2017/11/16
「ものづくりのラストワンマイルを握る」
昨日ゼネコンの下請けをしている人とお話をした。
「意味もなく値引きされます」
そうおっしゃっていた。
下請け叩き
よく聞く話だ。
実際目にすることもある。
「俺の言うことを聴けないのか」
どすを利かせて電話越しで業者を恫喝する現場所長。
最近は減ってきたのかな。
と思っていたけれど現実はそんなことはないらしい。
建設が好調
世間ではそのようにとらえられているかもしれない。
利益額過去最高のニュースも多い。
生コンのように建設ヒエラルキー下層から建設を眺めていると、
市場という空から降ってくる富は上層でほとんど搾り取られ、
下に行けば行くほどその富は細り、
え?建設って好景気なの?
みたいなことが実際には横行している。
「単価上げたんだからいいだろ?」
といいながら支払いの時に端数はおろか数%削って払われる。
これが民間取引の過酷な現実だ。
供給過剰となっている建設市場では仕方ない。
整理が進んでいないともいえる。
見かけの好景気はほんの瞬間的なもの。
実像が現れたらつるべ落とし以上の高速で市場は冷え込んでいくだろう。
ただでさえ下請けに甘んじている多くの小規模建設事業者。
彼らはきっとその時には真っ先に痛めつけられ、
場合によっては抹殺されてしまうことになるのかもしれない。
これは産業構造が縦型であることに起因する。
建設産業という富の塊を、
ゼネコン
がリーダーになって版図を奪い合っている。
リーダーの下にぞろぞろと下請けの群れがついていく。
リーダーが負ければ彼ら下請けも負ける。
だからリーダーに負けさせないために必死についていく。
値引きされたってかまわない。
リーダーが勝てばご褒美がもらえるはずだから。
こんなかんじで建設産業を俯瞰することができるかもしれない。
建設産業を別の切り取り方ができないだろうか?
ものづくりのラストワンマイルを握る小規模建設事業者。
彼らは「流通」とか「情報発信」に弱いため、
自ら市場にリーチすることができずゼネコン等の下請けに甘んじている。
ただ実際にモノを作っている、
実際に手を下し汗をかき形を生み出している、
ラストワンマイルを握っているのは小規模建設事業者。
いつまでも元請けの匙加減に生殺与奪を握られている存在なのか?
情報を握っているのは元請け。
営業チームを揃え官公庁や大手資本から案件を受注する。
情報を持っているところがやっぱり強い。
だがIT革命のこの時代少しずつ変化が起きていると僕は感じている。
小規模建設事業者の群れ。
小規模建設事業たちが自ら連携して情報を得る。
そんな活動。
昨日お会いした方は、
という団体の幹部の一人だった。
建設ヒエラルキー下層で苦しい戦いを強いられながらも、
連携し元気で誇りを持てる建設事業者という地位を手に入れる。
適正利益をきちんと得られるよう自助努力する。
会員企業数は440社を超えるという。
建設職人甲子園としての経営課題は多いというが、
中小企業のせがれとして生まれた僕には共感するところが多くあった。
是非役に立ちたい。
協力したいと思った。
日本の企業数の99.7%ともいわれる中小企業。
リアルで過酷な中小企業。
いつまでも不条理な下請けに甘んじていていいもんか。
僕達の覚悟と情熱は誰にも負けないはずだ。
そして低迷する日本に再び成長カーブをもたらす原動力。
それは、
モノづくりのラストワンマイルを握る僕たち中小企業だ。
僕の信念でもある。
建設職人甲子園をはじめ、
小規模建設事業者のためになるような活動ができたら本望である。