2020/03/11
【改善策ってあるのだろうか、OJT・実務で訓練】
「すいません。今、何台目まで出しましたか?」
朝いち、現場に着くなり若手の監督から声を掛けられる。
こういう時、大抵があまり快い話ではないことは察しが付く。
「えっ、たぶん2~3台はもう出てるはずですけど...」
「ちょっと、止めてもらえますか?」(キタ~⁉)
「どうされました?」(もうこれは、お決まりのやり取り)
話を聞くと、
・型枠内に仕込んだアンカーボルトに問題あり
・ボルト径が違っていた?(図面or指示の間違い?)
・現在、急いで交換している、とのこと。
今朝、最終確認をしていたところ、所長が気付いた。(らしい)
とり急ぎ事務所へとその旨連絡して、出荷を止めてもらう。
「詳細はまだ分かりませんが、とりあえずまだ無理そうですよ~」
配車に情報を集めるのが最前線の大事なお役目。さらに追加情報を集める。
「でも、どのくらい止まりそうですか?」若手監督へと問いかける。
「え~~と、1時間くらいですかね」(それはマズイなぁ...)
あれこれと疑問も次々に湧き上がる。
・何本くらい手直しがある?
・上端の差し筋だけ?それとも横の差し筋も?
・ボルトが小さかったのか、それとも大きかったのか?
なぜそんな事まで気にするのかって?
大径→小径なら孔を兼用でき、逆だとそうもいかない...(リカバリーも速そう)
型枠の横から孔を空け直すと、内部にゴミが入って、再度掃除が必要...(時間がかかる)
そもそも、1か所の直すのに何分くらいかかるのか...(所要時間はトータルどのくらい?)
とはいえこの状況。全部聞いてもしょうがない。
まずは一番重要なところから探りを入れる。
「手直しは、何か所くらいあります?」
「ざっくりでいいので...、例えば、50本くらいですか...?」
過少申告できるように、敢えてふかして聞いてみると...
「そうですねぇ...、ざっくりとでぇ......、200本くらいです」
............⁉(オイオイ!というのは顔に出さない!あれ、出てたか?)
正直は美徳だが、こりゃ一筋縄には終わらないなぁ。
ざっと現場を見渡し、現状を眺める。
大工は3人。ドリルを使っているから孔は空け直しか...
てことは、200か所の孔をやり直すってこと⁉
交換用のボルトは、各ポイントに配られている。
ポンプオペや、大工にヒアリングをして再開の目途を予測する。
「言われた通りにやったのにぃ...」ブツブツブツと大工は不満をこぼす。
その気持ち、分からないでもないが、こんな時にそんな態度は1㎜も前進しないだけ...
トラブル対応は初動が肝心!(責任追及はその後からでも十分間に合う)
「生コンの試験室風情がうるさいなぁ。忙しいんだ、ちょっと黙ってろ」
などと思われていたとしても、そうはいかない。
こちとら、3台まるまる使わずに返品された方が大問題!(12m3の残コン処理⁉)
他の出荷にまで影響が及んでしまうので、何としても90分以内の打設開始を死守したい!
かたや、「やれやれ」と運転席へと引き込もろうとするポンプオペ。
若手監督は大工の小間使いで、あっちへウロウロ、こっちへウロウロ...
基本的に現場監督の打設方針に口出しはしない。
が、こういう緊急時にはそうも言ってはいられない。
何となく現状は把握できたので、
若手監督の元へとそっと近付き声を掛ける。
「大工さんたちそれぞれがあちこちやってますけど、それって監督の指示ですか?」
「あそこの真ん中付近で、型枠の縁が切れてるじゃないですか」
「そこからこっち側だけでも集中して手直しできませんか?」
「あぁ、なるほど!」と、多くは語らずに合点してくれたのが幸い。
若手監督はすぐさま大工さんたちに指示をして、その段取りを伝える。
以前、この監督に話を聞いたら、まだ現場に出て一年も経ってないそうで...
新卒から研修後、OJT(実務で訓練)という名目で現場へと放り出されているという。
人材不足とは言ったものの、もう少し若手の訓練・成長に寄り添わないと、
厳しくなってしわ寄せを食らうのは、いつも現場の職人たちなんだよなぁ...
30分ほど経って、無事に打設は片側から開始された。
3台分の生コン、12.6m3も無駄にならずに済んで、生コン屋としてはひと安心。
NR試験室 二見