2017/05/02
「危機に瀕して求めること」 生コン・クレーム・原因特定・GNN
セメントバラ車の中に重曹が混入しており、それにより急結作用がはたらき、スランプが短時間に失われた
生コンブログをがっつり書こうと思う。
生コン工場の経営に携わって17年目。
これまで何度か、
「やべえ、これ」
的な危機的状況に陥ったことがある。
経営なんぞしてりゃそりゃ変化の連続だから、
なにもないですなんてことはありえない。
これまで最も肝を冷やした事案は、
夏場の建築工事で工場から20分程度の現場に生コン車数台をかけて輸送をしていたときのこと。夏場だからコールドジョインを起こしたくないので綿密な輸送計画を事前に打ち合わせその当日を迎えた。スランプは現場着で18㎝を目標としていたところ、3台目までは順調に荷卸しをしていたものの、4台目異変が起きた。なんと、荷卸し前の高速攪拌の時点でおかしかった。音がまるで砕石を積んドラムを高速攪拌しているかのように、ゴロゴロガラガラと音を立てている。実際に荷卸ししてみるとスランプ計測できないほどばさばさの流動性を帯びていない生コンが出てきた。そして困ったことにそれがそこから3台連続して続いた・・・
「もう、ここまでか」
余りにも考えられないことが発生し、
経営を預かる身として最悪の事態を想定したものだ。
もちろん、その建築現場には大変ご迷惑をおかけした。
悪いことに「打ち放し建築」だったため、
一番恐れていたコールドジョイントががっつり入ってしまった。
もう、本当に凹んだ。
18㎝ターゲットの生コンが現着ゼロスランプ
前代未聞の事態
当時新規事業に力を入れまくっていた時期だったこともあり、
新規事業どころじゃねー
いろいろ悩み果てた。
ただ、現実を直視せねばならない。
原因特定
をしなければ、何も変わらない。
原材料供給各位の名誉もあるので具体的記述は控えるが、
目を覆いたくなるほど残念だったのは、
「うちには責任ありません」
という態度をほとんどがとったことだった。
結果から書けば、
セメントバラ車の中に重曹が混入しており、それにより急結作用がはたらき、スランプが短時間に失われた
ということが原因だった。
その後試験練りを行いごく微量の重曹でも生コンのスランプは失われることが立証された。
上記が発見できたのはいろいろな幸運が重なったことによるものだが、
なによりも、
GNN元気な生コンネットワークによって得られた全国の情報ネットワーク
のおかげで普段尋ねることができないような技術者の方に相談でき、
古今東西のあらゆる現象・クレーム事案にリーチできたことが大きい。
1.5時間以内で操業する限られた情報しか持たない生コン工場では、
到底得られない情報を背景として原因究明ができたことは非常に大きい。
僕は生コン経営者として常に思う。
生コン工場が危機に瀕してパートナーに求めるのは、
「うちには責任ありません」
という相対する姿勢や説明ではない。
原因究明という同じ方向に向かって眼差しを合わせる姿勢。
僕たちはそれを常に求めている。
そして、これは僕たちにも言えること。
現場で不具合が起きたときにすぐに保身を考えるのではなく、
主任技士や診断士まで技術陣にそろえている僕たちは、
顧客の不安な立場にたって同じ方向を向いて原因究明に向かう。
そうした姿勢が大切なんだと思う。
そんな気持ちで日頃から生コンを練って運んでいます。