2018/01/06
「あいさつ回りの流儀」

古臭い
違う業種の人から見たらおかしいかもしれない。
建設業の挨拶まわり。
何の意味があるの?
年始に顧客をぐるぐるとあいさつして回る。
中身?
そんなもんはない。
あけましておめでとうございます。
それを言うためだけに行う。
今年で17回目を数える。
年頭のご挨拶。
あいさつ回りの流儀。
生コンブログの始まりである。
年始早々いそいそと客先回りをしている背広組を見かける。
あいつらの心中はきっとこうだ。
仕事だから仕方なく年始早々なんの生産性もないあいさつ回りをやってんだ。さっさとこんな仕事は済ませてしまって早く家に帰りたい。訪問する側もされる側もきっと喜んでない。あー、めんどうくさ。
素人はこれだから。
俺はそんな素人君をしり目に訪問先のドアをノックする。
いつだって誇りを忘れてはいない。
俺は、今、年始のあいさつ回りをしている。
そのことを全身で誇りに感じ。
さあ、来ましたよ。
年始しぼりたての宮本充也がやってきました。
お待たせしました。
宮本充也の登場です!
心の中で威風堂々と独り言つ。
いよいよドアを開ける。
事務所の視線が一斉にこちらを見る。
あぁ、宮本さんかとほほ笑む表情もあれば、
ああ、また年始の挨拶まわりね、
とささっと自分の仕事に目を落とす顔もある。
そんな世界に振動を与えるべく大声でこう叫ぶ。
「新年あけましておめでとうございます!本年も、長岡生コンをよろしくお願いします!!」
誰も無視できない声量でこう叫ぶのだ。
事務所の中で交わされる会話の声量が1とすると、
俺はのっけから8くらいの声量で挨拶をする。
これが俺のあいさつ回りの流儀だ。
誰もが俺の方を注目する。
年始早々やっつけ仕事でやってくる背広組とは一味違う。
そんな視線を全身に受ける。
そう。
やっつけしごとであいさつ回りをする連中と一緒にしないでくれ。
俺は全身全霊であいさつ回りに誇りを感じてるんだ。
今日(5日)なんざ、30件回たっんだぜ?
見くびるなよ。
こちとら魂を削る思いで新年のご挨拶やってんだ。
おままごとと一緒にすんなよ。
そこの事務所のボスが数秒の間を開けて片手をあげる。
(「よく来てくれたね。今年もよろしく!」)
何も言わなくてもわかる。
俺にはわかるんだ。
今年もよろしくな。
正月5日にもなると街中があいさつ回りでにぎわう。
その中の一体どれだけの連中があいさつ回りに誇りをもってるだろうか?
ITだ効率化だなんて最近の若い連中は正月のあいさつすらおぼつかねえ。
まるで正月のことを単なる連休くらいに見なして、
年始の挨拶も省略している小僧どもも多いと聞く。
時代が変わった。
古来の形式を怠ることを美徳としている。
そんな表面的な連中がとても増えちまった。
ならば俺だけは変わらない。
どれだけ文化や経済が変わったとしても、
地球の自転は変わらないだろ?
それと一緒さ。
今日(6日)も俺は誇り高いあいさつ回りをする。
土曜日?
関係ねえな。
建設業に土曜日も祝日も関係あるか。
リーマン営業マンどもは土曜日だ日曜日にすぐ飛びつく。
阿呆か。
早朝、深夜、休日にあいさつするから本物の関係性が構築できるんだ。
見ておけ、こわっぱども。
これが天下一品のあいさつ回りだ。
目に物言わせてやる。
日本一。
否、
世界一のあいさつ回りからスタートする。
それが俺の新年の流儀。
本年もよろしくお願い申し上げます。