2016/02/05
「土木と建築行ったり来たり」
わが国ではもはや宮本お兄さんといえば生コン業界におけるゆるキャラとしての絶対的な地位を確立したわけだが。
言うまでもなく生コンクリートは水の次に流通するといわれる重要インフラ基礎資材。
生コンがなければ、世の中はなりたたない。
人類の営みや繁栄の基礎資材である。
生コンクリートの特徴としては、汎用性、が挙げられる。
裾野が広い、ということだ。
表題にも書いたように、土木だけではなく、建築にも使用されている。
ありそうで、こんな材料意外とない。
両業界に供給する生コン業という視点から見ると、いろいろなものが見える。
同じものを扱っているのに、まったく様式が違う。
たとえば、土木ではスランプ5㎝~8㎝を主に使う。
建築では、18㎝~21㎝、さらにはフロー管理。
上記は代表例であり、言葉や施工方法など細かなところまで、両者の違いは明確である。
「同じ生コンクリートを使っているのに」
である。
建設業界だけではなく、我が国の産業は常に縦型・垂直統治型の脈で象られている。
国が方針を決め、管理をし、民間がそれに従う。
経済成長と人口増加という2つの前提条件がこの垂直統治のモデルを支えてきた。
結果、99.7%の中小零細企業らが、0.3%の大企業にリードされる経済モデルが完成した。
労働生産人口の70%は中小零細企業であるというのに。
精算される付加価値の70%は大企業が創出している。
富の脈付けはたった0.3%が支配している。
1億3千万人から8千万人へ収縮していく局面に入った。
世界のどの国よりもそのスピードは速い。
原理原則に従えば、
「今のままいけるわけがない」
ことには、誰しも異論がないはずである。
今、私たちは、抜本的に新しいあり方を作る必要がある。
国家を考える前に、今私たちが実際にできることを考える。
それは、建設業の中の生コン業。
その有様は垂直統治型というフォーマットしかもたない保守的な世界。
ただ、先ほども述べたように、非常に汎用性が高く、また経済規模も大きい。
土木と建築それぞれの縦の脈から降りてきた要請に対して私たちは、
「ただ、受動的に、供給してきた」
視点を変えてみると、65年以上の産業としての経験はかなり深い。
世に供給された総量は100億立方メートル以上。
そして、能動的に発信する。
2つの縦の脈で得られた経験を統合し価値を付加する。
土木の当り前を建築に、建築の当り前を土木に。
こんな簡単なことすら、私たちはやってこなかった。
そして、これをやれるのは、生コンしかない。
情報インフラの整備で、これまでの常識が壊れ始めている。
必要と可能。
欲しいとできる。
これらがダイレクトに水平の脈でつながり始めている。
もしかしたら、最も大きないい意味での社会・経済貢献ができるのは、生コンとそれをとりまく建設産業なのかもしれない。
できることからまずやる。
当事者意識を持たないことが、すべての悪弊です。
宮本充也