2020/02/29
【若手に任せる曲面打設・数量計算】
「ぶち怒られました、左官屋に」
貯水槽の現場にて、若手現場監督の言葉が耳に残る。
生コンはいつだってオーダーメイド。
配合・軟らかさ・セメントなどなど、選ぶ項目も少なくない。
よりどりみどりで組合せて、ぜひお好みの配合を!(31アイスみたいだ)
その中でも「数量」の決定は、重要な要素のひとつ。
何故かというと、「ええぃ、足りなきゃごまかせばいい!」
などと器用なことが、生コンという流動体では、基本できない。
なので施工者の皆さん。
人にもよるが、計算した値よりもちょっと割り増して発注してくる。
カンタブ待ちで無言の数分。
若手の監督に話を振ってみた。
「今日は1.2m3ですけど、足りそうですか?」
「うん、たぶん足ります...これ、足りんと、ぶち怒られますから」
「でも今日は曲面だから計算が難しいですねぇ」
打設現場を見上げると、球面の一角に型枠が組んである。
「本当は計算で1.0m3なんです」
「けど、1.2m3で頼みました」
「ごめんなさい。たぶんちょっと余りが多いです...」
「いえいえ。そのくらいなら全然問題ないですよ~」
謙虚な姿勢は、こちらにも同様な態度を引き出してくれる。
「平気な顔して、1台、2台余らせるゼネコンもいますから」
(特にプライドの高い中堅監督には、その傾向が強い...)
気を許してくれたのか、若手監督は言葉をつなぐ。
「前に足りなかったことがあるんですよ...ほんのちょっと」
「ぶち怒られました、左官屋に」
「足りねぇじゃねぇ~か!」
「おぅ、これ待ってたら固まっちまうぞ!」
謝り倒してその場はなんとか収めてもらったそうです。
苦い経験を、苦い顔して語るところが初々しい。
「俺なんか5台余らせたことあるぜ~!へっへ~」
経験を重ねてくると、そんな失敗を自慢する輩まで出てくる。
成り手が減っているという現場の監督職。
貴重な若手には、そんな中堅にならないことを、切に願います。
NR試験室 二見