長岡生コンクリート
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2017/02/26

「トクエについて」

「トクエについて」

どんな人にも人生の転機があると思う。

僕の場合は15年ほど前にさかのぼる。

一時期仕事が死ぬほどいやになって逃げたことがある。

何が、生コンだ。

と。

何もやる気がなくなってしまい、

およそ半年近く現実から目を背けていた。

逃げた先で未だに忘れられないが祖母トクエとの生活をしていた。

そのころだった。

トクエが倒れた。


特別何も祖母には伝えていなかった。

ただ、毎日のように病床に顔を出す僕の様子を察していたのだと思う。

特別祖母も僕に対して何も言わなかった。

ただ、静かに病床の脇で行政書士受験テキストを読んでいたものだ。

もう、僕は生コンに情熱を失っていた。

くだらない生コンなんかやめてしまって、

僕みたいな有意義な人間はもっと輝かしいフィールドで活躍すべき。

そんな風に子供じみて考えていたものだった。


いよいよ祖母の容態は悪化していった。

本当に素晴らしい人生だったと思う。

最後の床には子供たち、そして孫たちが10人以上取り囲んで、

祖母は静かに息を引き取った。

僕は心拍が平になった脇で静かに眠る祖母に、

「おばあちゃん、またね」

と最後の別れをささげた。


祖母は、特別なにも言わなかったが、病床の脇でテキストを読む僕に、

「みつや、逃げるな、がんばれ」

と思い出したように話しかけてきたことを思い出す。

突拍子もなく、

「逃げるな」

別れを告げた後、僕は決心していた。

そして、半年のブランクを超えて社業に戻った。

そこからは、ひたすら社業に専念した。

やれることはすべてやった。

多くの衝突や場合によっては係争にまで発展したことだってあった。

いちいち心を動かされることばかりだったが、

目を閉じずひたすら向き合った。


祖母、トクエの僕に対するメッセージ。

逃げるな

僕は、こう解釈している。

一度逃げたら、永久に「逃げるくせ」がつく。自分に不都合なことはどこの世界にいっても必ず形を変えてまたぞろ襲い掛かってくる。環境ではなく自分が変わるしかない。だから、逃げない。目の前にある自分にとって不都合なことは僕を成長させてくれるきっかけにすらなる。

事実、そこから何が起きても逃げずに、とにかく向き合った。

そして、祖母に誇れるかわからないけれど、それなりに何とかなっている。

今、15年前と変わらず、生コンと向き合っている。

トクエはただ、「逃げるな」と僕に言った。

つべこべ言わなかった。


僕もトクエのような他者に影響を与えられるような人間になりたい。

人をあやつるような、そんなことではなくて。

自分の生き方が人にいい影響を及ぼすような。

そんな生き方をしたい。

僕のいとこは祖母が亡くなってから祖母が大好きだったラーメンを1年絶った。

僕は、トクエの残したメッセージを、15年守り続けている。

別れはつらいものだけど、

消えてなくなるものではない。

その意志は消えることなく僕の体に燃えている。

そして、次の世代に、必ず営々と引き渡される。


どんな人にも、きっと転機があるだろう。

後悔しないように、今目の前にいる人たちに、

最大の貢献ができるよう努力していきたいと思う。

祖母、トクエの意志を継いでいきたいと思う。


宮本充也

宮本 充也

主な著者
宮本充也

1級(舗装・造園・建築・土木)施工管理技士/コンクリート主任技士・診断士/砂利採取業務主任者/採石業務管理者

危険物取扱責任者(乙4)/毒物劇物取扱責任者/日本農業検定(1級)/エクステリアプランナー(2級)/運転免許証(大型・中型)

勉強中の資格:宅建士