2019/10/26
【表面張力・グラスにコインはあと何枚入るのか...?】
「『もう酒の表面張力は限界だ...』」
「『無理だ』と考えているのだろう.........?」
「ちがうんだなそれが.........」 ストォ~ン
<単位容積質量の測定用容器>
この容器の形状・試験方法などにも、もちろんJIS規格が適用されている。
一部を抜粋すると(JIS A1116)
・容器は、金属製の円筒状のものとし、水密で十分強固なものとする。
・取扱いに便利なため、取っ手を付けておくのがよい。
・容器を満たすのに要する水の質量を正確に量って、容器の容積を算出し、V(m3)とする。
さらに脚注まである。
水を容器に満たすには、わずかにあふれるまで入れた後、容器の上に磨きガラス板を載せて余分な水を除く。
このときガラス板の裏側に空気の泡が入ってはならない。
この作業には、割と精密さが求められる。
腕をプルプルさせながらも一滴ずつ水滴を垂らす。
表面張力いっぱいだと多過ぎて、少な過ぎると気泡が残る。
「溢れては足す」という行為を幾度となく繰り返す。
波紋の拡がりを眺めていると、だんだんと張力の限界に近付く感覚...
これは『グラスとコイン』ばりの緊張感!
気泡なくガラス板を載せるためには、呼吸すら邪魔になる。
ポタポタ水滴を垂らしながら、試験室の片隅で、ひとり問う。
「もう表面張力は限界か...?」
「バレなきゃイカサマじゃあないんだぜ」
「ちがうんだなそれが.........」
スゥゥ~、とガラス板が音もなく吸い付いて気泡がなくなった。「グッド!」
NR試験室 二見