2017/04/26
「日本で最も生コンが安い地区」
一般には理解されづらいと思うが、
建設物価・積算資料
という超マニアックな本が発行されている。
こんなの。
※手前の赤いのと黒いのがそれ。業界では赤本とか黒本と呼ばれている。
これ、超マニアックである。
「ディアゴスティーニとどっちがマニアック?」
と訊かれたら0.1秒後に、
「こっち!」
と応えられるくらいマニアックである。
が、建設業従事者であればおよそ知っているだろう。
コンサルとか設計事務所に行くと棚に必ずおいてある。
中身何かっていうと、
全国の主要都市で生コン(に限らず主要資材)がいくらで流通しているか
が掲載されている。
これ、超分厚い本で1冊でおなか一杯。
タウンページとどっこいどっこいの分厚さである。
このマニアックな書籍の発行元、
経済調査会
物価調査会
というこれまた超マニアックな財団法人があって、
僕はこの両社にかれこれ10年以上毎月通っている。
これも、建設独特の習慣だと思うが、
彼らが何をやっているかというと、
地方公共団体から価格調査を請け負う仕事をしている
橋やトンネルや道路は公共インフラだから、
どこかの金持ちが発注するのではなくて、
発注機関は地方公共団体(または国交省)となる。
入札に先立ち予算を立てるにあたって、
ご当地の生コン(に限らず主要資材)は今いくらで流通しているか?
が予算を決定するときに必要な情報となる。
そこで、彼らの出番となる。
優秀な調査員が担当エリアの価格動向を探るわけだ。
こちら生コン屋サイドとすると、
「できるだけ高く調査してもらいたい」
となるわけだが、
調査員としては、
「国民の税金から支払われる資材価格なわけだからきちんと調べよう」
となっているために、ずぶずぶべったりの関係性は構築しづらい(笑)
生コン組合側は、
「すげー、高く売っちゃってるからね!」
とあぴりたいところだが、
さすがは調査員、
生コン組合の言い分は言い分としてまあ参考程度に聴いておき、
実際の価格はご当地に張り巡らしている調査網(盗聴器)で、
きちんと流通価格を調査しているものだから手ごわい。
こうして、日本全国津々浦々の生コン価格は調査され、
一つの本としてまとめられている。
それが冒頭に紹介した赤本と黒本ということになる。
さて、今回は超マニアックな中でもさらにマニアックな情報を紹介したい。
「今(2017年4月現在)、日本で最も生コンが安い地区は?」
家計を預かる主婦ならば飛びつきそうな話題だが、
生コンの価格なのであまり飛びつくこともなかろう。
余りもったいぶらせてもなので結論を書くと、
同率一位で、福岡と浜松、となっている。
あちゃぁ、静岡県の浜松入っちゃってるよぉ。
この積算価格と呼ばれる指標は実に組合活動と紐づいている。
つまり、
組合がきちんと運営されているところでは積算は高くなりがち。
逆にダンピングが起きたりしている地域に関しては安くなる。
資材高騰トレンドの建設業にあって最近では高めの値段がついていた。
10年前などは7,000円なんて価格もあったくらいだから、
それに比べれば9,000円台の両市はまだましなのかもしれないが、
それにしても、静岡県東部はちなみに13,500円てことから考えると、
9,000円台はかなり辛目な評価がつけられていることになる。
安く買えることはいいことだ。
一般にはそういうことなのかもしれないが、
生コンに限っては安すぎるのは問題となる。
話が長くなってしまうのでこの辺で筆をおくことにするが、
それにしても大好きな福岡市と同じ静岡県の浜松市には、
ぜひ頑張って(?)価格を上げて良質な基礎資材を供給してもらいたいものだ。
価格調査会社だって不用意に安い金額をつけたいはずもない。
適正価格がきちんと形成されて良質なインフラ基礎資材が供給されること
これは生コン屋だけじゃなく社会全般の望みであるのだから。
生コンに限っては適正価格というのは実に難しい問題である。
それだけになまこんというテーマを選んだことを、
ここ最近さらに誇りに思う毎日である。