2017/10/25
「お前がつぶれるまでやってやる」
意地の張り合いで相手をぶっつぶすまでと怒り狂ってる生コン屋から、
自分の一生を支える住宅の基礎に生コンを購入したいと思うだろうか。
生コンクリートの価格。
一般には不思議に思われていると思う。
そもそも、不思議にすらも思われていないかもしれない。
生コンの価格。
社会とか経済とかで出てきた、
需要と供給
で説明がつかないのが、
生コンの価格。
コスト(原価)とプライス(価格)に因果関係があまりないのも、
生コンの価格の特徴かもしれない。
知れば知るほど面白いのが生コンの価格となっている。
調査会
という機関がある。
物価調査会とか経済調査会という会社がそれ。
僕はここ10年以上この機関と接点を持っている。
生コン
これまでも何度もここで紹介してきた通り、
生コンはカルテルを認められている。
是非はここでは論じない。
行き過ぎた場合もあれば必要な場合もある。
日本各地に200以上といわれる生コン組合があって、
概ねそこで生コンの価格は決定されている。
というよりも、
生コン組合が支店業者といわれるゼネコンと、
個別物件ごとに価格交渉(交渉窓口に商社が入る場合もある)をし、
その結果妥結された価格が生コン価格となる。
だから、日本全国生コン価格はまるで違う。
調査会はその価格を調査する機関。
(それ以外にもそれぞれの地域の労務単価やその他資材の価格トレンドを調査している)
それぞれの地域で上述のように決められる価格を、
足を使い調査して回り、
調査レポート
としてとりまとめ、発注機関である、
国・県・市・町
の求めに応じて提出する。
その業務は競争入札で受託を争われている。
そこには市場原理がきちんと働いている。
公金が利用される公共工事
そこで利用される生コンを初めとする各種資材価格は、
もちろん税金が拠出原資となるわけだから、
予算の根拠とされる彼らが調査した価格データは非常に重要。
より正確に、より迅速に、
調査には改善を求められ、
適時その地域の価格動向は明らかにされ、
公共工事の予算の根拠に活用される。
昨日、
いま日本で一番生コンの安い地域
という話題が出た。
残念ながら、僕の住む静岡県のとある地域(東部ではない)。
その地域では僕の知る限り10年以上、
生コン工場同士のダンピング(?)が続いている。
「お前がつぶれるまでやってやる」
その地域では生コン組合が崩壊している。
行き過ぎた生コン組合もある。
崩壊することそのものに対して僕はいいとも悪いともいえない。
だが、今その地域で行われていることは単なる消耗戦。
「あいつがつぶれるまで銀行の融資をとにかく取り付ける」
そんな闘い。
これ、市場原理だろうか?
今の日本では8,000円の生コンもあれば、
16,000円の生コンも流通している。
もちろん、プライスは安い方がいい。
当り前の話だ。
ただ、
10年以上も消耗戦をしている中小企業の生コンが仮に安かったとしてあなたはそれを買いたいと思うだろうか?
不名誉なことに10年以上そんな消耗戦を続けているその地域。
事態の収束を願う。
生コンは意地の張り合いの道具ではない。
水の次に流通する材料。
社会インフラの主要資材。
本来は適正な価格と利益を得て、
もってより高品質な生コンクリートを創りだし、
社会貢献しなくちゃいけないよね。
意地の張り合いで相手をぶっつぶすまで怒り狂ってる生コン屋から、
自分の一生を支える住宅の基礎に生コンを購入したいと思うだろうか。
僕が生コンに入職した17年前はその地域とちょっと近い状況でもあった。
その後生コン組合のテコ入れにより価格は適正となった。
4,000円近い生コン価格の回復を見た。
生コンを通して社会貢献をする。
組合も単なる手段。
目的をきちんと持って、
生コンを操業していきたい。