2015/11/02
「生コンのトレーサビリティ」あの日の記録と記憶を共有
食品トレーサビリティが話題になったように、自分が購入した商品または自らの購買活動の履歴がすべてあとからたどれるようになったら圧倒的に安心です。 かかりつけのお医者さんで言うところのカルテ。かかりつけ、いきつけにするからこその安心感は、互いに記録も記憶も共有してあって、「あんなことあったよ ね」なんて後から振り返るコミュニケーションもものを買うときの安心感だと感じることが年々増えてきました。
僕はもともと人間関係に保守的なので、ある程度の年月を一緒に過ごさないとなんとなく安心できない口です。日本人はもともとそうした性質をもっているん じゃないかなって思うことがあります。超島国なわけですから、歴史的に見ても人の流動性は極めて低い環境に長年生きてきた。だから、DNAに刻み込まれて いるというか、いきつけ、じょうれん、おとくいなんてことに安心感を覚え、私なんかは一度決めた店や取引先はよっぽどのことがないと変えようとしません。
さて、生コン。一般の方はなじみがないので改めて説明をしますと、セメント・砂利(小石)・砂・水・薬をミキサーと呼ばれる攪拌機でがちゃがちゃに混ぜ るとできあがるのが生コンクリートです。ご想像の通りどろどろのこれは時間がたつにつれて固まってしまうので、ぐるぐる回る入れ物をしょった生コン車で現 場まではこばれます。
「ほっとくと固まる」ってことは「運んでる最中にも固まってる」ってことなんです。
「できたてと現場時点とでは性質がちがう」ってことなんです。
普通の製品ではあんまり考えられないですよね。需要家である建設会社はものが届いて生コン車から荷卸しをしてみないことにはどんなもんかがわからない。 アマゾンで買ったBECKの新譜が届いてワクワクしながら箱を開けてみたら中身が長渕剛だった、なんてことがあり得るわけです!!(わかりづらいですか ね)
65年の生コン産業でこれはあたりまえとされていて、ある程度現場に到着する時間経過を予測して製造時にさまざまな調整を加えてきました。自分たちで言うのもあれですが、けっこういい加減。
そんな生コンの製造時から現場荷卸しまでの全工程における生コン品質が1分ごとにたどれる技術があります。IBB Probeと呼ばれる検査端をぐるぐる容器のどてっぱらに穴をあけて設置する。検査端が触れた生コンクリートから受ける圧力を検知することによって、「今 生コンがどんな状態か」を知ることができる。それをCrowdに飛ばして履歴をためていくことができる。
「僕があの日あのときあの場所で買った生コンクリートはこうだった」
と履歴をたどり、資料として施主に提供することができるようになった!!!!!
このところ建設業界の信用そのものが揺らいでしまうようなニュースが頻発していますが、少なくとも長岡生コン(大型車)の生コンはすべて履歴がたどれるようになっていますのでご安心ください。
お客様と、「あの日あの時あの場所の記憶と記録」を共有して、いつも笑顔で楽しくお仕事をしていきたいと考えています。この技術はカナダのIBB Rheology社のDenis博士が3年前に日本に持ち込み、現在GNN Machinery Japan社が国内の総代理業務を執り行っています。
産業も65年以上経過するといかに保守的に見えてもいろいろ変化が起きるんだなあなんて、さいごは感慨で絞めてしまいます。なにごともお客様からの無茶ブリで新しい技術がうまれますので、遠慮なくお申し付けください!!いつもありがとうございます!!!
専務取締役 宮本充也