2020/01/20
【その会話の真意は?・カンタブタイム】
「動きを見るとだいたい分かりますよ」
監督さんが試験の成り行きを見守りながら語り掛けてくる。
「長岡さんはさぁ、いろんな人が試験に来るよね」
「前にはほら、練りの人も来てたし、野村さんの試験室も来るしね」
そう言われると、現場試験業務に行ったことのある職員は多い。
「そうですねぇ、割といろんな人が代行試験もできますからねぇ」
誰が来たとしても、基本、その結果に相違はない。
「何か不具合がありましたか?」会話の真意を探ってみると...
「まぁ、いろんなプラントがあってさ、いろんな試験室がいるよね」(はい)
「こっちもさ、釈迦に説法になっちゃうから、あまり口は出さないよ」(なるほど)
「だからね、よほどひどい時にしか言わないんだけど...」(ドキッ⁉)
「明らかに動きがぎこちなくてさ、スランプ・エアが終わってから、
カンタブやりますか?なんて聞いてくることもあるんだよ~」(なるほど、なるほど)
カンタブ(塩化物量試験)は、試料に挿してから、結果が判明するまでに時間がかかる。
試験に慣れている人だったら、まず最初にカンタブの有無を確認してから試験を始める。
固練りや、単位水量が少ない配合。
高性能AE減水剤を使ってたりすると、その待ち時間はさらに延びる。
監督は続ける。「動きを見ても、素人かどうかはすぐに分かるんだよね」
「そんな時には、<どこにいたの?>って聞いてみるんですよ」
「へぇ、どんな答えが返ってくるんですか?」
「はっはっは~!色々だよ。色々~」豪快な笑い。
「あ、ぼくもその色々のうちの端っこの方ですねぇ!」揶揄には機転を持って返すのが礼儀。
「あぁ、知ってる知ってる!はっはっは~」会話は笑いで締めるのも、現場での作法。
ふ~、試験をしているんだが、されているんだか...
代行試験に行くと、監督さんのキャラが色濃く出てくる。
カンタブ待ちの時間だって、気を抜けないのが試験業務。
監督する側に悪意はまったくなく、それをどう受け答えるかも現場技能者の腕の見せ所。
NR試験室 二見