2019/04/13
多様性の時代に求められるのは柔軟性【ベネチア】【生コン】
生コンクリートは地場産業。日本にも、ロシアにも、イギリスにも、そしてイタリアにも。さらには、弘前にも、福山にも、フランクフルトにも、そしてベネチアにも存在する。多様化する世界で大切なのは柔軟性。ベネチアの生コンを見て感じたこと。
ベネチアの生コンを見て感じたこと
MAPEI(ミラノ)訪問の後はベネチアで週末を過ごすのが慣例となっている。写真はベネチアRUN10kmの記念撮影(右:ジョルジオ・フェラーリさん、中央:鷲澤幸一さん)
街中で見かけた光景。
CALCESTRUZZO。実はこれ、生コン。
車が乗り入れできない街の特別な習慣。
国際都市ベネチア。
世界遺産。
街の大前提と言っていい道路がない街。
その特徴はあらゆることに特別を要求する。
例えば、消防車がない。
消防車ではなく、消防船。
網目のように運河を伝って火災現場に到着する。
水利はそのまま海の水を利用する。
例えば、そんな慣習。
パトカーというものもない。
警察は船で犯人を追いかける。
船で町の安全をパトロールする。
そして、生コン車。
そんなもんはない。
生コン船。
大型の建設は別としても通常の建設に用いられる生コンは写真のようにパッケージされた原料が現場に持ち込まれる。
現場でミキサーに投入され製造される。
もちろん、特徴的な街ベニスの生コン。
特別ではあるかもしれないけど、世界に展開する地場産業「生コン」は多かれ少なかれその土地に影響を受けるはずだ。
例えば、日本の生コン。
北海道から沖縄まで南北に広く分布するそれぞれの地場産業。
それを1つのJISでくくる。
そのことに意味があるのか。
ベニスのような街で操業する生コンにJIS企画はなんらかの意味を付与するのか。
多様性の時代。
求められる性能は柔軟性。
もうすでに僕たち生コンは誰かの指導を仰ぐ必要のある存在じゃない。
独立した技術者がそれぞれの地域でプライドを持って仕事をしている。
それを、どこか中央で決まった規格をフォローさせることは果たしてどれほどの意味があるだろう。
それぞれの独立性を認めるべきなんじゃないか。
イタリアベニスの街を歩いていて思ったことは概ねそんなところだ。
宮本充也