2020/02/10
【ちょっと待ったコール・配筋検査】
「悪いけどちょと待ってて」
現場に到着したら、まだ配筋検査が終わっていない様子...
検査員が8時に来る予定だったが、だいぶ遅れてきたとのこと。
試験の準備だけは済ませ、しばらくすると生コン車も到着。
「配筋検査が終わってないので、まだ打設できないんですって」
運転手さんへと伝達すると、問い返してきた。
「先に採っちゃうかい、試験分だけでも?」
「いえいえ、待ちましょうか、一応」
試験室に必要な素養は何か?
「技術?」「知識?」はたまた「愛嬌?」
それらもあるに超したことはないが、
より大事なものは、「大局観」だと思っている。
かつて現場監督をしていた頃の現場での話。
生コン工場から若い試験室がハキハキとやって来た。
「まだ配筋検査が終わってないから、ちょと待っててもらえますか?」
地下の打設現場の現状、只今立ち合い検査の真っ最中だと伝えると...
「じゃあ、試験だけでも採っちゃって構いませんか?」
いそいそとネコを取り出し、準備を進めながら聞いてきた。
「う~ん...ごめん。それもちょっと待ってくれる?」
えっ、と驚いた顔をする試験室の彼は、言葉を続けた。
「何でですか?ちょっと早目にプラントに戻りたいんですがぁ」
いつもだったらOKをもらえそうな要望。それを断られた彼からは本音が漏れる。
たぶん大丈夫だとは思うんだけど...、と前置きをしつつ、
・まだ配筋検査が合格するとは限らないし、手直しするとなると、5分~10分では終わらない
・もし代行試験が合格でも、打てなくなる可能性だってゼロではない
・最悪、採取した試料の処分を講じなければならなくなる
などなど、あり得る可能性をいくつか伝えた。
彼もその内容に納得したようで、プラントにその旨を伝える。
自分の都合、相手の都合、全体の最適化。
優先したいのは自分の都合だけれども、それではただの自己本位。
状況全体を俯瞰しながらも、情報を集め、
「大局観」で行動の指針を決定することが重要。
「配筋検査、合格で~す!」
そんな過去の現場を思い出しているうちに、声が掛かった。
さて、運転手さんも施工者さんも待たされた分、気持ちが焦っている。
されど、そこで焦ってはいけないのが代行試験と試験室。
検査官もいるので外すことは出来ない大事な局面。
定石な作業を手早くこなし、こちらの試験も無事合格!
さぁ、いつもと同じように見える、いつもと異なる現場が今日も始まる。
そういう現場での大局観。経験からしか学べないのかなぁ...
NR試験室 二見