2019/05/01
全く平らではなかった平成が終わり令和が始まった。
2019/05/01は新時代「令和」の始まり。新時代もひたすら生コン。周りを見渡し常に一緒にいる人たちにとって平成はまったく平らではなかった。31年間を振り返り、未来を創造する。
まったく平らではなかった平成が終わり令和が始まった。
平成という時代が終わった。
島国日本が固有に作った時代区分でしかない。
けれど、これだけあちこちで新元号、平成、令和と囃し立てられるといやでも平成を振り返る。
今日から令和と名付けられる時代に入る。
そんな今日、僕にとっての平成はどんなだったのか、友人(フッコーの杉山さん)とランニングをしながらあれこれ思いを巡らせた。
連休ということもあり駆けつけてくれて令和最初のランニング(12km、狩野川沿い)を楽しむ。杉山さんにとってもまったく平らではなかった、平成。
創業者(父)の死から始まった平成。
昭和64年に他界した長岡生コンの創業者宮本辰雄。
直後、会社の経営権を共同経営者に奪われる。
それが、平成の幕開けだった。
大黒柱を失った宮本家。
妻であり母みよが半年後にしかけた裁判。
「父の意志を充也に」
10年続いたこの裁判で母みよは回復不可能な傷を負う。
その後遺症は今も続く。
そんな背中を見つめた少年時代。
今でこそ死語となった「女手一つで子供を育てる」を地で行った。
同時に勃発した遺産争族。
兄弟や親類の見たくない素顔をいやでも見せられた。
父が元気だったときは恭順だった多くの大人たちが牙を剥く。
女子供の所帯でわめき散らし金品を要求する。
ガラスも割れる。
まるで平らではない平成。
平成10年5月経営権回復。
大学2年生の時だった。
会社が戻ってきた。
そんな報せだった。
そのことは卒業後すぐに生コン工場に入社することを意味していた。
超就職氷河期。
周りを見渡すと企業から「落第」を突きつけられ尊厳を踏みにじられた仲間たちがいた。
まるで平らではない。
地獄への坂道を転がり落ちるような時代のように映った。
人手不足。
超売り手市場。
そんな今が嘘みたいだ。
13年4月2日長岡生コンクリート入社。
10年裁判で疲弊した現実が学生気分を吹き飛ばしてくれた。
裁判で勝った。
それは、名ばかり。
前後経営者は裁判の旗色が悪くなり始めると一切投資活動を止めた。
すでに更新時期を迎えていたプラント設備、車両、事務所、あらゆる必要とされた投資は先送りされ、自らが退職する時の退職金の原資にあてた。
からっぽ。
というよりも、債務超過。
父の遺志を継ぐために闘った母に突きつけられた答え。
古い会社ならではのいろんなしがらみにしがらんでいた。
就職難にもめげず都会の大手企業に進む仲間たちを尻目に田舎の山奥の生コン屋に転落。
下りのエスカレーターなんて生ぬるい。
どん底。
あとは破産しかない。
ジェットコースターのような毎日をがむしゃらに暮らしていた。
こちとら会社を潰す覚悟で仕事をしていた。
ちんぴらに近所をうろつかれたりした。
怒鳴られたり、恫喝されたり。
ガラスが割れたり、ダンプで突っ込むぞと脅されたり。
タバコの火を母の顔に押し付けられたり。
泣きわめく家族や寂しそうに見える父の遺影。
僕はその中で徐々に大人になっていった。
家をめちゃくちゃにしていた人たちはとても老いて惨めに見えた。
上背も僕の方が高い。
あれだけめちゃくちゃに暴れていたちんぴらが街で僕を見かけると「あぁ、みつやくん。また仕事頼むよ」なんて媚びてきたりもする。
平成は僕を大人にしてくれた。
今、令和に立ち、改めて大切にしたいこと。
平成なんてまやかしだ。
安定なんて嘘だ。
人はどうしても籠の中に安住を求めるちっぽけな存在。
ただ、籠なんか幻想だ。
守ってくれるもんなんかない。
平成を振り返り、結果的に自らが切り開いてきた現実に想いを馳せる。
全ては自分、そして先人の遺志が今とこれからを作る。
いつも一緒にいる仲間たちを見渡してみる。
それぞれ、平成じゃない平成を過ごした同志たちだ。
暗中模索、もがき苦しみ、ふと令和に立っている。
周りを見渡すと、同じく平成をもがき苦しんだ仲間たちが実力をつけてそれぞれの分野で活躍している。
もう、僕たちは大人だ。
守られる側ではなく、守る側。
フォローするのではなく、リードする側。
急な下り坂を記録した平成の日本経済。
そこでもがき苦しんだ仲間たちはきっと令和という時代を明るくするはずだ。
令和の生コン。
それは、誰でもない、自分が切り開くもの。
本当の自分がやりたいことをやる。
会いたい人に会う。
自分で責任を取る。
僕たちが作る生コンは中小企業や個人の抑圧されてきたエネルギーを解放する。
生コンという職業は素晴らしい。
誰かの下請け、使い走りではない。
令和の初日に伊豆の踊り子号に揺られ窓外の景色を眺めながら考えたことだ。
宮本充也