2016/07/28
「生コン、コストとプライスが無関係」ECは成り立つのか
値ごろ感という言葉があるように、
「この味で○○円は高いね(安いね)」
とよく人は評価するけど、つまり期待価格の源泉は、
「これだけの品質を作り上げたんだから○○円くらいだよね」
という原価(コスト)への推察がベースとなっている。
どの企業も個人も、「なにかを売る」時には、「価格(プライス)」を決める。
その価格の決め方つまり価格の源泉は、
コスト
であると一般には理解されている。
「この製品はだいたい見通しとして○○個売れるとして製造原価は××円かかるから、1つ当たりの原価△△で・・・」
というプロセスを踏んで価格(プライス)というのは決まっていく。
よっぽど希少性があるとかではない限り、
「コストとプライスは因果関係がある」
そして、
生コンクリートの場合、
「コストとプライスは全く関係ない」
というのが大きな特徴となる。
なぜか?
我が国では生コンに限って「協同販売」が認められている。
生コン工場は概ね地区ごとに組織されているこの組合に加盟することを勧められ、
価格は生コン組合が決める。
つまり、
「価格(プライス)の源泉はコストではなく、組合員工場が潤っていられる水準」
となる。
インフラ(仕事)が減少すれば生コン工場が生き残りづらくなるので、
価格が高騰する
一方、生コン組合がきちんと機能していないような地域の場合(=自由競争)、
価格は需要と供給のバランスまたは生コン工場同士の乱売合戦っぷりが価格の決定要因となる。
つまり、ここでも原価(コスト)は無視されている。
商材特性(1時間半以内に使用されなければならない)により、生コンはどうしても、
地域特性
に強く影響を受ける製品であり、地域ごとに如上のメカニズムにより価格は決まっていく。
全国に200以上ある生コン組合それぞれの地域で刻々と価格が変化していく。
上記仕組みでは仮に国や県が公共物件を発注するときに予算を決めようがない。
その場合どうするか?
発注機関は通称物価本と呼ばれる本に目を通すことになる。
一般にはきっと全く知られていないと思うので少し説明を加えると、
・物価調査会
・経済調査会
という財団法人が上記刊行物の発行元となっていて、
組織の中に大勢の調査員と呼ばれる職員の方々が活躍している。
生コンをはじめとするインフラ資材や建設関連資材の多くは、
彼ら調査員の手により「足で」流通価格が調査されその結果は刊行物に掲載され、
発注機関はその結果を採用して発注物件の予算付けをして入札を行う。
Amazonで「生コン」と検索して手軽に買い物かごに入れたり、
「生コンを買っている人は他にもこんな製品を買っています」
という時代が凡そイメージしづらいのは如上の経緯からであって、
だから僕は生コン産業のことを、
「ITが普及するもっとも最後の産業」
と日頃から考えている所以だ。
先日IT系企業に勤める友人が、
「みやもっちゃん、生コンてEC(Eコマース)で売れないの?」
という質問を寄せてくれた。
経験的にも上記を理解しすぎるほど理解しているため、ついつい
「無理」
という言葉が出かかった。
果たして本当に無理だろうか?
IT革命の特徴はこれまで縦の脈でそれぞれ存在していた部分部分を、
「新しいまとまりとして再定義できる」
ということ。
生コン産業にどっぷりつかっていないつもりでも、ついつい商習慣に洗脳されてしまう。
・発注機関
・調査機関
・ゼネコン(元請)
・商社(流通業者)
・生コン組合
・生コン工場
これら要素をITを駆使して再定義して新しい流通体系を考えることだって可能かもしれない。
今年の11月18日は例年にならってGNNは東京で技術大会を開催する。
なんと、今回は日本コンクリート技術社とのコラボも決まっているし、
同じ日程で全生理事長会議が東京で開催されるそうだ。
なんと東京都内の生コン関係者密度の高いことか。
この機会に何かを打ち上げられたら面白いと思う。
宮本充也
※GNN第5回技術発表会 今年は11月18日金曜日@建築会館(メイン会場)
1.(AM蔵前橋会場)「GNN×日本コンクリート技術」共催プログラム 土木・二次製品・生コンで創る「建設業の未来図」企画(プレゼン・PD他)
1.(AMメイン会場)GNNワークショップ活動報告「新しい生コン業の創造」
(PMメイン会場)
2.基調講演「未来の混和剤」
3.国交省回収骨材使用禁止に関するパブコメに関するパネルディスカッション ※行政・大学・リサイクル関連団体・GNN・その他
4.IoTと生コン「プローブシステム」経産省IoT百選採択(?)進捗 GNNマシナリージャパン
5.日本コンクリート技術との合同大懇親会「飲みながら熱き技術論を語れ」
6.GNN活動報告(4編の発表予定)→低炭素(東伸)・暑中コン(寝屋川)・超速攻(あづま)・生コン産廃リサイクル(※スーパーサイクロン)
7.サブ会場プレゼン(今後募集)