2019/12/18
【現場の二宮尊徳】
「この間打ったあのコンクリート。
25㎜のやつ。土留め。とても良かったよ」
何度か現場代行試験で訪れている、土木の現場。
試験をしていると、職人さんが話しかけてきた。年の頃は60手前くらいだろうか...
「とても良かったよ」
「日々の品質管理がされている」
「スランプも丁度いい感じだった」
こういう言葉を掛けてもらうと何だか嬉しくなる。
こちらの仕事も見てもらえてるんだなぁ、と素直に感じられる。
「ただね、40㎜の方はちょっとね...」
え、どういう事だろう?...言葉をのむ。
「40㎜使ってるくらいだから、固いのが欲しいんだよね」
「法面に打つとさ、ダレてきちゃう、固くないと」
「ま、その辺はよく分かってると思うからさ、今後もよろしく頼むよ」
.........何だ、この感覚は。
これは「3つ誉めて、1つ叱る」という手法なのか?
言葉を掛けてきたのは、「監督さん」ではなく「職人さん」である。
こういっては何だが、そんな意図をしているとは思えない風体であった。
手に職ある人の言葉には、深みを感じる。
たとえ注意されたとしても、後味に心地好さすらあった。
「可愛いくば五つ数えて三つほめ、二つ叱って良き人となせ」 二宮尊徳
NR試験室 二見