2019/10/06
【京都】フェロニッケルスラグ骨材を標準化している山城生コン
全国の生コン工場を旅して回る生活をしているとつくづく生コンは地場産業であることを痛感する。その場にしかない条件。その条件に対して素直に柔軟にありたい。
フェロニッケルスラグ骨材
こちらが、「ナスサンド」と呼ばれるフェロニッケルスラグ(細骨材)のストック状況。
フェロニッケル骨材の産地は山城生コンから1kmと離れない日本冶金工業。
フェロニッケルスラグとはステンレスの原料を生産する過程で発生する副産物。
海外から運ばれる土塊からステンレスの原料を取り出す。
その焼けのこりのカス。
それが、フェロニッケルスラグ。
もっとも有名なところでは製鉄の過程で発生する高炉スラグ。
ゴミ焼却炉から発生するのは溶融スラグ。
他にも、銅スラグ、電気炉酸化スラグなどが挙げられる。
簡単に行って仕舞えば、「燃えカス」。
こうした燃えカスはもともと埋め立て処分され大地を汚してきた。
その燃えカスに新たな用途を与える。
それが、高炉スラグセメントのようにセメント代替材料としての利用(国策)や、各種スラグの生コン用骨材としての利用だ。
高炉スラグのように地域も分散し量も大量なものであれば、全国統一した流通が組みやすい。
ただ、フェロニッケルスラグの場合、産地は限られる。
そのため、地産地消がもっとも効率の良い流通構造となる。
地産地消。
それは、生コンクリートが求めるべき文脈。
なるべくその地域で完結する。
地域とともにある。
山城生コンの周辺には日本3景に数えられる天橋立や、伊根の舟屋など、豊富な観光資源が多くある。
地域に貢献したい生コン工場。
山城生コンばかりじゃない。
全ての生コン工場は地域に貢献したいと思っている。
なぜなら、地域外で稼ぐことができないからだ。
地域が豊かになることで求められるインフラを供給する存在だから。
だから、地域をないがしろにすることはできない。
フェロニッケルスラグはJIS化されている。
ただ、それ以外にも、地域の特性に応じた発生物、例えば浚渫土や貝殻やら、火山灰やら、数え始めたら色々出てくる筈だ。
それら全てをJIS規格で網羅することは難しい。
そのことが、そうした副産物を有効利用した生コンクリートが流通をひらけない一つの要因となっている。
もちろん、せっせとJIS化を目指すのも大切。
ただ、JISから外れる、というのもこれからの時代の選択肢なのかもしれない。
どれ一つとっても同じではないそれぞれの地域のそれぞれの生コン工場。
一つだけ共通するのは「地域に貢献したい」という想いだ。
その想いが規格にがんじがらめにされるのではない。
主体的にそれを形にできる。
そんな自己組織化に向かう生コン産業が本当に地域貢献できるありかたなのかもしれない。
宮本充也