2017/04/08
「IT×建設産業構造」 営業・マーケティング・Innovation・流通構造・生コン
2011年4月2日に建設業界に入職している。
丸16年経過し、足掛け17年。
その大半を新規建設資材(生コン関連)普及のため、
マーケティングに費やしたといってよい。
最初のころは買ってくれそうな人見たらすぐに売り込む。
何もわからなかった若手だから仕方ないとは思うけど、
そうやってわからないなりにあちこち叩いたり削ったりして、
少しずつ自分なりの道を見出していった。
未だに建設業の情報脈は不合理だと感じる。
それは昨日LSS(流動化処理土)に関するセミナーに参加しているときも、
同様に感じたことだった。
その不合理を一言で表すと、
「縦型」
これは監督官庁が縦割りになっているから仕方ないのかもしれないが、
ITのこの時代に合って不合理だと感じざるを得ない。
例えば、LSSがとても便利だと理解したコンサルの一職員がいたとする。
そして、実際に設計に織り込みそれが発注され完成したとする。
それは、それでしかない、ということがよくある。
つまり、その一職員がLSSを使っただけにとどまる。
同じ組織の中で他の職員にLSSの価値が伝播しない。
これは、建設資材の商社なんかにもみられる現象。
同一の利益を求める同じ組織の中にあっても、
例えばお客様から預かった図面は一担当者のものでしかなかったりする。
その商社の取り扱い製品は多岐にわたるのに、
その担当者が担当しているインターロッキングブロックの面積を拾うためだけに、
その図面は利用されそれで役目を終わってしまう。
例えば担当者の隣の席には緑化資材を担当している人がいて、
その図面には緑化資材の設計仕様が多く盛り込まれていたとしても、
その担当者にはその事実はなかなか知らされない。
こういう産業構造は新製品のマーケティングの際に非常に歯がゆい。
効率が悪すぎるからだ。
新製品を普及させていくにあたって僕たちのような中小企業はの弱みは、
「流通構造を持たない」
という点。
すでに出来上がっている生コンや土木資材に関していえば既存の流通構造がある。
ただし、これら構造は汎用品には有効に機能するにしても、
LSSをはじめとして新規性の高い製品を流通する役割を果たさない。
だからとにかく飛び込み営業を行って少しずつ形成していくより手がない。
というよりも、手がなかった。
ここにきて変化を感じている。
まだ予兆だとしても少しずつ縦割りではない情報の脈が形成されつつある。
それらのいずれもがITを駆使した脈となっている。
考えてみればITの時代に縦割りの情報の脈は不合理になる。
いったん末端から最上位まで情報を吸い上げてから再配分するありかた。
とにかく意思決定に時間を要するし多段階になり流通コストも増大する。
「欲しい」と「できる」
がダイレクトにつながりあう新しい水平の脈。
IT戦略に力を入れて1年経ちその手ごたえを感じている。
そして、ただ浮かれているだけじゃなく、
理想のゴールをキチンとイメージした展開が必要だとも思う。
これまでの流通構造、例えば生コンに関していえば、
70年の彫琢を経て細部にわたりきちんと整備されていて、
ある意味で完璧な形を整えているということができる。
今構築し始めているITを用いた新しい流通構造。
「ITは魔法だ!」
なんてことは幻想に過ぎなくて、ここにもきちんと整備された、
見事に形を備えた流通構造が求められる。
でなければ製品の安定供給は望むべくもない。
アマゾンに駆逐されつつあるヤマトが宅配便を始めた頃。
「宅配便なんか絶対に無理だ」
物流業者の多くがヤマトの挑戦を嗤っていた。
※その辺のいきさつは、創業者小倉昌男の「経営学」に詳しい
ハブアンドスポークという方式を導入し日本の物流にいのバーションをもたらした。
誰もが無理としていた宅急便を日本の当たり前にした。
そして、外来種であるAmazonにとってかわられようとしている。
建設資材はECやネットには向かない
おおよその見られ方となっている。
事実親しいIT系の経営者に相談しても常にそのように評価されている。
ただ、現実として、ITを駆使して、
「できる」と「ほしい」
がつながり、それが形となり、物流を生んでいる。
※特にこのところ透水性コンクリート「ドライテック」の問い合わせは尋常じゃない
建設資材をひさぐ一介の営業マンとして17年目を走っているが、
建設業界の情報脈の不合理性をいやというほど知っているだけに、
ITが持っている巨大な可能性を、無理だからと言って放っておくことができない。
まあ、とにかく、今僕(僕たち)が考えるべきは、
建設業界において需要家がいつどのように製品(価値)を必要とし、そして実際にその製品を得るためにどのようにアクションを起こすかを体系化し、体系化されたそのプロセスをITをできるだけ活用して円滑に進め、「できる」を「ほしい」に届ける、ということ
そのためには、結局は日々の絶え間ない営業活動。
情報発信とトライアルアンドエラーが必要になっていくだろう。
寝ても覚めても、生コン。
ITの時代に生まれつるべ落としの市場環境に焦りもするが、
落ち着いてできることを粛々と行うのみ。
IT×建設産業構造
これを作り上げればハッピーになる人がいかに多いことか。
誰しもが無意識に享受している建設インフラ。
この産業構造がより合理的になるのであれば、
社会に与えるよいインパクトは他産業に比べるべくもない。