2016/12/22
「元祖エコ・ロハスな生コン」 生コン・防災
大自然の恵み、水。
の次に流通する「材料」生コン。
というくらいだから、
自然体系と生コンは密接なかかわりを持つ。
生コンは、
・セメント
・骨材(石ころとか砂)
を水でかき混ぜてできるインフラ資材。
3.11や熊本地震の後のご当地の生コン工場の活躍ぶりを知るに、
人の営みには絶対に欠かせない存在であることを改めて理解するとともに、
来るべき大災害にきちんと役割を果たすことができるよう、
日ごろの健全経営(経営の安定化)は僕たちの使命であると心新たにしている。
生コンの原料、骨材。
日本は比較的骨材に恵まれている国と言える。
そして、生コンは防災に一役買っていることを紹介したいと思う。
ゲリラ豪雨と洪水被害が話題となっている。
色々な原因が取りざたされているけど、
一つに、水がめの管理が行き届いていない、というのがある。
鉄砲水から人の住む場所を守る。
堰堤と呼ばれる構造物が設置される。
(土木構造物の美しさは建築と比べてもそん色ないと思うのだが、あまりフォーカスされない)
この、堰堤。
きちんと機能するためにはメンテナンスが欠かせない。
浚渫といったりもするけど、
堰堤と堰堤の間に流れる河川に石ころやら流木がたまり、
河床が高くなる(→水位がその分高くなる)と、堰堤が埋もれてしまう。
そうすると、機能を果たせなくなってしまうために、
例えば国交省などのような発注機関が、特災事業等と呼ばれたりするけど、
河底(河床)の滞留物の除去を含む河川工事を発注する(河床整理)。
浚われたそれら土砂は通常なら「捨てる」になるんだけど、
ご推察の通りで、現地に近い骨材生産者が原料として「購入」して、
生コン用の原料に加工(→骨材)してそれを生コン業者に販売する。
リサイクルだエコだロハスだとかまびすしいが、
実は大昔からこうして生コンはリサイクルに貢献していたりなどする。
ただ、あまりにも地味で、且つ情報発信をしてこなかったこともあり、
「コンクリートから人へ」
等と言ってやり玉に挙げられがちなところが玉に瑕で、
誰がどうとかではなくて、僕たち生コン生産者が反省をして、
改善をすべきことだと僕は思う。
しかしこの、お家芸「骨材採取事業」が今危機に瀕している。
僕の操業するエリアに限ったことではないと思うけれど、
生コン屋の数が減ればそれだけ骨材生産者の数も減る。
だけど、自然の驚異はその分減るわけではない。
報じられているように、ますますその猛威は人を脅かしているように見える。
往時に比べてコンクリート構造物(土木インフラ)は減っていく。
さらに生コン工場は減っていくだろう。
生コン工場が減ることは大災害に対する強靭さがその分弱くなることを意味する。
そして、弱くなった現代社会に、大地震や洪水など災害がもたらされる。
特に洪水は上述のからくりから今後さらに深刻の度合いを増す。
河床整理が行われない(あるいは行うための費用が増大する)ことで、
国力も徐々に削られていく。
それじゃ困るから、国は弱った建設(生コン)産業に予算をつけて、
守るべきなのか?
僕はそうは思わない。
「防災」の御旗のもとに必要もない数の登場人物を活かしておくことこそ、
国力を弱めてしまうことになる。
守りすぎた○○業界がそうであるように。
生コン一つとってみても、社会や環境全体と密接なかかわりを持っていることに気づく。
草花や虫けらと違う、自覚を持った人としての貢献。
先進国の中でもずば抜けたスピードで進む人口減少を臨む我が国。
ピンチはチャンスというように、
こうした逆風の中で産業人が主体性を持って依存することなく知恵を絞り、
我が国が抱える問題に向かってInnovationを齎すことが、
人として生きている証だと思う。
これまで結果的に洪水被害を抑制してきた生コン業界が、
新しい時代にもその役割を縮めるどころかさらに広げていけるようになるために。
宮本充也