2019/10/01
【門前の小僧 習わぬ経を読む・現場の実務者 習わぬBBを語る】
生コン工場には、注文以外の電話もちょくちょくかかってくる。
現場の方からの技術的な質問には、試験室が答えるのが通例となっている。
「セメントのノーマル(N)とBBの違いについて聞きたいんだけど」
Nをノーマルと称すだけあって、どんな質問が来るのかを身構える。
「役所の若手職員に聞かれて困ったんだよねぇ。
<なんでBBなんですか?>ってさ」
話は続く。
「で俺は知ってる知識を総動員して答えたんだよ」
・初期強度は低いけど、長期ではNを上回る
・発熱量が少ないから、温度ひび割れが発生しにくい
・公共事業にはよく使われている
正直、感心しながら言葉を返す。
そこまでしっかりと理解している人から、いったいどんな質問が飛び出てくるのだろう...
「そこまで説明したんですよね。十分じゃないですか。
あとは、設計で指定されている、とか言えばいいんじゃないでしょうか」
無難な返答など、すでに済んでいる様子。
「それも言ったよ。でもあの若手がさぁ、これは<再生資材>を使っているんですか?
<リサイクル材>になるんですか?とか聞いてくる訳よ」
なるほど、なるほど。
その視点ですか!
「厳密にいうと、それとはちょっとズレるかもしれないですね、ほんのちょっと」
「高炉セメントについてですよね?」
「いや、高炉じゃなくてBB。
そういや最近、高炉セメントなんて聞かなくなったなぁ」→ん?微妙な違和感。
「いえいえ、よく使ってますよ。BBてのは高炉セメントのことです」
「え、そうなの?」→あれ?詳しいと思いきや。
「そうです。そして原料は製鉄所から出てくる副産物を再活用した資材です」
「へぇ~、そうなんだ」→伝わってるのかな?
「<再生資源><リサイクル材>かと言われると微妙ですけど、
<副産物の活用>とか<環境負荷低減>みたいな言われ方はよくされる資材ですね、BBは」
「ふ~ん」→肚落ちしていない手応え...
「ま、いいや。何となく分かった!そう言ってみるよ。ありがとう!」
そうして電話は切られていった。
あそこまで「BB」の特徴を知っているのに、
「BB=高炉スラグ」という認識がないとは興味深い。
<門前の小僧 習わぬ経を読む>
<現場の実務者 習わぬBBを語る>
下手な設計・コンサルよりも、現場監督の方が直で触れている。
その分、その知識は血肉となっているのかも知れない。
NR試験室 二見