこと」なら届けられる。
これまでの経験で僕たちが知ったコト。
生コン工場は市場を選べない
70年近く続く生コン産業は結果こうした市場を作り上げた。
だからといって人口減少とともに間引きされる運命にあるわけじゃない。
70年近く続いた生コン産業として蓄積した、
「生コンでいいこと」
はそんな陳腐なもんじゃない。
ものづくりで培ってきた経験「コト」はそんなに安っぽいもんじゃない。
GNN元気な生コン工場の集団を中心に、
今、「生コンでいいこと」が広がっている。
斜陽産業と考えられている、
若者や女性が選んでくれない僕たち生コン産業が、
今再び成長軌道を描こうとしている。
それは、「モノづくり」から「コトづくり」に変化したから。
やっていてこんなにやりがいのあることはない。
日本中にそんな生コン工場は操業している。
重要なインフラ資材を日々建設現場に供給している。
市場の有無を問わず、
区別なく分け隔てなく、
生コンで困っている全ての人に僕たちの価値を届けられる時代。
市場が有る無しを問わず届けることができる、
「生コンでいいこと」
全力を捧げることのできる生コンというテーマに出会えて心から嬉しく思っている。
宮本充也